製薬企業のMSDは、2月17日より四環系抗うつ薬のテトラミド錠10mgの自主回収を開始しました。理由は、安定性モニタリングで、2つの製造番号の製品について溶出性が承認規格に適合しないことが判明したためです。あわせて、出荷停止も行うことが決定されました。
溶出性の遅れにより、「吸収に遅れが生じ、効果発現が遅延する可能性を否定できない」とのことですが、効果の発現が多少遅延したとしても、患者さんに大きな不利益が生じるとは考えにくいです。現に、MSDも「重篤な健康被害の恐れはまずない」 と表明しており、今回の自主回収・出荷停止には疑問を感じざるを得ません。
というのも、過去に本ブログでも取り上げたことがあるように(https://blog.goo.ne.jp/mori8701/e/104482fd616fe986948f66beba4ac30f)、テトラミドは非常に優れた薬剤であり、当院の主力商品で、最も処方の多いお薬のひとつだからです。
テトラミドには30mg錠もあり、こちらは特に問題はないため引き続き供給されるものの、10mg錠の出荷停止に伴い、出荷制限が行われます。そのため、テトラミドの今後の処方に大きな影響が出るのは必至で、非常に困っています...。
一番にご迷惑をかけてしまうのは現在、テトラミドで良い調子を保っている患者さんの皆様です。正直、テトラミドに代わるお薬はないため、どのような対策を立てるか、頭を抱えています😕 。
今回のMSDの責任は非常に重く、事の重大さを真摯に受け止め、一日も早くテトラミド10mg錠の出荷を再開してほしいです😟 。