「ええっーーっ。将弘って、元カノにもらった 時計 まだ捨ててなかったの?」
って ことが 発覚したのが 原因でした。
「いやあ、 元カノには 愛情ないけど、この時計には、 愛着があるんだよね~。
元カノは 捨てれても この時計は 捨てれなくってさあ。」
今まで 全然 気にもとめなかった、将弘の元カノ。
「そんなに好きじゃ なかったから 別れた」
と 言っていたけど 案外 違うのかもしれない・・・。
噂によると、元カノとは、テニスのサークルで知り合い、彼女は今 製菓学校に通っているらしい。
テニスと お菓子づくりが 好きなのか・・・。
もしかしたら、将弘は、元カノの お菓子に惚れていたのかもしれない。
そうおもった 彩は、お菓子作りを 始めた。
「俺、 実は、 スイーツ男子なんだよね~。うれしいな~。 ロールケーキ 作ってよ。俺の好物」
将弘が スイーツ好きだとは、知らなかった。
将弘は、 やっぱり お菓子作りが 上手な 彼女が 欲しかったのかもしれない。
そう思うと、 気合いが はいった。
彩は いろんなロールケーキを 作った。いちごを入れたり、プリンを入れたり、キャラメルクリーム入れたり、クレープ風にしたり。
「ねえ、その時計 捨てて。それよりいいものをかってあげるから」
10万円の支出は 痛いけど、元カノにもらったものを 身につけてほしくなかった。
こうなったら、女の意地だ。
「わかったよ。ごめんな。
俺、欲しい時計が 一個あるんだ。これは捨てるから、見に行こうな」
そういって、将弘は おいしそうに ロールケーキを 食べた。
「彩、ありがとう~。俺 これが 欲しかったんだよ。
大切にするからな」
そう言って、将弘が 手に取ったのは 20万円の 時計でした。
実に さりげなく。
悪いなって 口にしながら、心の中では 全然思っていないかんじで。
将弘が 好きなのは、 お菓子をつくってくれる彼女じゃなくて、
お金を たくさん持っている彼女なのかもしれない・・。とふと思った彩でした。
でも、いつか 私は 裏切られても この時計だけは まだ 身につけていてくれそうだ。