ウスバシロチョウというのですが、シロチョウ科ではなくアゲハ科。ということでウスバアゲハと呼ぶべきという声があるウスバシロチョウですが、このところ妻女山に大量発生しあちこちで元気に飛び回っています。春先に幼虫の食草であるミヤマキケマンがたくさん咲いていたので、この蝶の大量発生もうなずけます。
アールヌーボーのステンドグラスのランプシェードのようなはねは僅かに透けています。北欧から中近東の山岳地帯、ヒマラヤ、中央アジア高原などに棲息する北方系の蝶で、氷河期の生き残りです。そのため古典的な蝶といえるわけです。生き残るのは大変だったでしょうね。生き残ってくれて有難うと思うわけです。
下の写真の蝶は、はねが欠損しています。天敵に襲われたのか縄張り争いの結果なのかはっきりしませんが、蝶の出現の終わりの方ではこういう個体をよく見かけます。一般的には鳥が天敵と思われがちですが、一度オオムラサキがツバメを猛スピードで追いかけていくのを見たことがあるので、鳥と一概にはいえないかもしれません。天敵は、クモやトンボ、カマキリやトカゲなどもいるわけですし…。
林道には、ウツギとエゴノキの白い花が満開です。ウツギは別名を卯の花といって「夏は来ぬ」の歌詞の「卯の花の、匂う垣根に 時鳥、早も来鳴きて 忍音もらす、夏は来ぬ」の卯の花のことです。実はウツギに香りはないのですが、「匂う」は古語の「にほふ」で、香り立つことではなく、視覚的な美しさが立つことをいうのだそうです。エゴノキは、かなり強い芳香があります。山道を歩いていると一面に雪が降ったように真っ白に花が落ちていることがあり、なにかと見上げるとうつむいて咲くエゴノキの花が満開だったりします。よそ見をして歩いていると、エビガライチゴやノイバラの刺にひっかかって痛い思いをします。
草花では、キツネアザミが咲き始めていました。タケニグサやクズが繁茂し始め、アレチウリも出てきました。困ったものです。また、スギ花粉より強烈でたちの悪いカモガヤが一斉に花を咲かせています。オーチャードグラスという帰化植物ですが、明治初期に牧草として輸入され、なんと緑化にも使われてしまったのです。信州では、学校帰りの子供達が、知らずにこの花で遊んで花粉症になることも少なくないとか、堤防や畑道などでのジョギングも要注意です。
林道の奥では、車について種が運ばれたのでしょう、マーガレットが群生していて、ウスバアゲハが乱舞していました。隣に咲いているハルジオンには目もくれずに吸密中です。撮影中にパラパラと小雨が落ちてきましたが、かまわずに彼らの吸密に見とれていました。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、春の花、昆虫、樹木、滝などを更新しました。
★妻女山に今年もアサギマダラが飛来しました。妻女山の真実について、詳しくは、本当の妻女山について研究した私の特集ページ「妻女山の位置と名称について」をご覧ください。