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心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

リチウム治療による認知症発症のリスク低下

2016年02月27日 | 気分安定薬

双極性障害の治療に用いられる気分安定薬の一つであるリチウムについて、本ブログでも過去にとりあげたことがありますが、今回、新たな知見が報告されました。

「双極性障害の治療でリチウムを1年間継続して内服した場合、リチウムを内服していなかった場合と比較して有意に認知症発症のリスクが低下した」とBR J PSYCHIATRY(2015)から発表されました。本研究では50歳以上の双極性障害患者41,931名が参加した大規模な調査で、信頼性の高い研究と言えそうです。

リチウムは日本うつ病学会が作成している双極性治療ガイドラインにおいて、うつ病エピソード、躁病エピソード、維持療法のいずれにおいても推奨される治療薬として挙げられております。また、リチウムには自殺予防効果もあることが示唆されており、古くからある薬剤ではありますが、当院では今現在もリチウムを双極性障害の第一選択薬の一つとして使用しております。ただし、副作用の一つに甲状腺への影響があり得ますので、元々、甲状腺疾患がある方には別のお薬で治療を開始する必要があります。


炭酸リチウム(リーマス)

2013年05月22日 | 気分安定薬

気分安定薬のひとつに、炭酸リチウム(商品名;リーマス)があります。炭酸リチウムは、1949年にオーストリアの精神科医ジョン・ケイドによって、偶然に動物に対する効果が発見されたのちに、開発されました。

主な特徴は、

・爽快気分を伴う古典的躁病によく効く

・再発予防効果が示されている

・自殺予防効果が示唆されている

などがあります。精神科の薬剤で現在までに自殺予防効果が示されているのはリーマスのみで、これは本薬剤の大きなアドバンテージです。この効果は、おそらくは衝動性を減少される効果を介していると考えられています。また、リーマスは主に躁症状に効果を示しますが、うつ症状にも若干ながら効果を示します。難治性のうつ病にリーマスを追加投与すると、改善を示すこともあります。基礎研究からは、リーマスは脳内にて神経保護作用を有することが分かっています。

しかし、リーマスは血中濃度の治療有効域と中毒域(腎機能障害など)が近接しているため、定期的に採血を行い、血中濃度のモニターが必要となります。また、心血管系の催奇形性の危険性があるので、妊娠中の投与は禁忌となっています

昨年、やっと年間の自殺者数が3万人をきりましたが、依然として自殺は大きな社会問題です。精神科医としては、今後、「抗自殺薬(自殺予防薬)」といったような部類の薬剤が開発されることを強く期待しています。


ラミクタール

2011年07月01日 | 気分安定薬

本日、ラミクタールというお薬が、双極性障害(躁うつ病)の治療薬として承認されました。ラミクタールは、気分安定薬・抗てんかん薬に分類されるお薬です。気分安定薬には、他に炭酸リチウム、デパケン、テグレトールの3剤がこれまでにもありましたが、いずれも主に躁状態に効果を発揮するお薬でした。一方、ラミクタールは躁とうつの両方(特にうつ)の再発を予防し、気分を安定させるお薬で、他の気分安定薬とはプロフィールが異なります。

実は、躁うつ病のうつ状態の治療は難しいので、本薬剤が躁うつ病に適応を取得したことは、とてもありがたいことです。ただし、副作用として時に薬疹が出現するため、少量から慎重に投与を開始する必要があります。