位置天文衛星“ガイア”の観測データから、超高速で天の川銀河の近くを移動している星が20個も見つかりました。
そのうち13個は他の銀河から天の川銀河にやってきた可能性があるようです。
ブラックホールの巨大な重力に弾かれた星
私たちの住む地球や太陽系が属している天の川銀河には、1000億個以上の星が存在しています。
驚くのは、そのうちのいくつかの星が秒速数百キロという猛スピードで運動していること。
これらの高速で移動する星は“超高速星”と呼ばれていて、銀河の中心近くで誕生したと考えられています。
その後、銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールの巨大な重力に弾かれ、高速で銀河の端の方に飛ばされることになります。
天の川銀河に向かってくるように運動している星を発見
オランダ・ライデン大学の研究チームでは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”の観測データから、新たな“超高速星”を探し出す研究を進めています。
“ガイア”は10億個以上の星の位置や距離、天球上の動きを計測していて、
今年の4月に公開された“ガイア”の第2期データには、
700万個の星について3次元の速度データが含まれている。
そして、研究チームが発見したのは20個の“超高速星”。
でも、そのうち13個は天の川銀河から逃げ出すのではなく、天の川銀河に向かって来るように運動していました。
そう、これらの星は他の銀河からやってきた可能性があるんですねー
ここで気になるのが、これらの“超高速星”は一体どこからやって来たのかということ。
天の川銀河のお隣さん“大マゼラン星雲”から来たのかもしれないし、もっと遠く離れた銀河かもしれません。
もし、そうした銀河から来た星なら、星に残された情報から故郷の銀河に関する大きな手掛かりが得られるかもしれません。
ちょうど火星由来の隕石から、火星について調べるようなものですね。
“超高速星”の存在は近くに超大質量ブラックホールがある証拠
超大質量ブラックホールの巨大な重力に弾かれ、星は高速に移動することになります。
つまり、こうした星の存在が、超大質量ブラックホールが近傍の宇宙に存在する証拠になるのかもしれません。
あるいは、“超高速星”は過去に連星系を成していたのかもしれません。
連星系の伴星が超新星爆発で無くなったことで放り投げられて、天の川銀河にやってきた可能性もあります。
きっかけはIa型超新星爆発? 宇宙最速! 時速420万キロで移動する星を発見

いずれにしても、これらの星を詳しく調べることで、近傍の銀河で起こっているこの種のプロセスについて情報が得られるかもしれません。
年齢や組成から分かる星の起源
別の話として、“超高速星”の起源は天の川銀河のハロー部分だという説もあります。
ハローは銀河全体を包み込むように希薄な星間物質や球状星団が
まばらに分布している球状の領域。
かつて天の川銀河に飲み込まれた一つの矮小銀河との相互作用で星が加速され、天の川銀河の内側へ押し込まれたという考えです。
ハロー由来の星であれば、組成のほとんどが水素で、かなり年老いているはずなので、星の年齢や化学組成の情報から、その起源を明らかにできそうです。
他の銀河を起源とする星だと重元素を多く含んでいるのかもしれません。
“ガイア”は2020年代に少なくとも2回のデータ公開を予定しています。
その公開されるデータからは、さらに多くの星に関する、より正確で新しい情報が得られる見込みです。
最終的には、最大1億5000万個の星について、完全な3次元速度の計測が行われるようですよ。
こちらの記事もどうぞ
ブラックホールに飛ばされた星

そのうち13個は他の銀河から天の川銀河にやってきた可能性があるようです。
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私たちの住む地球や太陽系が属している天の川銀河には、1000億個以上の星が存在しています。
驚くのは、そのうちのいくつかの星が秒速数百キロという猛スピードで運動していること。
これらの高速で移動する星は“超高速星”と呼ばれていて、銀河の中心近くで誕生したと考えられています。
その後、銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールの巨大な重力に弾かれ、高速で銀河の端の方に飛ばされることになります。
天の川銀河に向かってくるように運動している星を発見
オランダ・ライデン大学の研究チームでは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”の観測データから、新たな“超高速星”を探し出す研究を進めています。
“ガイア”は10億個以上の星の位置や距離、天球上の動きを計測していて、
今年の4月に公開された“ガイア”の第2期データには、
700万個の星について3次元の速度データが含まれている。
そして、研究チームが発見したのは20個の“超高速星”。
でも、そのうち13個は天の川銀河から逃げ出すのではなく、天の川銀河に向かって来るように運動していました。
そう、これらの星は他の銀河からやってきた可能性があるんですねー
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天の川銀河上に示された20個の“超高速星”の位置と軌道。 オレンジの矢印は、他の銀河から来たと思われる13個の“超高速星”、 赤い矢印は、天の川銀河の重力を振り切るほどの速度で銀河の外へ向かう7つの“超高速星”。 |
天の川銀河のお隣さん“大マゼラン星雲”から来たのかもしれないし、もっと遠く離れた銀河かもしれません。
もし、そうした銀河から来た星なら、星に残された情報から故郷の銀河に関する大きな手掛かりが得られるかもしれません。
ちょうど火星由来の隕石から、火星について調べるようなものですね。
“超高速星”の存在は近くに超大質量ブラックホールがある証拠
超大質量ブラックホールの巨大な重力に弾かれ、星は高速に移動することになります。
つまり、こうした星の存在が、超大質量ブラックホールが近傍の宇宙に存在する証拠になるのかもしれません。
あるいは、“超高速星”は過去に連星系を成していたのかもしれません。
連星系の伴星が超新星爆発で無くなったことで放り投げられて、天の川銀河にやってきた可能性もあります。
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いずれにしても、これらの星を詳しく調べることで、近傍の銀河で起こっているこの種のプロセスについて情報が得られるかもしれません。
年齢や組成から分かる星の起源
別の話として、“超高速星”の起源は天の川銀河のハロー部分だという説もあります。
ハローは銀河全体を包み込むように希薄な星間物質や球状星団が
まばらに分布している球状の領域。
かつて天の川銀河に飲み込まれた一つの矮小銀河との相互作用で星が加速され、天の川銀河の内側へ押し込まれたという考えです。
ハロー由来の星であれば、組成のほとんどが水素で、かなり年老いているはずなので、星の年齢や化学組成の情報から、その起源を明らかにできそうです。
他の銀河を起源とする星だと重元素を多く含んでいるのかもしれません。
“ガイア”は2020年代に少なくとも2回のデータ公開を予定しています。
その公開されるデータからは、さらに多くの星に関する、より正確で新しい情報が得られる見込みです。
最終的には、最大1億5000万個の星について、完全な3次元速度の計測が行われるようですよ。
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