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モバライダー mobarider

銀河円盤と同じ方向に回転しながら落ち込んでいくハローガスを観測、この後ガスは星形成の材料になるそうです。

2019年07月03日 | 銀河・銀河団
典型的な星形成銀河50個を数年かけて観測して得られたもの。
それは、銀河を取り巻く冷たいハローガスは、たいていの場合銀河円盤と同じ方向に回転していることを示す初の直接的な観測的証拠でした。

これにより、星形成の燃料を銀河円盤がどのように得て成長しているのか っという、これまでの謎が解明されそうですよ。



銀河全体を包み込む球状の構造“ハロー”

銀河を取り巻く球状構造“ハロー”には、薄いながらもガス(ハローガス)が存在しています。
  ハローは銀河全体を包み込むように希薄な星間物質や球状星団が
  まばらに分布している球状の領域。

このハローガスは、銀河がどのように進化してきたかを知る重要な手がかりになると考えられているんですねー

10年ほど前の理論モデルからは、回転する冷たいハローガスの角運動量によって銀河の重力の一部が相殺されることで、銀河円盤へのガスの降着速度が遅くなり、円盤の成長期間が長くなることが予測されていました。


ハローガスを調べれば銀河円盤がどう成長するのかが分かってくる

今回、アメリカ・カリフォルニア大学サンタバーバラ校のチームが行ったのは、50個の典型的な星形成銀河におけるハローガスの回転の向きと速度を調べる観測・研究。

研究チームでは、アメリカ・ハワイにあるケック天文台で、銀河の背後に位置する明るいクエーサーのスペクトルを観測し、クエーサーの吸収スペクトルから、見えざるハローガスを検出しています。

さらに、スペクトルに現れるドップラー効果から、ガス雲の回転の向きと速度を調査。
すると、銀河の円盤の回転と同じ向きにハローガスが回転していること、ガスは銀河円盤に向かって渦を巻きながら落ち込むことが分かってきます。
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銀河円盤と同じ方向へ回転しているハローガスが検出された銀河の1つヘルクレス座の“j165930+373527”。
ハッブル宇宙望遠鏡のデータ(青と緑)とケックII望遠鏡の近赤外線カメラ“NIRC2”のデータ(赤)を合成している。
このガスは、もともとは銀河からずっと遠く離れたところに蓄積されていたもの。
何らかの原因で銀河の方へと動いて来るうちに、今見られるような銀河円盤と同じ向きに回転するハローガスになった可能性が考えられます。

今回の研究成果は、これまでの理論の正しさを確認するもの。
ハローガスの角運動量は円盤へと落ち込むガスの速度を遅くするほど強いものだが、銀河円盤へのガスの供給を完全に止めてしまうほどではないことが示されることになります。

銀河は大質量のガスに取り囲まれていて、目に見える銀河の範囲から非常に遠くまで広がっています。

それらの物質が銀河円盤にどのように運ばれて、次世代の星形成の材料として供給されていくのかは、これまではっきりと分かっていません。
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星の形成材料として銀河円盤へ供給されるガスの流れ(青)のイメージ図。
これから研究チームが進めるのは、銀河円盤へと引っ張り込まれるハローガスの割合を計算し、星形成率とガスが流れ込む割合を比較すること。

これにより、星形成銀河の進化や、数十億年という時間スケールで銀河円盤がどのように成長を続けるのか分かるようですよ。


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