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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

蕎麦好き信州人は新蕎麦を食べないと秋が終わらないので新蕎麦行脚。牡蠣と天然キノコ4種の鍋焼きうどんとおしぼりうどん(妻女山里山通信)

2022-11-12 | 男の料理・グルメ
 信州蕎麦というと戸隠や善光寺界隈を思い出すと思いますが、もちろん地元の人も紅葉狩りついでに立ち寄りますが、ほとんどが観光客です。そして、多くの蕎麦好きの人は観光客がほとんど来ない地元の名店を知っていて訪れるのです。いずれも人気店で昼は満席で待つことになるので、開店時間を狙って行きました。

 初日は、篠ノ井の街外れの東福寺という小さな集落の端にある「そば処 安心(あんじん)」。開店時から人が続々訪れ始め、まだ正午前でしたが私が出る頃には満席になっていました。

 今回頼んだのは、新蕎麦十割の安心蕎麦中盛り(280g)です。かえしのつゆと胡桃(くるみ)だれに煮物の小鉢が付きます。1250円。蕎麦は玄蕎麦でやや細め。新蕎麦の香りが豊かです。まずそのままで、次につゆで、半分ぐらい頂いたら胡桃だれで。胡桃はかなりクリーミーにすられています。新蕎麦の時は天ぷらは頼みません。平日は地元のサラリーマンが多く、ランチセットがお得です。

 次の日訪れたのは、稲荷山の善光寺街道沿いにある「信州蕎麦 わきゅう」。ここも開店時間に訪れたのですが次々に入ってきました。ここは昔、「つる忠」という名店でした。「つる忠」の時は両親を連れて来たことがあります。「つる忠」で修行して独立した人も少なくないと思います。ここも地元の人ばかりです。

 頼んだのは胡桃蕎麦。ここの胡桃は粗目です。砂糖かキビ糖が混ぜてあります。これをつゆに入れていただきます。蕎麦は細めでこちらも風味が豊かです。量もけっこうあります。私は基本的に葱は入れません。途中で山葵をわずかに蕎麦につけて味変します。920円。満足です。この後で、前の記事の龍洞院へ向かいました。

 翌々日は、70号で山を超えて国道19号沿いにある信州新町道の駅の「そば信」へ。ここは産直の隣にあるのですが、県外ナンバーの観光客は産直の野菜やキノコやジンギスカンなどを買い求めて出ていきます。「そば信」で食べているのはほぼ地元の人。ローカルテレビで何度も紹介されているので地元では有名なのです。蕎麦は左右(そう)高原で収穫されたもの。セルフサービスなので安いのが魅力です。まだ11時前ですがお客さんが次々と。

 ざる蕎麦580円。普通信州では東京の様に海苔がのったものをざる蕎麦、ないものをもり蕎麦とは言いません。海無し県なので海苔がのった蕎麦は無いのが普通です。ここの蕎麦は、とにかくコシが強い。歯の悪い高齢者は難儀するかも知れません。量はたっぷり300gぐらいあるのではないでしょうか。食べごたえがあります。大盛りにしても+150円と良心的。おしぼり蕎麦もお勧めです。天ざる蕎麦950円はリーズナブル。天ぷらも美味です。郷土料理のおとうじ蕎麦もお勧め。父はお斎(葬儀の後の宴)でも供されるおとうじ作りの名人でした。そば店の隣ではおやきも売っています。
 あと一軒行くとするなら信濃町の「そば処 おがわ」ですね。以前ブログで紹介したことがあります。東京の下町出身のきっぷの良いおかみとの話もなごみます。幸運ならば頭も骨も食べられる旨いイワナの焼き物がいただけます。漬物も女将の手作りで美味です。実はこの10年ぐらいで信州蕎麦のレベルは信じられないぐらい上がったのです。
 正直言うと90年代とかは家族で帰省して軽井沢や戸隠、善光寺界隈の名店といわれる店を訪れましたが満足できる店はほとんどありませんでした。東京の更科や砂場の名店と比べると蕎麦は旨くてもつゆが駄目とか、薬味がなんで玉葱なのとかでした。それが、現在は江戸前の蕎麦を上回る店がいくつもあります。蕎麦は、ひきたて打ち立て茹でたてといいますが、地の利を生かしてそれを最大限に生かした店が次々に生まれたのです。北信だけでなく、上田や安曇野、松本や木曽のスンキ蕎麦、伊那の高遠蕎麦、青木村のたちあかね、長和町の韃靼蕎麦など長野県中に名店や名物蕎麦があります。飯山のオヤマボクチを練り込んだ富倉蕎麦も以前紹介しましたが絶品です。おとうじ蕎麦という摩訶不思議な郷土料理もあります。

