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クラシック倶楽部 チョン・キョン・ファ ヴァイオリン・リサイタル

2023-02-15 23:37:05 | 音楽夜話(クラシック)
クラシック倶楽部 チョン・キョン・ファ ヴァイオリン・リサイタル

ラフマニノフ:ヴォカリーズ
バッハ:シャコンヌ
フランク:ヴァイオリン・ソナタ 

フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 OP13
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 Op109
ソリスト・アンコール ドビュッシー(ハイフェッツ編):「美しい夕暮れ」
2016年6月5日 東京オペラシティーコンサート・ホール


チョン・キョン・ファ、若いころ名曲集のCD1枚持っていた。感情が入った演奏は
当時好きだった。ストレートでありながらも上品に聞こえた。好きな小品を流しながら
聴いている至福の時間があった。そんな思いがめぐってきた。
年齢が上がり技術的に完璧な演奏ができなくなっても、ほかのアプローチの仕方で表現していく。
70歳を超えても、ステージに立ち続けるというのは、なかなかできないことだと思う。
テクニックやメンタルな部分で、プロとしての引き際を迫られることもあるだろう。
そこまでやろうとしていることは感じられた、聴き手に伝えることがまだあるうちは頑張るのではないか
とおもう。そんな演奏だった。プロだな。


話は変わって、ピアノ伴奏にケヴィン・ケナーは、譜面台にI-PADのようなタブレットを置いていた。
よく弦楽演奏者の立位での演奏で、タブレットを譜面台において、足元にペダル式の譜めくり
が置いてあったりしたのを見たことがある。


ピアノでは譜めくりにあたる女性が左に控えていた。ケナーは弾き続けるが、タブレットを操作する気配はない。
譜めくりにあたる女性もタブレットを触って(タップするなどして)譜めくりするわけではない。
一体どうなっているのかよくわからず、女性は膝の上に手を置いていて、目線はタブレットを凝視している。
一つも外さないという緊張感が伝わる。


よくよく調べてみると、弦楽演奏者が足元に置いている、「タブレット・ページ・ターナー」という譜めくりの
無線での機械をケナーの譜めくりをしている女性は膝の上に置いて、適宜に操作して、譜面をめくって
いたようだった。それなら凝視していたのはわかるが、小さいタブレットの譜面の進度を把握するのは
大変だろうし、緊張も大変なものだろうなと思った。


演奏者は集中を欠かないために、自分で操作する事はほぼないのだろう。任せるにも、時代は変わり
タブレットになり、機械がそうするようになった。便利なのか不便なのかよくわからない世界になる。
安心のために、譜面を置いているようだが、(本来暗譜している可能性も高いけれどもしもというときの
担保かもしれない)演奏家も音楽以外の部分の技術の進歩にも対応していかなければならず、
昔の作曲家が見たらなんて言うだろう。
最近、コンサートにも出かけないし、映像でのコンサート放送も進んでみるわけでもないので、
浦島太郎状態のこともあるのだなと感じた。