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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

久しぶりにニホンカモシカのクロと出会ったが・・・(妻女山里山通信)

2011-12-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山上の陣場平で、久しぶりにニホンカモシカのクロと出会いました。といっても、こちらは立ち枯れの除伐をしていて気づかなかったのですが、クロは私の作業を薮の向こう側でずっと見ていたようでした。作業の途中でふと何かの気配に気づいてそちらを見るとクロがいたという次第です。こちらから探そうと思っていない限りは、こういう出会い方が普通です。

 ウシ科のニホンカモシカは非常に好奇心が強いので、他の動物の様にすぐに逃げるという事をしません。もっとも、野うさぎや山鳥も足下の薮に潜んでいて、近づくと突然飛び出して、こちらがドキッとすることもままありますが、それは好奇心というより、通り過ぎたらそのままやり過ごそうと思っていたのに、予想より近くに来てしまったためです。シマヘビなどは山道で突然出会うとびっくりして、ニョロニョロ這うのではなく、丸まってゴロゴロと斜面を転がって逃げて行くこともあります。

 クロはすっかり冬毛になっていて、夏よりひとまわり大きく見えます。そして冬の方が、近づける限界距離が夏よりも長くなります。夏だと場合によっては5mぐらいまで寄れるのが、冬だとその2倍ぐらいという感じです。理由はよく分かりませんが、林内の見通しがよくなって隠れにくいことや、食料が少なくなって食べ物が少ないことも関係しているのかもしれません。

 冬の食べ物ですが、檜や杉の葉、シダ類、藻類、ヒラタケ、エノキタケ、笹の葉、樹皮、枯葉などです。後をつけて観察した時に彼らが実際に食べていたもので、非常に多岐に渡っています。いわゆる「ばっかり食い」をしないのです。ほぼ一日中、採食歩行と採食を繰り返し、満腹になると反芻に入るわけです。夏場は林内の安全な場所で座ってするのですが、積雪期は立ったまま2時間ぐらいジッとして反芻します。これを「アオの寒立ち」といいます。

 クロは、毛が黒いので夏冬あまり変わりませんが、妹のシロは夏毛と冬毛で別個体の様に色が変わるのですぐに生え変わりが分かります。「夏毛のシロ(抜け落ちた冬毛の写真あり)」と「冬毛のシロ」を見てもらうと一目瞭然です。ちょっと気がかりなのは、この2頭の母親の姿が最近見られないことです。いつかも、糞場の近くにクロとシロの2頭でいましたが、母親の姿はありませんでした。子離れして、奥へ移ったのならいいのですが。2年ぐらい前に父親と見られる遺骸が清野の倉科坂の谷間で目撃されたので少し心配です。

 信州もやっと積雪がありました。雪が積もるとアニマル・トラッキングのシーズンです。足跡から動物達の色々な生態が分かります。そういえば、降雪の前日に上杉謙信槍尻の泉で、丸々と太った狸が水を飲んでいました。集落内に棲んでいる狸と違って毛の艶もよく健康そうでした。人家の中に棲む狸は、残飯等をあさるせいでしょうか、毛艶が悪く皮膚病になったものも見かけます。人間の食べているものの方が、添加物や環境ホルモンなどで汚染されているからでしょうか。数年前には善光寺平周辺の山で狸の病気が流行ったようで、何カ所かで狸の遺骸を見つけました。

 この辺りは線量が低いので大丈夫だと思いますが、福島や関東の山地では、今後野生動物の病気や奇形などが次々に発見されるのではないでしょうか。被曝した動物の情報が次々に入って来ています。内部被曝の治療法がないように、その動物達を救う手だてはないということです。キノコと同様に野生獣の食肉には充分注意が必要です。
 原発=核は生物学的に最も反動的なもので、いかなる理由があろうとも許されるべきものではありません。単にお湯を沸かすのに人類を滅亡に追いやる危険きわまりないものを使うのは全く馬鹿げています。

★Youtubeスライドショー






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