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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

月がレモン形をしているのは何故?

2014年08月23日 | 月の探査
月の形は完全な球形からかけ離れていて、
地球に面している側と、その反対側が高く出っ張った奇妙な形をしています。

でも理論上では、約44億年前に形成されて以降、
回転力によって完全な球形に成形されているはずなんですねー


満月の時に見える丸い形の月は、
地球上にいる私たちには、ひじょうになじみ深い光景です。

でも天文学者によると、
別の角度から見れば、わずかにレモン形をしているそうです。

月の地形上にある、この2つの巨大な出っ張り部分は、
地球方向の軸上に並ぶ、こぶだらけの頂点を形成しています。


では、この出っ張りはどのようにして形成されたのでしょうか?

その答えとして、
「月が超高温状態だった形成初期に、地球から及ばされた強力な重力にある」
とする研究論文が発表されました。

火星サイズの浮遊惑星と地球との衝突で、
月が形成されたと考えられています。

当初は溶岩の塊だったのですが、じょじょに冷えて固まり始めることに…

月の重力が海の満ち引きを起こすのと同様に、
月の6倍の質量をもつ地球は、
新たに誕生した衛星である月が固まり始める時期に、
強力な潮汐力を及ぼすことになります。

潮汐力は月を伸縮させるのですが、
この伸縮プロセスで摩擦による熱が発生します。

伴流動体だった月は、表面が冷えている間にこの熱で暖められ、
この動的プロセスで生じた熱が不均一に伝わり、
月の地殻の形成に影響を及ぼしたんですねー

初期に及ぼされた潮汐力により、
月の地殻はさまざまな場所で熱を受けることに…

こうして、さまざまな場所で受けた熱の差によって、
月の形状の対部分が形成されます。

その後、月は冷えている間に、この潮汐力によって外側がゆがみ、
そのゆがんだ形のまま凍り付くことになります。


要は、潮汐力が月に「わずかにレモンの形」の形状を与え、
この形は、地殻が冷えた後に固定化したということです。

月のマントル最深部には、暖かくて軟らかい層がある?

2014年08月13日 | 月の探査
地球の引力による、月の変形にもとづく理論計算。

この計算から、月の内部深くに軟らかい層が存在し、
さらに、その中で効率的に熱が発生していることが分かりました。

地球と月が生まれてから今まで、
お互いに、どのように影響を及ぼしながら進化してきたのかを、
考え直すきっかけになる発見なのかもしれません。
地球の引力による月の変形(イメージ図)

月の引力で、地球の海が満ち引きするように、
月も地球の引力で変形します。

この変形する度合いから、
天体の内部構造や、硬さなどを探ることができるんですねー

月は大まかに、
「金属の中心核と、岩石でできたマントル部に分かれている」
と考えられてきました。

でも、日本の月探査機“かぐや”などの観測データから精密に求められた月の変形は、
こうした内部構造だけでは説明できませんでした。
今回の研究成果にもとづいて描かれた
月の内部構造。

今回の研究では、アポロ計画で設置された月面地震計のデータも考慮しながら、
どんな内部構造であれば、観測されるような変形が生じるのかを理論的に計算しています。

その結果、月のマントルの最下部に軟らかい層が存在すれば、観測される月の変形をうまく説明できることが分かったんですねー

過去の研究でも可能性が指摘されていたのですが、観測結果と理論計算から証明されたのは、
今回が初めてになります。

研究ではさらに、
この軟らかい層の中では潮汐力によって熱が効率的に生じ、
現在でも、核を温め続けているらしいことも分かってきました。

今後は、発熱のメカニズムや内部構造をさらに詳しく調べ、
「月のマントルの底の軟らかい状態が、どのように長期間維持されるのか」、
「軟らかい層での潮汐のエネルギーから、熱のエネルギーへの変化が、
月の冷え方や、地球に対する動き方などに、どのように影響してきたのか」、
といった新たな疑問について明らかにしていくようです。

