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心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

令和2年度長崎県精神障害者家族支援強化促進事業研修会

2020年11月22日 | ブログ
本日、長崎県の補助事業の一環で、令和2年度長崎県精神障害者家族支援強化促進事業研修会(長崎県精神障害者家族連合会 主催)が長崎市内で開催され、僭越ながら私が講師を務めさせていただきました。

演題は「精神医療の現状と今後の課題 ~ ストレス社会を乗り越えるためには~ 」で、世界や日本、長崎県の精神医療の現状や今後の課題をお話し、不安を解消したり、心身の健康を増進したりする方法をいくつかご紹介させていただきました。

当事者やそのご家族、施設や医療関係者など約50名の方にご参加いただきました。コロナ禍での講演でしたが、検温やマスク着用、手指消毒、換気など感染予防対策もしっかりと施されており、安心してお話させていただくことができました。

今後も微力ながら、少しでも皆様のお役に立つことができるよう、尽力いたしたいと存じます。また、本日ご参加いただきました皆様には感謝申し上げます。まことにありがとうございました。

(院長 森)

ゼプリオンTRI発売

2020年11月19日 | 抗精神病薬
11月18日に、1回の注射で効果が3ヶ月間持続するという持効性抗精神病剤、ゼプリオンTRIが発売されました。これは統合失調症の治療薬の一つで、これまでは1ヶ月しか効果が持続せず、同薬剤を使用している患者さんは毎月、注射を受ける必要がありましたが、病状の安定している患者さんは、今後は3ヶ月に1回の注射のみでよくなります! 

統合失調症の患者さんは、お薬の内服をやめてしまうとほぼ全員、再発してしまうため、継続的な治療が必要となりますが、うっかり飲み忘れてしまい病状が悪化してしまう方も少なくないのが現状です。中には、毎日の内服が煩わしかったり、自分自身が病気である自覚が乏しく、段々、お薬を飲まなくなったりする患者さんもおられます。

そのような現状で、今回の3ヶ月に1回だけの注射製剤の登場は、患者さんにとって大きな恩恵になることと期待されます。海外ではすでに同注射剤は発売されており、アメリカでは今月の2日に、1回の注射で半年間も効果が持続するゼプリオンの6ヶ月製剤をJohnson & Johnson がFDAに承認申請しています。

他にも、認知機能の改善を目的とした統合失調症治療薬(GlyT1阻害剤;BI 425809)なども開発されつつあり、今後、統合失調症患者さんのさらなる症状の改善やQOLの向上が期待されます。