ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

神社仏閣の色

2013-10-03 23:09:55 | エッセイ

 由緒ある神社仏閣は、古色蒼然とした厳かな雰囲気の中にある、と普通はイメージする。

 近場のどこそこと思い浮かべても、造ったばかりの新しい社殿よりも、古びた褐色の柱や板壁のほうが、有難みは増す。

 伊勢の神宮には、一度だけ行ったことがある。それが、内宮には足を伸ばさず、外宮だけだった。まあ、うかつというか、徒歩だったので、歩くには遠いとか、見た目にはそんな変わりはないだろうとか、そのうちには、お参りして見たいものだとは思っている。

 さて、外宮の境内を奥まで歩いて、本殿が目に入ったとき、大きな衝撃を受けた。社殿が新しい。古びていない。もちろん、知識として、式年遷宮のことは知っていたのだが、日本で最も由緒ある、歴史の古い神社である伊勢の神宮が、こんなにも新しいということに衝撃を受けた。

 日本らしさ、神社仏閣の日本らしい雰囲気というものの常識が覆された、というような思い。

 真っ赤な極彩色のお寺、などというと、中国風とイメージしたりもするが、日本の昔のお寺も、創建時には、色鮮やかに塗りたてられていた。

 あをによし奈良の京は咲く花のにほふがごとく今さかりなり、とうたわれた奈良の都は、古びた木造の渋い街並みなのではなくて、色鮮やかに塗りたてられた建物が立ち並んでいたのに違いない。塗りたてられてはいなくとも、真新しい無垢の木材の色だった。

 ふーん、日本というもののイメージねえ。


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