心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

ワインの発癌性について

2019年03月31日 | ブログ

NEJM Journal Watchの今月号で、「週1本のワイン(750ml)の発癌性は男性なら週5本、女性なら週10本の喫煙量に相当」することが英国の研究から示されたことが報告されました。

今回の研究から、ワインを毎週1本(750ml)飲むことは、女性なら週10本、男性なら週5本を喫煙するのと同等の癌発現率の上昇を招くと推定されました。

また、今回の解析によると、ワインを週一本飲むと男性なら100人あたり1人、女性なら100人あたり1.4人の癌を招くとのことです。男女差は、女性が主に乳癌をより生じ易くなることに起因しているとのことでした。

やはり、ワインにはポリフェノールが入っているから体によい、というわけではなさそうです...。

 


GW期間中の休診について

2019年03月31日 | ブログ

今年は新天皇の即位のため、GWが10連休となります。すでに当院のHPに掲載致しております通り、当院は暦通りの診療となります。

つまり、4月27日(土曜)までは通常診療で、4月28日(日)~5月6日(月)までが休診となります。よろしくお願い申し上げます。


静注する産後うつ病薬ZULRESSOをFDAが承認

2019年03月31日 | 抗うつ薬

今月の19日に、産後うつ病の静脈注射治療薬ZULRESSO (brexanolone)が米国FDAにより承認されました。開発に成功したSage Therapeutics社は本年6月中の発売を見込んでいます。

産後うつ病は、最重度の場合には子供と無理心中してしまうこともあるため、本薬剤の開発成功はビッグニュースと言えます。

ただし、本薬剤の有害事象としてひどい眠気や突然の意識消失の恐れがあるため、同薬剤の点滴中はずっとパルスオキシメトリの使用(血中の酸素量測定)が必要とされます。また、点滴中は家族などに赤ちゃんを預ける必要があります。

ZULRESSOの投与は1度きりですが、ロイター通信によると1回の治療の定価は34,000ドルとのことです。

ZULRESSOの成分brexanoloneは人に生来備わるアロプレグナノロンと化学的に同一で、GABAA受容体からの電流を強め、神経に働きかけることが分かっています。

本邦でも承認が期待されますが、まだはっきりとした開発の動向は不詳です。分かり次第、本ブログに掲載したいと思っております。

 


抗Aβ抗体「アデュカヌマブ」の第3相試験中止の発表

2019年03月31日 | 認知症

残念なお知らせです。本ブログでも2017年2月1日に話題にしておりましたアルツハイマー病治療候補薬の一つでありました抗Aβ抗体「アデュカヌマブ」の開発中止が今月21日にBiogen/Eisai(エーザイ)より発表されました。同社は2つの第3相試験を実施ておりましたが、いずれも主要評価項目を達成できる可能性が低いと判断されたことに基づきます。またしてもアルツハイマー病治療候補薬が第3相試験の高い壁に阻まれました。

現在、治験が進行中の、Eli Lilly社とAstraZeneca社が共同開発中の経口βセクレターゼ(BASE)阻害剤「AZD3293」や中外製薬の抗Aβ抗体「ガンテネルマブ」、MSD社のBACE阻害薬「MK-8931」、エーザイ社の抗Aβプロトフィブリル抗体「BAN2401」などの今後の進展が注目されます。

「BASE阻害薬」や「抗Aβプロトフィブリル抗体」も、「抗Aβ抗体」と同様にアルツハイマー病根治の可能性を持つアルツハイマー病治療候補薬であり、これらの今後の開発の動向にも目が離せません。