ストラテラという注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療薬がありますが、これまでは年齢制限があり、18歳以上の患者さんには処方できませんでした。しかしこの度、本年8月に18歳以上の成人期AD/HDにも適応追加が承認され、使用が可能となりました。成人期のAD/HDは小児期と比べて多動性が弱まり、不注意が目立つ傾向にあるようです。
AD/HDの治療は決して薬物療法だけではなく、コミュニケーションのトレーニングや環境調整、周囲の理解や援助など多岐に渡ります。しかし、薬物治療を行うことで集中力や注意力が増し、学業や職業上の支障が減りますので、ストラテラは小児期のみならず、成人期AD/HDにも役立つお薬だと感じています。ちなみに、ストラテラの作用機序は選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害で、NRI(norepinephrine reuptake inhibitor)と呼ばれるお薬のひとつに分類されます。ストラテラの投与により、前頭前野のドパミンおよびノルアドレナリン濃度が上昇することによって、AD/HDの諸症状が改善すると考えられています。主な副作用は嘔気で、投与初期には約4割に出現します。