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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

NASAの月探査機“LADEE”観測を開始

2013年12月09日 | 月の探査
今年の9月にNASAが打ち上げた、月の大気・チリ探査機“LADEE”が、11月20日に月を周回する軌道に到達し観測を開始しました。

“LADEE”は、月の表面から高度12~60キロを2時間ごとに周回する軌道に投入され、夜明けから日没までの月の大気の状態を観測できるようになります。
これにより、月の希薄な大気に起きた変化と経緯を調べることが可能になったんですねー

そして探査を行う高度を維持するため、“LADEE”は3~5日ごとに噴射を行う必要があります。

今後、約100日で月の大気の構成と構造に関する詳細なデータを集め、月のチリが上空にも到達しているかどうかの探査を開始。
月ではこれまでの有人・無人探査で、月の高層に届く発光が観測されていて、その詳細も解明しようとしているんですねー

まぁー 月の特性を完全に理解できれば…
小惑星のような太陽系の他の小天体や、系外惑星の衛星についても何か分かるかもしれませんね。

地球と月の高速通信

2013年10月28日 | 月の探査
NASAの月探査機“LADEE”に搭載されたレーザー通信装置“LLCD”。
この装置により、地球と月の間で622Mbpsの最大通信速度を達成したんですねー
深宇宙との大容量通信に対応するため、
NASAは従来の電波通信から、レーザー通信技術の実用化を目指していて、
“LLCD”は、NASA初の2方向レーザー通信システムの実証ミッションになります。

“LADEE”に搭載された通信機器“LLCD”は重量がおよそ30キロあり、
口径10センチの望遠鏡と、2軸のジンバル、0.5ワット赤外線レーザー送信機を搭載し、
最大で622Mbpsの通信が可能です。

通信は地上局の6インチ反射望遠鏡から、
探査機へビーコンを送信し、“LLCD”は、検知したビーコンの方向へデータを送信します。

今回、NASAのジェット推進研究所のテーブルマウンテン施設、ヨーロッパ宇宙機関のスペイン・カナリア諸島テネリフェ島観測施設などの地上局が、受信実験に参加しています。

ニューメキシコの地上局と、月周回軌道上の探査機との間で、エラーフリーデータの20Mbpsアップロード実証を行うのも、目的のひとつになっています。

レーザー大容量通信実証に成功したことで、
将来は月以遠の深宇宙探査で、高解像度画像や3D映像の送受信が可能になるんですねー

たとえば、平均的な映画と同程度の長さのHD動画の場合、
“LADEE”に搭載された通常の通信用のS帯送受信では639時間かかるところを、
“LLCD”であれば8分で送信できるようです。

“LADEE”は、9月にヴァージニア州ワロップス飛行施設から打ち上げられた月探査機で、
ミッション期間は約100日と比較的短いんですねー

“LLCD”の実証期間もごく短期間に限られたものとなるので、NASAでは2017年にさらに長期にわたるレーザー通信実証実験“LCRD”を予定しているようです。

月に到着! NASAの月探査機“LADEE”

2013年10月12日 | 月の探査
10月6日、探査機“LADEE”が月周回軌道への投入に成功しました。

“LADEE”は、9月6日にミノタウロス�ロケットによって打ち上げられたNASAの月探査機で、
これから約4か月、月の周辺環境の探査が始まることになるんですねー




スタスターを噴射する“LADEE”
(イメージ図)



“LADEE”は10月6日の10時53分ごろ、第1回月軌道挿入マニューバーを実施、約4分間に渡ってスラスターを噴射し、10時57分に月を周回する軌道に入りました。

現在は楕円軌道ですが、10月9日と12日に軌道変更を行い、徐々に月を中心とした円軌道へ近づけられる予定です。

軌道変更が終わると1か月の試験運用が行われ、
その後、3か月間に渡る本格的な探査が始まるんですねー

探査は、月の表面に存在する「ごくごく僅かな大気の構成や変化」、また「チリの構成」の観測で、月の環境にせまることになります。


また“LADEE”は、新型のレーザー通信機器の実証試験を行うために開発された探査機でもあります。

現在火星探査機に搭載されている電波通信システムは、地球に1枚の画像を送るだけで1.5時間もかかっています。
なので近い将来、NASAが人類を宇宙へと送り込むには、革新的な通信技術が必要になるんですねー

そこで今回、新たなレーザー通信技術が、月と地球間の交信にテスト使用されることになります。
この通信技術では、従来の電波通信の10倍から100倍のスピードでコミュニケーションが可能になるんだとか…
上手く行けば、これからのスペース・ミッションには、レーザー通信技術が応用されるのかもしれません。


