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モバライダー mobarider

オーロラエネルギー取り込みの仕組みを衛星観測で解明

2016年07月30日 | 宇宙 space
オーロラ爆発のエネルギー源になる太陽風の地球磁気圏への取り込みが、
約7万キロの広範囲にわたって5時間以上継続することが明らかになりました。

人工衛星“ジオテイル”と“MMS”の観測から明らかになったこの仕組みは、
エネルギーの取り込みが、磁気リコネクションによって起こることを示す結果になったんですねー


磁気リコネクション

太陽から吹き出す高速のプラズマの流れ“太陽風”は、
生命にとっては有害なものなんですが、
地球磁気圏がバリアとして働き太陽風を防いでくれています。

太陽風が地球に到達してエネルギーが磁気圏に入り込むと、
磁気圏尾部にエネルギーがため込まれることになります。

このエネルギーが短時間で一気に解放され、
プラズマ粒子のエネルギーとなり磁力線に沿って地球の極地方へ進むと、
オーロラが発生します。

この際、エネルギーの取り込みや解放に重要な役割を果たすのが、
磁気リコネクション(磁力線のつなぎかえ)になります。

磁気リコネクションによってオーロラや磁気嵐が起こると考えられていて、
その物理過程の理解は地球周辺の宇宙空間で起こる現象を解き明かす上で、
重要なカギになります。

今回の研究では、
太陽風のエネルギーが地球の磁気圏に入り込む過程を調べるため、
観測データの解析が行われています。

使われたデータは、日米共同の磁気圏尾部観測衛星“ジオテイル”と、
NASAの磁気圏編隊観測衛星“Magnetospheric Multiscale(MMS)”の観測データでした。

  “ジオテイル”は、この7月で運用24年を迎えた長寿の人工衛星。
日米共同の磁気圏尾部観測衛星“ジオテイル”と、
NASAの磁気圏編隊観測衛星“Magnetospheric Multiscale(MMS)”による
観測のイメージ図。

複数個所で磁気リコネクションが起こると、
らせん状の構造をした磁気ロープが発生することがあります。

これまで、この構造は消えることはないと考えられてきました。
でも、今回の解析により消滅するものもあることが分かるんですねー

この結果は、磁気リコネクションが起こると、
必ず太陽風のエネルギーが地球の磁気圏に流入するわけではないということ、
つまり磁気ロープによって太陽風エネルギー流入が阻害される場合があることを、
示唆するものでした。

一方、磁気リコネクションは継続的に起こり少なくとも5時間以上継続することや、
磁気リコネクションが約7万キロ(地球半径の10倍以上)の広範囲にわたっていることも、
分かります。

今後、半年以内に“ジオスペース探査衛星”が打ち上げられる予定なので、
“ジオテイル”との共同観測により、
地球周辺の宇宙空間で起こっている現象の理解が進むことが期待されますね。


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