心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

うつ病の神経炎症仮説

2018年12月17日 | 気分障害

最近の医学関連の講演会は、オンラインでのwebセミナーという形態が増えつつあります。私自身もこれまでに4回程、webでの講演会の演者を務めさせて頂きました。

12月4日には、佐賀大学医学部精神医学講座の教授でいらっしゃいます門司 晃先生のweb講演会が開催され、僭越ながら私が座長を務めさせて頂きました。

「うつ病の神経炎症仮説」がメインのテーマでしたが、内容は非常に興味深いものでした。要は、様々な炎症物質が脳をはじめ、全身で悪さをすることで、うつ病が発症するということです。

例えば、肥大化した肥満細胞からは炎症性物質が分泌されるため、肥満やメタボリックシンドロームはうつ病発症のリスクを上昇させるとのことです。また、糖尿病もうつ病発症の危険因子の一つとのことでした。

他にも不健康な食習慣や運動不足、不眠、喫煙、アルコール依存なども慢性の炎症を伴い、うつ病の発症・悪化要因に成り得るとのことです。

ですので、運動やダイエットを行うこと、また、食事や睡眠へ配慮することは、うつ病の再発や再燃を予防するのに極めて重要と考えらえる、と講演の最後に結ばれておりました。

本ブログでもうつ病に対する運動療法の重要性は何度か取り上げてきましたが、改めて運動やダイエットの重要性が再認識されました。

うつ病の患者さん方は、最初は億劫かもしれませんが、最初は少しずつでも良いですので、ぜひ日常の生活習慣に運動やダイエットを取り入れて頂けますと予後がより良くなるでしょう。ぜひ、頑張りすぎない程度に、頑張ってみてください!