当院の臨床心理士 久冨が昨年4月と9月によこはま発達クリニックにて行われたDISCOセミナー(計5日間)を受講し、厳正なレポート審査を経て、この度、無事に全英自閉症協会より認定証が交付され、自閉症ペクトラム症(ASD)を中心とする発達障害に対してDISCOを行えるようになりました。
“DISCO”とは、The Diagnostic Interview for Social and Communication Disordersの略で、Lorna Wing博士およびJudith Gould博士らにより開発されたASDを中心とする発達障害の診断・評価のためのツールです。DISCOは言語発達、運動発達を含む発達全般についての設問と発達障害や精神障害でみられる非定型的行動に関する設問が合計約300項目にわたって設定され、発達歴と現症の記述および支援プログラムの作成に必要な情報を系統的に得ることを目的としています。またこの評定に基づいたアルゴリズムに従って、DSM-5、ICD-10による診断、Gillbergらの診断(2001)、Wing and Gouldの診断(1979)、Kannerらの診断(1957)を行うことが可能です。 対象の年齢層は幼児から成人までカバーされています。
いわば、DISCOはASDの診断・評価および支援プラン立案のための世界最強のツールといえます。ただし、設問数が多く、本検査の施行には約3~4時間を要するため、他の評価ツールを用いても診断がつきにくいケースに限って使用しております。
なお、DISCOは英語版も日本語版も市販はされておらず、トレーニングを受けて認定された専門家しか使用することができません。現在、日本でDISCOを行える有資格者(DISCOホルダー)は約100人で、長崎県では長崎大学地域連携児童思春期精神医学講座教授 今村 明先生に次いで当院の久冨が2人目となります。
今後も研鑽を積み、当院における専門外来をさらに充実させていきたいと思っております。