ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

遠い世界

2009-01-08 22:53:04 | 寓話集まで
        

この世界はどんなふうに
ひろがっているんだろう

裏山にのぼって
冷たい風に吹かれながら
家並みや往来や
西の山なみ
を眺めわたして

しかし
見えない世界がどこまでもその外側に拡がっている

冷たい夜空の
北極星
北斗七星
うを座
かに座
さそり座
遠い何十万年もの過去の光
アンドロメダ星雲の
一九九八年の今を
ひとはどう想像できるのだろう

ひとは
アンドロメダ星雲の現在を決して見ることができない

旅に出よう
砂漠の向こうに行こう
砂漠の砂の中のトカゲやサソリを踏みつけながら
見えないそれらの膚や針をちくちくと足の裏に感じながら
到着することが目的でなく
ボヘミアンのように

何処へ
かは分からずに
いつ
とも分からずに

びろーどの地下室で
ルー・リードのように
恍惚とうたっているぼく自身にめぐり合うかもしれない
それも
目的ではない

穏やかな外光の教室で
学生たちに
 Elle est retrouvee.
 Quoi?
(とうとう見つけたよ
 なにを?)
と語り聴かせようとして聞き流されているぼくにめぐり合うかもしれない

永遠は
永遠に発見できない
アンドロメダ星雲の現在に
ひとは永遠にたどり着くことができないもちろん
地球の寿命がつきるころには
人間は何でも解決できる能力を獲得しているに違いない
それまで人類が滅亡していないと仮定しての話だが

でも
旅に出よう
どこにもたどり着かない旅に出よう
目的のない旅に出よう
いつまでも同じ場所に
しがみついていることはできない
ギターを一本持って
ときおり歌をうたいながら
新しい風に吹かれながら


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1 コメント

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解説風に ()
2009-02-10 00:39:53
詩人でいえば
谷川俊太郎、アンドロメダ星雲とか。
「永遠」や「砂漠」、「足の裏のちくちく」は、もちろんランボー。
音楽では、出てるとおり、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リード。
風に吹かれているのは、ボブ・ディラン。
そして五つの赤い風船。

ちなみにうを座は妻、かに座は私、さそり座は息子。

宮沢賢治とまで言うと、ちょっと遠いか。

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