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心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

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妊娠中の過剰な葉酸摂取が自閉症のリスクに

2016年05月28日 | 発達障害

The FASEB Journalというアメリカの機関誌の2016年4月号に、「妊娠中の葉酸とビタミンB12の過剰摂取により自閉症児出産のリスクが上昇する可能性」を示唆する研究が報告されました。この研究では1998年から2013年の間に分娩時に母親が登録され、母子約1,400組のデータが分析されています。

結果ですが、分娩時に母親の血中葉酸値が過剰に高い場合、正常値の母親に比べて自閉症児が生まれる確率が2倍となり、ビタミンB12の値が過剰な場合は3倍であることが判明しました。葉酸とビタミンB12がいずれも過剰であった母親が最もリスクが高く、両方とも正常値の場合と比べてそのリスクは17倍以上()になると報告されています。ちょっと驚きです。ただし、まだ「因果関係は明らかではない」とも述べられています。

一般的に妊娠中の葉酸摂取は、胎児の神経管欠損の予防のために必要であるということは周知の事実であり、妊娠中に推奨されている用量の葉酸を摂取することが大切であることには変わりありません。また、最近の他の研究では、葉酸とビタミンB12が発達中の胎児の自閉症を予防することも示されています。ですので今回のこの研究結果に惑わされずに、妊娠中に適量の葉酸とビタミンB12を摂取することは引き続き重要と判断されます。

ただし、過剰な摂取は控えた方が良さそうです。何事も、「適量」が大事なんでしょうね