宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

中間質量ブラックホールは球状星団の中心に隠れていた

2017年02月21日 | ブラックホール
存在するのかどうか…
決定的な証拠が見つかっていない中間質量ブラックホール。

今回、太陽2,200個分の質量を持つ中間質量ブラックホールが、
球状星団“きょしちょう座47”の中心に隠れていることを示す証拠が、
見つかったというお話です。


存在が予測されたブラックホール

現在知られているブラックホールは、
2つのタイプに分けることができます。

1つは、太陽の数倍程度の質量を持つ恒星質量ブラックホールで、
もう1つが、太陽質量の数百万倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールです。

ただ一方で、存在は予測されているのですが、
決定的な証拠が見つかっていないブラックホールもあるんですねー

それが、太陽質量の100倍から1万倍という中間質量ブラックホールです。

今回、中間質量ブラックホールが隠れていることを示す証拠を、
研究チームが発見しています。

どうやら球状星団“きょしちょう座47”の中心に、
太陽2,200個分の質量を持つ中間質量ブラックホールがあるようです。


見つけられないブラックホール

“きょしちょう座47”が位置しているのは、
“きょしちょう座”の方向約1万3000光年彼方。

年齢120億歳の星が数十万個ほど、
直径120光年ほどの球状の領域に集まり星団を形成しています。
“きょしちょう座47”の中心にある中間質量ブラックホールのイメージ図

実は“きょしちょう座47”での中間質量ブラックホール探しは、
行われてきたのですが、これまで見つかっていませんでした。

多くの場合にブラックホールは、
その周囲を取り巻く高温の円盤“降着円盤”から放出される、
X線を探すことによって見けられます。

  ブラックホールに落下する物質は角運動量を持つため、
  降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作る。
  降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマへ、
  この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、
  降着円盤からは荷電粒子のジェット噴射しX線などが観測される。
 

でも、その方法はブラックホールが周囲のガスを、
活発に飲み込んでいるときだけにしか使えません。

“きょしちょう座47”の中心部にはガスが無いので、
そこにブラックホールが潜んでいても、この方法では見つけられないんですねー

また、ブラックホールの強力な重力によって、
近くの星の運動に影響が生じることがあります。

この様子を観測することでも、
ブラックホールの存在を知ることが出来るのですが、
“きょしちょう座47”の中心部は密集しているので、
個々の星の動きを見ることが出来ません。


ブラックホールの見つけ方

では、今回はどのようにして、
ブラックホールの存在を突き止めたのでしょうか?

まず1つ目の証拠は、星団全体の星の動きから得られました。

球状星団は密集度が非常に高く、
こうした環境では重い星は、星団の中心へと沈んでいく傾向にあります。

でも、星団中心に中間質量ブラックホールがあると、
ブラックホールがスプーンのように星をかき回して、
重い星々が光速で遠くへ飛ばされてしまいます。

そこで今回は、星の動きと距離に関するシミュレーションと、
可視光線観測の結果とを比較することで、こうした現象の証拠が見つけることができました。

そして第2の証拠が、球状星団中のパルサーの観測から得られています。

パルサーもまた、星団中心のブラックホールの重力によって、
遠くへ投げ飛ばされてしまいます。

ブラックホールがないと考えた場合と比べて、
遠いところでパルサーが見つかったので、ブラックホールはあると考えられるんですねー

これらの証拠から、
太陽質量2,200個分の中間質量ブラックホールの存在が、
示唆されることとなりました。

“きょしちょう座47”のブラックホールは、
長い間、検出から逃れていました。

なので他の球状星団にも、
同じように中間質量ブラックホールが隠れているのかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 初の中間質量ブラックホールを確認 “HLX-1”


最新の画像もっと見る

コメントを投稿