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心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

抗Aβ抗体「アデュカヌマブ」の第3相試験中止の発表

2019年03月31日 | 認知症

残念なお知らせです。本ブログでも2017年2月1日に話題にしておりましたアルツハイマー病治療候補薬の一つでありました抗Aβ抗体「アデュカヌマブ」の開発中止が今月21日にBiogen/Eisai(エーザイ)より発表されました。同社は2つの第3相試験を実施ておりましたが、いずれも主要評価項目を達成できる可能性が低いと判断されたことに基づきます。またしてもアルツハイマー病治療候補薬が第3相試験の高い壁に阻まれました。

現在、治験が進行中の、Eli Lilly社とAstraZeneca社が共同開発中の経口βセクレターゼ(BASE)阻害剤「AZD3293」や中外製薬の抗Aβ抗体「ガンテネルマブ」、MSD社のBACE阻害薬「MK-8931」、エーザイ社の抗Aβプロトフィブリル抗体「BAN2401」などの今後の進展が注目されます。

「BASE阻害薬」や「抗Aβプロトフィブリル抗体」も、「抗Aβ抗体」と同様にアルツハイマー病根治の可能性を持つアルツハイマー病治療候補薬であり、これらの今後の開発の動向にも目が離せません。



認知症のリスク軽減

2017年08月25日 | 認知症

NEJM Journal Watchは7月21日の記事で、「認知症には修正可能な9つのリスク因子があり、認知症の約35%は遅らせたり防いだりすることができうる」と報じました。その9つの因子には、①幼少期の教育不足、②中年期の高血圧や③肥満、④難聴、⑤晩年のうつ病、⑥糖尿病、⑦運動不足、⑧喫煙、⑨社会的孤立が挙げられています。

現在、すでに成人の方は、いまさら「幼少期の教育不足」はどうしようもできませんが、他の因子に対しては適切に介入して、何とか認知症の発症や進行を遅らせたり防ぎたいものですね。一番始めやすいものとしては、運動でしょうか。一日20~30分程度でもよいので、ウォーキングなどからしてみてはいかがでしょう。すると肥満が改善され、また、運動はうつ病の予防にもつながりますので、好循環ですね。また、肥満が改善されると糖尿病の改善にもつながりますので、運動を始めることで色々な相乗効果が期待できますね!

皆さん、認知症にならないように頑張りましょう!


糖分の多い飲料で記憶力の低下や脳容積の減少が生じる

2017年04月30日 | 認知症

“The Journal of the Alzheimer's Association”という医学雑誌の本年3月号で、「糖分が多い飲料の摂取と記憶力の低下や脳容積の減少が関連する」という結果が報告されました。これは4200人以上を対象とした研究で、ソーダ飲料だけではなく、フルーツジュースも原因飲料となることが示されています。脳の部位別では特に海馬の容積減少との関連がみられました。ご存知のとおり、海馬は記憶を司る中枢として知られています。また別の研究では、人工甘味料はさらに悪影響が大きく、脳卒中や認知症のリスクになることが報告されています。

具体的な摂取量ですが、毎日1~2杯の砂糖含有飲料水の摂取により、1.6年早く脳が老化するとのことです。記憶力(エピソード記憶)に関してはそれがさらに顕著で、糖分含有飲料水を摂取しない人と比べて毎日1~2杯を摂取すると記憶力の低下が5~8年早まり、毎日2杯以上摂取するとなんと11年も早く記憶の衰えが生じると報告されています

人工甘味料を含む飲料水については、毎日少なくとも1杯以上摂取すると、摂取しない場合と比べて約3倍、脳卒中と認知症のリスクが高まることが示されています

どうやら、なるべく砂糖や人工甘味料が含まれている飲料水は飲まない方が脳の健康にはよさそうですね...。

 


アリセプトがレビー小体型認知症の治療薬として承認を取得

2014年09月20日 | 認知症

元来、アルツハイマー型認知症の治療薬であったアリセプトが、昨日(9月19日)付でレビー小体型認知症にも治療薬として承認を取得しました。レビー小体型認知症は、日本ではアルツハイマー型認知症、血管性認知症と並んで3大認知症に位置づけられ、高齢化の進展に伴って患者数は増加する傾向にあります。進行性の認知機能障害に加えて、幻視やパーキンソン症状(体のこわばりなど)などを特徴とします。

レビー小体型認知症は、「認知症」とはついていますが、発病当初は物忘れはあまり目立たず、心療内科や精神科には“幻視”を主訴に来院される方が多い印象です。ただし、老年期の精神疾患には幻視を主訴とするものが他にも少なからずあるので、鑑別診断が重要となります。


メマリー

2011年06月11日 | 認知症

6月8日にアルツハイマー型認知症の新薬、「メマリー」が発売されました。従来のアリセプトというお薬と併用することで、よりいっそう、認知症の進行を遅らせることができるといわれております。当クリニックでも処方可能です。


お薬だけが認知症の治療では決してありませんが、認知症の進行を少しでも遅らせることができれば、その分、介護する家族の負担を軽減でき、患者本人のQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)の維持にも役立てるのではないかと期待しています。


認知症と高齢者のうつ病

2011年04月28日 | 認知症

うつ状態の時は一時的に記憶力や注意力、判断力などが低下するため、高齢者のうつ病の場合、一見、認知症になってしまったかのようにみえることがあります。このような状態を「仮性認知症」といいます。これは本当の認知症ではなく、うつ病を治療して回復すると、仮性認知症は改善します。両者の区別は難しい場合もあるので、慎重な判断や治療を要します。


認知症の診断

2011年04月28日 | 認知症

認知症には、いろいろなタイプがあります。家族からの聞き取りや本人の診察(表情や歩き方、態度、話し方、動作なども診ています)、神経心理学的検査(記憶や見当識などを調べる検査)、頭部画像検査(CTやMRI)を行い、その結果を総合して診断をつけます。家族からの聞き取りは、普段の家庭での様子を知るために、診断に重要な手がかりとなります。ですので、同居のご家族がおられましたら、初診時にはなるべく同伴のうえ、ご来院下さい。