8月21日に、レクサプロという新しい抗うつ薬が発売されました。SSRIという部類に分類される抗うつ薬の一種です。海外ではうつ病以外にも、パニック障害や全般性不安障害などの不安障害にも適応を取得しています。これまでの海外での評価は比較的高く、効果が期待できる薬の一つとなりそうです。うつ病の治療は決して薬物療法のみではありませんが、治療薬の選択肢が増えるのは、患者さんにとってメリットだと思います。当院では、9月1日より処方が可能です。
当院では、長崎市内では数少ない院内調剤を行っています。近年、国の医薬分業政策の名目のもと、院外処方が主流となっていますが、実は患者さんにとっては院内処方の方が様々な面でメリットが大きいです。
〇院内処方のメリット
・何といっても、患者さんの金銭的負担が軽い!(院内処方の方が、処方料や調剤料が安いためです)
・お薬について不明な点がある時に、すぐに医師に確認できる
・専門的知識を持った薬剤師が対応できる
・診察後、会計時にお薬をもらえる(待ち時間も短い)
唯一デメリットをあげるとすると、院内ではスペースの関係上、院外薬局ほどは多くのお薬を揃えておくことが困難ということがあります。もし、院内に希望のお薬がない場合は、院外処方で対応しております。
厚生労働省は今年の7月に、「4大疾病」と位置付けて重点的に対策に取り組んできたがん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めました。
うつ病などの精神疾患の患者は年々増え、従来の4大疾病をはるかに上回っているのが現状で、重点的な対策が不可欠と判断されたようです。精神疾患の急増の背景には、不況などによる社会不安の広がりや、精神疾患に対する認知度の高まりにより、精神科受診の敷居がこれまでに比べて低くなったことなどがあると考えられます。
精神疾患の医療計画には、行政、看護、介護・福祉サービス、リハビリ、専門的医療などの連携体制の構築が必要となります。当院は、専門的医療の立場から、微力ながら地域のお役に立てればと思っております。
「何度も同じことを確認したり、行ったりしないと不安」、「同じことを何度も頭の中で反芻してしまう」などの症状を呈する疾患を、強迫性障害(強迫神経症)といいます。強迫性障害の治療には、薬物療法(主にSSRIを使用)と認知行動療法の二つがあります。当院では、強迫性障害の認知行動療法である“暴露反応妨害法”も行っております。治療の効果は、両者を併用することが最も有効といわれています。