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中緯度領域の2.5倍も赤道領域の自転が速かった! 太陽のような恒星の自転周期を調べてみて分かったこと

2018年10月16日 | 太陽の観測
質量や年齢が太陽と似た恒星の観測から、これらの星の自転速度は太陽と同様に、緯度の高いところよりも赤道の方が速いことが明らかになりました

ただ、太陽とは異なり、赤道付近の速度は中緯度に比べて2.5倍も大きいようです。


太陽の自転周期は緯度によって異なっている

太陽の自転周期は、赤道付近では約25日なんですが緯度が高くなるにつれて長くなり、極付近では約30日にもなります。

つまり、赤道付近の自転速度は緯度の高いところよりも速いということになるんですねー

これは太陽が液体(気体)で構成されているから起こる現象で、このように緯度によって速度が異なる回転を差動回転(微分回転)と呼びます。

もちろん、太陽と似たような恒星も同じように差動回転しているはずなんですが、これまで分かっていたのは赤道付近が高緯度部分よりも速いということ、詳細は不明なままでした。


星の内部を伝わる音波を利用して星の構造を調べる

今回の研究で用いられたのは、星の内部を伝わる音波から星の構造を調べる“星震学”の手法でした。

アメリカ・ニューヨーク大学アブダビ校宇宙科学センターの研究チームが、NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測データから、質量と年齢が太陽に似た13個の恒星の自転を正確に測定。

その結果、これらの恒星の赤道領域が中緯度領域の約2.5倍の速さで回転していることが初めて明らかになります。

赤道領域が速いという点では太陽と同じなんですが、太陽の場合には赤道の自転は1割ほど速いだけです。
この点で観測された星とは大きな違いがありました。

これまで数値シミュレーションで考えられていたのは、こうした恒星がこれほど大きな差動回転を維持することはできないということ。
そう、この結果は予想外のもので、理論の正当性が問われることになります。
○○○
緯度によって自転速度が異なる。青い矢印が長いほど速くなる。


恒星の自転を理解すれば太陽嵐のことも分かってくる

太陽の自転は、太陽の磁場を発生させるうえで決定的な役割を果たしていると考えられていて、熱心に観測や研究が行われてきました。

でも、その詳細はまだはっきりと分かっていないんですねー

太陽の磁場は大規模な太陽嵐を引き起こすことが知られています。

太陽嵐は、しばしば人工衛星に障害を発生させたり、地球の送電線にダメージを与えたりすることがあるので、磁場発生の仕組みを理解することは、私たちの生活においても極めて重要なことといえます。

恒星の自転と地場の生成についての理解が進めば、磁場を生み出す物理的なプロセス“太陽のダイナモ機構”に関する情報を得るうえで、大いに役立つようですよ。


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