心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

小児ADHD治療目的の医療デバイスをFDAが承認

2020年07月24日 | 発達障害
本年6月15日に、米国のFDAは小児ADHDの不注意症状に対する治療機器として医療デバイス(EndeavorRx;AKL-T01)を承認しました。これはゲーム機に似たデジタル機器で、使用時間は1日25分、週に5日で4週間継続すると効果が得られます。

本試験の詳細は、医学雑誌「Lancet Digital Health」の2020年2月号に掲載されています。これまでにこのようなADHDに対する非薬物療法はなかったため、非常に画期的だと思っています。 薬物ではないので、当然ながら副作用はほとんどありません。

本医療デバイスはゲーム感覚でできるため、楽しみながらADHDの不注意症状が改善されることは、ADHD児にとってもメリットが大きいかと思います。

現在、日本でも塩野義製薬により同様の医療デバイスの治験が実施されており、日本でも使用できるようになる日が待ち遠しいです😊
(EndeavorRxのサンプル画像)



(院長 森)

社交性と腸内細菌の関係

2020年07月11日 | ブログ
医学雑誌“Human Microbiome Journal”の2020年3月号より、「より顔が広い社交的な人ほど腸内の微生物がより多様であった」と報告されました。

近年、大腸は「第二の脳」とも呼ばれており、脳腸相関に注目が集まっています。これまでの研究で、腸内細菌叢移植でマウスの気性が変わることや、自閉スペクトラム症やうつ病などの精神障害と腸内の微生物組成の関連が示唆されています。

今回の研究では自閉スペクトラム症の人に乏しい腸内細菌が社交的な人により豊富であることや、その逆に自閉スペクトラム症に多いことが知られている細菌が社交的な人にはより少ないことも示されています。

これまでに腸内微生物と人の個性との関連を調べた今回のような研究はほとんどありませんでした。 著者である英国オックスフォード大学のKaterina Johnson氏は、「腸内細菌が人の振る舞いをどう変えるかはさらに調べる必要があるが、研究が進めば自閉スペクトラム症などの精神障害の新たな治療の開発の一助になるであろう」と述べています。

今後も脳腸相関の研究から目が離せません!

(院長 森)