 産直コーナーへ。ジビエの鹿肉ジンギスカン。これは食べたことがあるので、一番左の鹿肉唐揚げを買いました。正月に息子達といただきます。サフォーク羊は超絶美味ですが、高価なので断念。ムサシヤのレストランか、さぎり荘で召し上がって下さい。羊肉に対する概念がひっくり返ると思います。

 国道19号へ出る犀川の橋の手前にある「信更いっぽ工房」おやきで有名な店です。包おやきは、小川村の灰焼きおやき、焼いてから蒸すもの、我が家の様に青紫蘇の葉やミョウガの葉で挟んで蒸すもの、ここの様におまんじゅうの様に蒸すものと色々あります。そのどのやり方も皆美味しいのです。ここも次々と訪れていました。30個とか買っていく人も。お勧めは定番の野沢菜、ナス、切り干し大根、かぼちゃ、あんこあたり。すべて150円です。

 県道70号を山を超えて戻ります。くねくねと道幅が狭いところもありながら実は交通量が多いので対向車には要注意です。長野県宝の木造金剛力士像がある長勝寺へ。紅葉の里山の向こうに鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳。

 鮮やかな紅葉と本堂。本堂は扉が閉まっていますが開けて参拝することができます。絵馬の奉納ができます。

 真言宗豊山派 仁王山長勝寺の本堂内部。ご本尊は大日如来。

 阿吽の仁王像。鎌倉時代中期の作で長野県宝に指定されています。この仁王門の先には本堂はなく、遠く虫倉山が見えます。言い伝えによれば、犀川対岸の虫倉山の麓に建つ「廣福寺」が飢饉続きの困窮でこの仁王を売却し、牛車で移動していたところ、仁王の天罰か、牛が倒れ進退窮まった際に長勝寺の住職が引き取ったという。そのため長勝寺の仁王門は、今も廣福寺の仏を守るため、長勝寺の本堂ではなく対岸に通じているのだという。すぐ下の広場の四阿では、地元の老人たちがバーベキューをしていました。本当に眺めのいい古刹です。

 本堂に入ってすぐ左に鎮座する賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)。善光寺にもあるおびんずるさん(なでぼとけ)です。自分の体の悪いところや良くなって欲しいところを撫でると良くなるというありがたい尊者。

 途中の湧池の紅葉。里山の紅葉もそろそろ終わりです。

 信更赤田の里山風景。ひと月後ぐらいには初雪も降るでしょう。しかしここは豪雪地帯ではありません。この西山地区は、東京白金のスイーツの名店があったり、美味しいベーカリーやピザ屋さん、ハムの工房とかが点在するのです。

 今回のお土産。左はいっぽ工房の野沢菜、ナス、キノコ、あんこのおやきと唐辛子。右は道の駅で買ったかくてきと生芋を使ったコンニャク。そして、鹿肉の唐揚げです。正月に息子達といただこうと思います。返ってあんこを食べましたが、皮の香りが酒まんじゅうの様です。ただ私には砂糖が感じられて好みではありませんでした。祖母や母、妻は野菜の甘味や麹味噌の甘さや旨味を大事にして砂糖は使いませんでした。砂糖を入れると味がくどく下品になります。現代人は砂糖のとり過ぎで自然の旨味とか甘みを感じる感度が低くなっていると思います。

 私の冬の到来を知らせる料理。牡蠣とスギヨのカニカマ、小松菜と、天然キノコ4種の鍋焼きうどん。キノコは、クリタケ、ハタケシメジ、ムキタケ、ヒラタケです。キノコの味が強いので、出汁はアゴ出汁にイリコ出汁です。体が芯から温まります。

 信州の郷土料理の「おしぼりうどん」。といっても旧埴科郡と旧更級郡だけで食べられてきた古くからある伝統食です。本来は激辛のねずみ大根とか地大根の絞り汁を使うのですが、ここ2年ぐらい辛さへの耐性が低くなってしまったので、やや辛味の少ない青大根、別名中国大根(江都青長)を使いました。生食用の大根で、辛味もありますが甘みも強い大根です。信州味噌をといて花鰹や葱を薬味にいただきます。北信州の坂城町、千曲市、戸倉上山田温泉、篠ノ井、松代には、おしぼりうどんを食べさせてくれるお店が何軒かあります。北信州に冬来られたらぜひ食べてみてください。東京でも信州郷土料理のお店で出すところがあります。

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