おつかれさん“LADEE”。 ミッション完了で月面へ制御落下

2014年04月26日 | 月の探査
NASAは17日、月探査機“LADEE”を月面へ落下させ、223日間に渡るミッションを完了しました。
“LADEE”は、NASAのエイムズ研究センターによって開発された月探査機で、
月の表面に存在する、ごくごく僅かの大気の構成や変化、また表面上にあるチリの構成を観測。
これにより月の環境を理解するとともに、将来の月探査機の運用に役立たせることを目指していました。

オービタル・サイエンシズ社のミノタウルスVロケットで2013年9月に打ち上げられた“LADEE”は、
1か月後には月を周回する軌道に入り科学観測を始めています。

今年の3月には、予定していた100日間の観測を完了、
でも、まだ“LADEE”の状態が良好だったので、延長ミッションに入っていたんですねー

4月上旬には軌道高度をさらに下げ、月面にかつてないほど接近して観測を実施、
そして4月11日には、月の裏側へ制御落下させることを目的とした軌道変更行っています。

また、4月14日から15日にかけては月食を経験することに…
太陽光から電力を得ている月探査機にとっては、地球の影に入ってしまうと太陽光から電力を得ることができず、死活問題になります。
低温にさらされることになったのですが、無事に乗り切ったんですねー

今度、正確な落下位置と時間が調査されることになります。
またその結果に基づき、NASAが運用する月探査機“ルナー・リコナサンス・オービター”によって、落下地点の撮影が行われるようです。

姿勢調整用の機器で月面を撮影

2014年02月24日 | 月の探査
月探査機“LADEE”が撮影した月面の画像が公開されました。
ただこの画像は、探査機の姿勢を調整する機器“スタートラッカー”で撮影したものなんですねー

本来“スタートラッカー”は、とらえた星の画像から人工衛星や探査機の姿勢を判断するための機器で、観測用の機器ではありません。

でも、かなりの広角レンズで、広範囲の画像を1フレームに収めることができるという利点を持っています。

なので実際に2005年に、日本の小惑星探査機“はやぶさ”が小惑星“イトカワ”に接近した際に、スタートラッカーを使って“イトカワ”の撮影を行ったという例もあるんですねー

2月8日に撮影された画像は、1分間隔で撮影されたもので、
“LADEE”は月の西半球の北側、地表から高度100キロを飛行していました。
月の夜の側にあたるのですが、地球照がでて地表は明るくなっているんですねー
2013年9月に打ち上げられた“LADEE”の役割は、月のごく薄い大気とチリを観測することにあります。

それと、アポロ計画の時代に宇宙飛行士が、月の夜明け前の地平線に見た光…
この光が、日光で帯電した微粒子によるものなのか解明が期待されています。

スタートラッカーで撮影された映像も、謎の解明につながるようですよ。

月面探査機“LADEE”、ミッションを28日間延長へ

2014年02月13日 | 月の探査
月の大気とチリを調べる探査機“LADEE”のミッション期間が、
28日間延長されることが発表されました。

“LADEE”は、9月にミノタウロスVロケットによって打ち上げられたNASAの月探査機で、11月から月の地表のごく薄い大気とチリを調査していました。

月の地表から高度12~60キロの低軌道を周回する“LADEE”の運用が予定よりもうまくいき、推進剤に余裕が出たことで運用期間の延長が決まったんですねー

“LADEE”の初期ミッションでは、月の大気の組成、チリの分析が行われています。
そして、月の大気には、ヘリウム、ネオン、アルゴン40などの希ガスが含まれているそうです。

“LADEE”の観測データをもとに、アポロ計画時代に宇宙飛行士が「月の地平線で日の出の前に見た輝き」の正体が、太陽光で帯電したチリなのか解明が期待されています。

また、月への宇宙チリの衝突の観測も行っていて、地球でふたご座流星群が見られた時期には、月でも同様に流星雨が見られ、月表面への衝突を記録しています。

追加のミッション期間で“LADEE”は、月の表面から数キロという、これまでよりさらに低い高度を飛ぶことになります。
そして、ミッション終了後の4月21日ごろに、月面に衝突する最後の軌道に入ることになるんですねー