うつ病が巷に広く知られるようになり、一般の方でも“うつ病の人には、励ましてはダメなんでしょう?”と、「頑張れ」などの声掛けは禁句だと知られるようになってきました。これは、ある意味、正しいのですが、うつ病の概念が拡散している現在においては、全てのうつ病に対して“激励は禁忌”というわけではなくなってきています。
では、まずどのようなタイプのうつ病に「頑張れ」が禁句かというと、病前性格が“真面目で責任感が強い(メランコリー親和型)”、いわゆる古典的な内因性うつ病の患者さんです。このタイプのうつ病は、もうこれ以上頑張れないほど頑張って、疲弊してうつ状態になり、自責的・罪責的となっているため、「頑張れ」と励ますことは患者を追い詰めることになるので、励ましは禁忌です。
しかし、最近では“うつ病”といっても、上記の内因性うつ病以外にも過去に本ブログで取り上げたことのある“非定型うつ病”や“神経症性うつ病(気分変調症)”と呼ばれるタイプのうつ病も多くみられるようになってきており、これらのタイプのうつ病患者に対しては、時には適度に励まして背中を押すことがよい結果につながることがあります。
よって、“全てのうつ病”=“激励禁止”というわけではありません。ですので、うつ病の患者さんに対する接し方はうつ病のタイプによって異なるため、患者さんの家族は「うつ病=励ましはダメ」と決めつけず、接し方については主治医とよく話し合い、正しい知識を持ち、患者が回復に向かうよう適切に接することが大切です。