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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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太陽系の歴史解明へ! NASAの新小惑星探査ミッション“Lucy”と“Psyche”

2017年01月07日 | 太陽系・小惑星
“ドーン”や“はやぶさ”など、
小惑星探査はこれまでに数多く行われてきましたが、
そこに新たなミッションが加わることになります。

今回、NASAが選定したのは、
“Psyche”と“Lucy”という2つの小惑星探査ミッション。

“Lucy”は2021年に、そして“Psyche”は2023年に打ち上げられ、
どちらも太陽系の成り立ちと、その経過の解明に役立つ予定なんですねー

“Lucy”が探査するのは木星のトロヤ群と呼ばれる6つの小惑星グループ。

この木星のトロヤ群は太陽の周りを同じような軌道で周回する小惑星群で、
その小惑星から初期の太陽系の姿が解明できると期待されています。

探査機は2025年に最初の小惑星に到達し、
2027年~2033年に探査が行われる予定です。

そして“Psyche”では、
火星を抜けて2030年に探査機が小惑星“16 Psyche(プシケ)”に到達する予定。

火星と木星の間のアステロイドベルトに存在する“16 Psyche”は、
直径が210キロアステロイドベルトでもかなり大きな小惑星。

また、その構成は鉄やニッケルなどの金属を中心とした特徴的なものなので、
惑星のコアの残りではないかと考えられているんですねー

これらのミッションは、
NASAによる低コストで効率の良いミッションを目指したディスカバリー計画により、
提案されていました。

そう、このミッションも約530億円を限度とする低予算なものなんですねー

でも、過去のディスカバリー計画の探査ミッションには、
“ドーン”、“ケプラー”、“メッセンジャー”などがあり、
どれも素晴らしい結果を残しています。

なので“Psyche”や“Lucy”でも、
新たな太陽系の歴史が解明などの素晴らしい成果を期待してしまいますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ NASAが選んだ「より速く、より良く、より安く」なミッション

元は他の恒星を回っていた? “第9惑星”は太陽系に引っ越してきた惑星なのかも…

2016年06月09日 | 太陽系・小惑星
今回発表されたのは、太陽系の“第9惑星”が元々は他の恒星の周りを回っていた系外惑星だった。 っという説。
この“第9惑星”に関する説は、コンピュータシミュレーションによる研究から分かってきたことでした。
本当に、太陽系外からやってきた惑星が隠されているのでしょうか。
未だ見つかっていない“第9惑星”のイメージ図。(Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC) )
未だ見つかっていない“第9惑星”のイメージ図。(Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC) )


太陽系で9番目の惑星

冥王星が惑星から準惑星に降格されたのが2006年のこと。
これ以来、太陽系で確認されている惑星の数は8つになり、いまだに“第9惑星”の枠は空白のままになっています。

ただ、海王星よりも外側の領域“エッジワース・カイパーベルト”にある複数の天体の動きから、地球の10倍程度の質量を持つ9番目の惑星の存在が予測されているんですねー

さらに、今回行われたシミュレーションから分かってきたこともあります。

それは、“第9惑星”が他の恒星系からやってきたということ。
約45億年前に、まだ若かった太陽が他の恒星を公転していた惑星を取り込み、この“第9惑星”になったそうです。
系外惑星が太陽にとらえられて“第9惑星”になる概念図
系外惑星が太陽にとらえられて“第9惑星”になる概念図


惑星を盗むって?

恒星は星団内で生まれた後、互いに頻繁にすれ違いを起こしています。

そうした恒星同士の出会いの際に、ある恒星の周りを回っていた惑星が、別の恒星の重力圏内に取り込まれて軌道が変わってしまうことが起こり得るそうです。

今回の研究結果は、太陽系でこの出来事が起こった可能性を示唆するものです。

太陽系に来る前の“第9惑星”は、他の惑星から押しのけられて恒星から大きく離れた公転軌道を回るようになり、恒星と“第9惑星”の重力による結びつきも弱いものになっていました。

