心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

非定型うつ病

2011年07月26日 | 気分障害

うつ病にはいくつかタイプがあり、そのひとつに「非定型うつ病」があります。非定型うつ病の特徴には、“良い出来事があると、気分がよくなる(気分反応性)”、“過眠”、“過食”、“鉛のような体の重さ”、などがあります。一般的なうつ病とは特徴が異なるため、「非定型」と呼ばれます。一番効果のある治療薬はMAO-A阻害薬とよばれるお薬ですが、残念ながら日本にはありません。SSRIと呼ばれる抗うつ薬のなかでは、ジェイゾロフトと呼ばれるお薬が比較的有効といわれています。


非定型うつ病に伴う食欲亢進や食事量の増加、炭水化物の過剰摂取の改善には、クロミウム・ピコリネートという微量ミネラルが効果的との報告があります。クロミウム・ピコリネートは、サプリメントとしてインターネット上などで購入が可能です。ただし、健常人がクロミウム・ピコリネートを内服しても減量効果はないことが分かってますので、ダイエット目的で内服しても効果はありません。残念!


認知行動療法

2011年07月20日 | 気分障害

当院ではうつ病の患者さんに対して、薬物療法のみでなく、認知行動療法も行っております。認知行動療法とは心理療法のひとつで、うつ病患者の考え方や行動のクセを修正することで気分の改善を図ったり、うつ病の再発を防止したりする効果が期待できます。15~16回のセッションで治療終結となります。ただし、うつ病すべての患者さんに適応があるわけではなく、薬物療法が優先される場合も多々あります(急性期など)。詳しくは、診察時にお尋ねください。


やせ薬

2011年07月15日 | ブログ

最近、肥満治療薬(やせ薬)として注目を集めていた“Contrave(コントレーブ)”というお薬が、アメリカFDA(米国食品医薬品局)に承認されず、その開発の停止が先月発表されました。まだ安全性に問題があると判断されたようです。これまでにも“やせ薬”はいくつも開発されてきましたが、様々な副作用のため、開発・販売が中止されているのが実情です。2006年にヨーロッパで販売が承認された“リモナバン”という肥満治療薬は、うつや自殺の副作用があることがその後判明し、販売中止となりました。


飽食の現在、一旦、太ってしまうとダイエットをして標準体重に戻すのはなかなか容易ではありませんが、健康的に体重を落とすには、地道に食事療法と運動療法を継続するしか今のところ方法はなさそうです。ちなみに私の話ですが、大学卒業後、徐々に体重が増え、一時80kg(BMI 30!)まで太ってしまいました。そのため、3年前に意を決してダイエットに取り組み、ダイエット後はリバウンドなく60kg(BMI 22)を2年間保っています。私の場合は、根本的に食生活を大きく見直しました。


うつ病に対する運動療法

2011年07月08日 | 気分障害

適度な有酸素運動は、抗うつ効果があることが知られています。これは、運動により、脳内のセロトニンという物質が増加するためと考えられています。ウォーキングやジョギング、自転車、水泳など、どんな運動でもOKです。週に3回、1回20~30分程度でよいでしょう(あまり負担にならないようにすることも大事です)。運動を日常生活の習慣にできるといいですね。運動療法は抗うつ薬での治療よりもすぐれていた、という報告もあります。うつ状態の時は、何をするにも億劫とは思いますが、思い切って運動をしてみると、運動後は気分が割とすっきりしていることに気付くかもしれません。また、運動の継続は、うつ病の再発防止にもなります。


ラミクタール

2011年07月01日 | 気分安定薬

本日、ラミクタールというお薬が、双極性障害(躁うつ病)の治療薬として承認されました。ラミクタールは、気分安定薬・抗てんかん薬に分類されるお薬です。気分安定薬には、他に炭酸リチウム、デパケン、テグレトールの3剤がこれまでにもありましたが、いずれも主に躁状態に効果を発揮するお薬でした。一方、ラミクタールは躁とうつの両方(特にうつ)の再発を予防し、気分を安定させるお薬で、他の気分安定薬とはプロフィールが異なります。

実は、躁うつ病のうつ状態の治療は難しいので、本薬剤が躁うつ病に適応を取得したことは、とてもありがたいことです。ただし、副作用として時に薬疹が出現するため、少量から慎重に投与を開始する必要があります。


DHA

2011年07月01日 | サプリメント

巷には、「〇〇症に効果がある」と謳っているサプリメントがあふれていますが、医学的に効果が実証されているものは、実は少ないのが現状です。


DHA(ドコサヘキサエン酸)は、皆さんおなじみのサプリメントですが、認知症の進行防止に関しては、残念ながら効果がないことがおおむね立証されています。しかし、まだ認知症を発症していない高齢者を対象にした研究では、DHAの摂取が認知症の発症を予防するという報告があります。他にも、DHAの血中濃度が高いと、認知症になるリスクが低下するとも報告されています。


DHAは魚類(特に青魚)に多く含まれているので、普段から魚中心の食生活を送っていると、将来、認知症になるリスクを減らせるかもしれません。