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太陽から奇妙な放射線… 原因は裏側にあった

2017年03月15日 | 太陽の観測
地球からは見えない太陽の裏側で発生したフレア。

このフレアに伴うガンマ線が、NASAの宇宙望遠鏡の連携により、
太陽のこちら側で初めて観測されたんですねー

太陽フレアに伴って放出された物質が地球に飛来すると、
壮麗なオーロラが見られる一方で、人工衛星を損傷させたり、
電力網に大きな被害を与えたりすることもあります。

今回の観測結果からは、
太陽から大量の物質が噴出する現象の解明に役立つことが、
期待されるようです。


ガンマ線は太陽フレアでも発生する

太陽表面の活発な領域に蓄えられた磁気エネルギーが、
爆発的に放出される現象が太陽フレアです。

この爆発により加速された粒子は信じられないほど高速になり、
ごくわずかな間、太陽自体よりも強烈に輝きます。

そして、太陽フレアの発生に伴い、
ガンマ線が太陽の活動領域に近いところで生成すると考えられています。

ところが天文衛星“フェルミ”は、
観測できる範囲でフレアが発生していないときにも、
太陽からガンマ線が飛んでくるのをとらえていたんですねー
  ガンマ線は光の中で最もエネルギーが高く、
  ブラックホールや死にゆく星の爆発など、激しい天文現象に伴って放出されます。
  “フェルミ”は2008年に打ち上げられたガンマ線を観測するための天文衛星。


なぜ、このような事が起こるのでしょうか?

この疑問を解くため、
“フェルミ”と太陽観測衛星“STEREO”とを連携させた観測を実施。
  NASAが22か月ぶりに行方不明の太陽観測衛星を発見
    

2013年10月11日、2014年1月6日、
2014年9月1日の3回にわたり太陽表面の活動を観測し、
太陽の裏側で発生した太陽フレアが、
表側でガンマ線の放射を引き起こしていることを発見しています。

“フェルミ”は地球の周りを回っているので、
地球上の私たちと同じ方向から太陽を見ています。

一方、2機の“STEREO”は太陽の周りを回っているので、
その表面全体をはっきりと見ることができたのが理由でした。

この観測により、
太陽の裏側で発生したフレアに伴って放出された粒子が、
磁力線に沿って何十万キロも移動し、
太陽の表側でガンマ線の放射を急増させていることが分かりました。


太陽の裏側を観測する理由

太陽は自転しているので、
裏側にあった活動領域が、いずれは地球側に向くことになります。

また、太陽フレアでは、高速の荷電粒子の雲が宇宙空間に噴出する、
“コロナ質量放出”という現象が観測されることもあります。
  太陽風の玉突き事故? 大規模な磁気嵐が発生するメカニズム
    

この雲が広がって宇宙船や宇宙飛行士、惑星の表面に到達すると、
大きな被害が生じることもあるんですねー

なので、コロナ質量放出が地球を襲う時期を、
あらかじめ知ることができれば、地球上の人々が被害に備えることもできます。

それに、美しいオーロラが見られる時期も予測できるかもしれません。

太陽の観測は“フェルミ”の本来の目的ではないのですが、
この分野で大きな貢献が出来たのはすばらしいことです。

今回のミッションの価値と、宇宙望遠鏡の重要性が証明できたということですね。


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