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NASAが22か月ぶりに行方不明の太陽観測衛星を発見

2016年09月10日 | 太陽の観測
2014年10月1日から行方不明になっていた太陽観測衛星“STEREO-B”が発見されたんですねー

宇宙では一度はぐれてしまうと二度と戻れないイメージがありますが、
どうやったんでしょうね。
観測を行う“STEREO-B”(イメージ図)

発見したのは、NASAの宇宙探査ミッション追跡ツール“ディープ・スペース・ネットワーク”。
24日の夜に22か月ぶりに“STEREO-B”からのシグナルをキャッチしました。


双子の衛星

“STEREO-B”は、太陽から地球へのエネルギーの流れを計測するため、
2006年10月に双子の相棒“STEREO-A”と2年間の探査ミッションに旅立ちました。

A(Ahead:前)とB(Behind:後)の名前が表すように、
“STEREO-A”は地球に先行するような位置で、“STEREO-B”は地球を追いかけるような位置から観測。
太陽フレアやコロナ質量放出などの現象を立体的にとらえてきました。

また、太陽の裏側を初めて観測できると期待されていたのですが、
途中で問題が発生してしまいます。
地球公転軌道から見た位置関係


行方不明になった原因は?

“STEREO-B”が地球から見て太陽の裏側に回り込むと、
その間の3か月は通信が途絶えてしまうことが分かりました。

このような現象が発生るのは、太陽から放出されるあらゆる周波数のシグナルが、
通信を邪魔する騒音源になってしまうからでした。

  通常の宇宙探査ミッションでは、太陽による電波障害は1日程度で終わる。

衛星は宇宙空間で2年間運用することだけを考えた設計になっていたので、
打ち上げの時にはその点をすっかり見落としていたんですねー


復旧の試み

“STEREO”は通信が途絶えると72時間後にリセットされます。

なので“STEREO”の運用チームは、
リセットの時間帯に地球との交信を確立するためのテストを行っています。

すると最初のリセット後、弱いシグナルが届くのですが、
それを最後に“STEREO-B”からの交信は途絶えてしまいます。

NASAの発表によると、このテストが失敗した原因は、
機体の回転速度を伝えるセンサーが壊れたことにあるようです。

制御不能になってしまった“STEREO-B”は、ソーラーパネルによる発電が十分に行えず、
起動に必要なエネルギーの確保が出来できない状態にあったというわけです。


どうやって発見したのか

通信が途絶えて以降、運用チームでは“ディープ・スペース・ネットワーク”を使って週3回、
それぞれ3時間のペースで“STEREO-B”の行方を探してきました。

なんせ、どこを探せばいいのか分からないので大変な作業だったようです。

やっとシグナルを探知したあと運用チームがまず行ったのは、
基幹機能のテストをしてからバッテリー節約のために電源を切っること。

今後はさらに回復範囲を広げ、計器が正常に作動するか確かめる予定なんですが、
回復までにはヘタをすると数年かかるかもしれないんですねー

ただ、2019年にはハッブル宇宙望遠鏡で観測し、回転速度をテストできるようになるそうですよ。


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