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28日の種子島、高層風の風速は問題なかったけど風向きが… 30分前に中止になったH-IIAロケット47号機の打ち上げ

2023年08月30日 | 宇宙 space
2023年8月28日(月)に予定されていたX線分光撮像衛星“XRISM”と小型月着陸実証機“SLIM”を搭載したH-IIAロケット47号機の打ち上げ。
三菱重工業とJAXAによると、高層風が制約条件を満たさなかったので、打ち上げの約30分前に中止を決めたそうです。

X線分光撮像衛星“XRISM”と小型月着陸実証機“SLIM”は、H-IIAロケット47号機(H-IIA・F47)により、種子島宇宙センターから2023年9月7日8時42分11秒(日本時間)に打ち上げられました。
ロケットは計画通り飛行し、“XRISM”は打ち上げから約14分09秒後、“SLIM”は約47分33秒後にロケットから正常に分離されたことが確認されました。


ただ、台風9号と台風11号により、種子島はしばらく天候が悪い予報…
なので、新たな打ち上げ日時は未定になっています。
射点に立つH-IIAロケット47号機(Credit: Mynavi)
射点に立つH-IIAロケット47号機(Credit: Mynavi)

晴れていても打ち上げを延期する理由

ロケットを打ち上げるには、様々な制約条件をすべて満たす必要があります。

今回、H-IIAロケット47号機の打ち上げで問題になったのは、飛行安全系・射場系における高層風の条件にありました。

これは、“射点近傍で破壊した場合に、落下破片などによる警戒区域外への影響がないこと”というもの。

三菱重工業によると、高度5~15キロに最大で秒速30メートルの強風が吹いていたそうです。
ただ、この風速でも、ロケットの飛行自体には問題は無かったようです。

では、何が問題になっていたのでしょうか?

それは、高層風の風向きにあったんですねー

東から北東の風だったので、万が一に指令破壊などで機体がバラバラになったとすると、風によって破片が陸側に流されて、射点から半径3キロの立ち入り規制エリアの外側に落下する恐れがありました。
主な制約条件。ロケット系にも高層風の条件があるが、今回問題になったのは飛行安全系・射場系の方だった。(Credit: MHI)
主な制約条件。ロケット系にも高層風の条件があるが、今回問題になったのは飛行安全系・射場系の方だった。(Credit: MHI)
気になる新たな打ち上げ日なんですが、予測は難しい状況にあるようです。

当日の延期だったので、通常であれば次の打ち上げは最短でも3日後になるはずです。
ただ、接近中の台風の影響などもあるので、しばらくは打ち上げに適さない天候が続く見通しです。

新たな打ち上げ日がすぐに発表できなかったのは、そういう事情があったんですねー
28日に更新された週間予報。毎日見事に△や×が出ている。(Credit: JAXA)
28日に更新された週間予報。毎日見事に△や×が出ている。(Credit: JAXA)
機体は28日18時より“VAB(大型ロケット組立棟)”に戻され、点検や整備が行われる予定。
新たな打ち上げ日が決まり次第、それに向けた準備が再び行われることになります。

やや気がかりなのは、今回の予備期間が9月15日までになっていること。

まだ2週間以上の余裕があるとはいえ、台風の影響が長期化すれば、厳しくなってくると予想されます。

もし、今回のウィンドウ(打ち上げ期間)を逃すと、打ち上げがさらに大幅に遅れてしまうので、できれば今回のウィンドウで打ち上げられるといいですね。


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