先週の金曜に、クリニックの恒例の忘年会をCamille(ココウォーク1F)で行いました。シェフは言わずと知れた上柿元 勝氏。ここは普段はパティスリーで、ケーキや焼き菓子などを販売しています。ここのケーキはどれも美味しいのですが、私は特に“蒸し焼きショコラ”が大の好物で、誕生日などにはホールを予約して頂いたりしています。
当院では、普段、一生懸命頑張ってくれているスタッフへの感謝の気持ちを込めて、年に2回、納涼会と忘年会を開き、スタッフを慰労しています。お店選びの担当は専ら私で、少しでもスタッフに喜んでもらえるように、いつも一生懸命、お店を選ばせて頂いております。“ここは美味しかった!”と思ったことのある数々のお店をこれまでに利用させて頂きました。どのお店でも一生懸命、料理を提供して頂き、いつも感謝しております
。
ですが、段々、思いつくグルメなお店が少なくなってきて(贅沢な話で、すみません...)、「今年はどこでしようか...」と考えていたところ、以前、あるブログで「パティスリー・カミーユで王道フレンチを堪能した」と書かれていたのを思い出しました。“事前予約で、本当に上柿元シェフのフレンチを頂くことができるのか?”と半信半疑ながら、恐る恐るCamilleにお電話してみたところ、「ムッシュに確認し、折り返しお電話いたします」とのこと。そして待つこと2日、なんと予約OKとの返事でした
。その約10日後に、今年の“現代の名工”に上柿元シェフが選ばれたニュースが飛び込んできました。長崎からはただ一人の選出でした。
そしてついに迎えた当日、お店に全員が集合すると、なんといきなり上柿元シェフ当人(以下、ムッシュと呼ばせて頂きます)が笑顔で厨房から出てきて歓迎してくれて、本日のメニューを一品一品、丁寧に説明してくださりました。まず、“とても気さくで親しみやすく、感じの良い方だなあ”というのが第一印象でした。料理はアミューズから始まり、前菜、スープ、メインと続いていくのですが、スープ辺りからあまりの料理の素晴らしさに圧倒され、段々言葉を失い、感動で涙が出そうになってきました。何とも言い表しがたいのですが、オーソドックスながら丁寧に仕事が施されており、火加減も絶妙で素材の味が最大限に引き出されていました。見た目も香りも味も食感も、全てが素晴らしく絶妙なのです...。お皿も一枚一枚、料理が冷えないよう全て暖められており、ムッシュの細やかな気遣いが感じられました。中でも、ムッシュのスペシャリテの一つである“パイ皮包み焼き”は至高の一品でした。もはや料理を超越した芸術と言っても過言ではありませんでした...。
時折、厨房から様子を見に出て来てくれて、談笑する時間もありました。おかげで、肩肘張らずにゆっくりと堪能させて頂けました。数々の逸話を聞かせて頂き、ただただ「すごいなぁ...」と呆気にとられていたところ、日本の料理界の第一人者であるムッシュが、会話の中でさらりと「まだまだ勉強の日々です」と
。その言葉に私はとてつもない衝撃を受けました。それは決して謙遜ではなく、まぎれもなくムッシュが心からそう思っていることが分かりました。まさにこの時、「料理もムッシュも、正真正銘の本物だ...」と心が震えました。笑顔を絶やさず気さくで飾らない方でしたが、その目の奥には青白く燃えたぎるムッシュの魂を感じました。それに呼応するように、私の魂が鼓舞されました。こういう体験はそうそうできるものではありません。
帰り際には記念撮影にも快く応じて頂き、スタッフ全員と写真を撮らせて頂きました。帰宅後、まだ感動に浸りつつも改めてムッシュについてネットで調べたところ、ムッシュの著書の中に以下のような一節をみつけました。
「情熱という言葉は簡単に使われていますけど、要するに死に物狂いというか、いかなる場合でも体を張って夢を実現しようとする強い強い信念ですよ。寝らんでもいい、飲まんでもいいから何かを得ようと常に自分の心が燃えているくらいの情熱がない限り伸びるどころか衰退以外ありません」
「一流の料理人である前に一流の人間であれ」
「この店で働こうときめたのなら最低でも三年はいなくちゃならない。仕事がたとえ掃除だけだったとしてもイモむきだけだったとしてもだ。三年くらいもガマンできないで他のどこに行っても勤まるはずがない。とにかく、がむしゃらに与えられた仕事をやるしかない」
まさに「信念の人」!。“現代の名工”に選ばれたのも納得です。きっと評価されたのは卓越した料理の技能だけではなく、その磨かれた人間性も含まれているのだろうと確信しました。なお、後に知ったことですが、今回の受賞時には「いまだ満足いく料理はない。毎日が勉強。本物とは何かを己に問い続けたい」とコメントしております。現状に満足することなく、常に本物を追い求める姿勢こそが、さらにムッシュを世界の極みへと導くのでしょう。当然、医学にもゴールはなく、日進月歩です。私もムッシュに習い、決して現状に甘んじることなく、「精神医学とは何か?いかにして患者を救うのか?」と真理を追い求め、日々、使命感を持って邁進していきたいと改めて心に誓いました。
ムッシュは現在も佐世保に自宅を構えているとのことでした。長崎の誇りです
。そして、今回のムッシュとの出会いに心から感謝です。また、今年も1年を通して頑張ってくれたスタッフ全員にも感謝、感謝です。

全員のメニューにムッシュ直筆のサインが書かれていました☆。