アメリカ政府機関の一部閉鎖で、月到着のプレスリリースがないのは残念ですが、
“LADEE”の運用は通常通り行われています。

関連情報はSpaceflight nowなどのメディアや、関係者のTwitterなどを通じて成功が伝わっているので、良しとしますかー

月の“うさぎ”は天体の衝突で生まれた? 月探査機“かぐや”

2012年11月09日 | 月の探査
私たちが地上から見る月は、自転周期と公転周期が一致しているので、
常に同じ“表”の面が見えています。

そして、探査機の画像でしか見ることができない“裏”の面は、
表側に広く見られる“海”と呼ばれる暗い部分が、ほとんどありません。

表側に比べて標高が高く地殻が厚いなど、
さまざまな違いがあるんですねー
月面の表側(左)と裏側(右)に見られる3つの巨大盆地


なぜ月の表側と裏側が違うのか?

この理由として、
38億年以上も前に「表側に巨大な天体が衝突したため」
とする仮説が提案されています。

表側の対部分を覆う直径3000キロの“プロセラルム盆地”も、
その衝突で形成された盆地だとか…

今回の研究では、
この謎を解くため、2007年から2009年に月周回探査を行った、
探査機“かぐや”のデータを利用。

月面上の約7000万地点で取得した200億点以上のデータを解析して、
天体の高速衝突で溶けた物質に多く含まれる低カルシウム輝石が、
“プロセラルム盆地”に多く分布していることを突きとめています。

こうした分布は“雨の海”や“南極エイトケン盆地”にも見られます。
そう、いずれも衝突盆地として知られている地形なんですねー
衝突溶融物を示す低カルシウム輝石の分布(黄色)

“プロセラル盆地”のような巨大な地形が作られるほどの衝突が起こったら…
そこに存在していた“高地”はほぼ完全にはぎとられたはずです。

そして、地殻がはぎとられて深部への圧力が減少すると、
溶岩が噴出して窪地にたまり“海”ができやすくなります。

このようして、“プロセラル盆地”をつくった超巨大衝突によって、
月に表側と裏側の違いができたと考えられているんですねー

“かぐや”のデータから、
月の表側と裏側の違いが「表側に巨大な天体が衝突したため」という説の
科学的な裏づけが得られました。

今後、地形や元素組成などのデータ解析を行うことで、
衝突が実際にどのようにして起こったのかも明らかになっていくと思います。

月の“うさぎ”模様が、どのようにして作られたのか… 興味がありますよねー

今回のような研究解析手法は、
地球観測衛星による鉱物資源の探査や、
環境モニタリングにも応用できるようですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ “SELENE-2”は着陸船と探査車を使った次期月探査ミッション

“SELENE-2”は着陸船と探査車を使った次期月探査ミッション

2012年07月23日 | 月の探査
74か国から3,000人近くの宇宙科学者が集まった、
国際宇宙科学研究委員会の第39回科学会議が、
7月15日にインドのマイソールで行われました。


日本の次期月探査ミッション

ここで日本の次期月探査ミッション“SELENE-2”の計画が、
発表されたんですねー

“SELENE-2”は、2017年の打ち上げを目標とする着陸ミッションで、
将来の有人月探査の布石となるものです。

“SELENE”はSELenological and ENgineering Explorerの略称で、
日本初の大型月周回探査機のことです。
そうです。愛称は“かぐや”なんですねー

2017年の打ち上げを目標とする“SELENE-2”は、
2007~2009年に月探査を行った“かぐや”の後継機にあたります。

“かぐや”との違いは、着陸船と探査車で構成されること…
そうです、このミッションには月着陸があるんですねー

700キロの周回機と1トンの着陸機、
200キロまで積載できる100キロの探査車を想定していて、
活動期間は2週間。

アポロ14号が着陸した場所を含む11箇所が着陸候補地になっています。


地中の構造と将来の有人探査

“かぐや”による詳しい観測で、
「外から見て分かること」はかなり解明されてきました。

なので、今度は内部の調査が必要なんですねー
“SELENE-2”では、地中の構造の調査を計画されています。

また、“SELENE-2”は将来の有人探査で必要となる技術を開発し、
試験するためのミッションでもあります。
有人探査のための先駆的な多目的ミッションとなります。

このミッションには韓国も参加予定で、
探査車にX線分光装置を搭載する っという形で“SELENE-2”に加わります。

韓国は2023年の月周回機投入、2030年にはサンプルリターンを計画していて、
将来的には火星探査も視野に入れているそうです。

日本の有人月探査はNASAとの共同計画になるようで、
ロケットと着陸船はNASAが作るようです。

でも、日本の宇宙飛行士が搭乗し、
日本人宇宙飛行士による科学探査と月面利用が行われるはずです。

これは夢のある話ですよねー 予算問題で延期とか考えたくないですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 月と地球の物語 “かぐや”から“満地球の出”