そして、あるとき太陽と恒星が、150天文単位(地球から太陽の距離)の距離ですれ違うことになります。

このときに“第9惑星”は、太陽の重力によって太陽系内に取り込まれたようです。

その後、太陽が生まれ故郷の星団から離れる際、“第9惑星”は太陽から離れなかったというわけです。

現在、さまざまな観測機器を用いて、数百光年も先にある系外惑星を探し求めて日々観測が行われています。

でも、もし本当に外からやってきた惑星が太陽系内に隠されているとしたら…
太陽系内で系外惑星の観測が行え、軌道や場所が特定されれば探査対象になるかもしれませんね。


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7万年前に太陽系と恒星が最接近、地球に危機が訪れていた!?

2015年02月27日 | 太陽系・小惑星
今から7万年前、
ちょうと人類が、アフリカからの移動を始めようとしていて、
ネアンデルタール人も絶滅していない時代のこと…

太陽系の内側に、ある星が飛来していたんですねー
今から7万年前に太陽系を通過する
太陽の0.08倍の重さの暗い赤色矮星“ショルツ星”と、
伴星の褐色矮星(手前)。(イメージ図)

地球から1光年の距離をかすめ去ったその星は、
史上最も接近した、恒星と地球のニアミス事故と言えます。

その星はショルツ星と呼ばれ、
赤色矮星なので、普通は薄暗くて肉眼では見ることが出来ません。

でも地球への接近時には、
人類の目に、その燃え上がる姿を見せていたようです。

なぜかと言うと、ショルツ星の軌道を計算してみると、
太陽系の0.8光年まで接近していたことが分かったからです。

0.8光年といえば、太陽系の外縁、オールトの雲と呼ばれる、
数兆個単位の彗星で埋め尽くされた、広大な領域の内側になるんですねー


オールトの雲を直接観測することは出来ませんが、
それを構成する彗星の一部は、定期的に太陽系の中ほどまで訪れています。

でも、恒星のような巨大な物体がオールトの雲を通過したとすれば、
もっとたくさんの彗星が地球に飛来したはずです。

そして彗星の嵐は、地球上の生命に壊滅的な被害をもたらすことに…

そこで「このような接近が、どれほど一般的に起きるものか」を計算したところ、
次に恒星が近づくのは今から24~47万年後で、オールトの雲には突入しないそうです。


褐色矮星とともに連星系を構成するショルツ星は、最近発見されたばかりです。

横道にそれることなく、まっすぐ地球に近づき、そして去って行ったと考えられていて、
その奇妙な動きに注目が集まっています。

現在、太陽に最も近い恒星は、4.2光年先にあるプロキシマ・ケンタウリになり、
ショルツ星最接近時の5倍も距離があるんですねー

2013年にヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた衛星“ガイア”は、
宇宙にある数十億の恒星の位置を示す、地図の作成をミッションにしています。

“ガイア”が収集するデータの一部は、
太陽系に接近した星と、今後接近する可能性がある星を見つけることが目的になります。

このデータによると、
地球をかすめ去ったショルツ星は、今は約20光年先… いっかくじゅう座の近くにいるようですよ。

太陽系には、まだ未発見の惑星が2つもある?

2015年01月25日 | 太陽系・小惑星
太陽系には、太陽から最も遠く離れた海王星など8つの惑星があります。
でも、「少なくともあと2つ惑星が存在する」っという研究が発表されたんですねー
NASAが作成した太陽系の惑星と地球の月の合成写真
NASAが作成した太陽系の惑星と地球の月の合成写真
太陽から30天文単位以上離れた領域には太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects, TNO)があり、“エッジワース・カイパーベルト”や“オールトの雲”に属する天体、それと冥王星も含まれています。

そう、太陽系外縁天体とは、海王星よりも遠い平均距離で太陽の周りを公転している天体の総称なんですねー

海王星の外側には冥王星がありますが、冥王星は2006年に惑星から“準惑星”に格下げされたので、いま太陽系の惑星は8個になっています。
今でも太陽系内で最も遠くを公転する惑星は冥王星だと主張する人はいますが…

初めて発見された太陽系外縁天体は冥王星(1930年に発見)で、2番目は1992年に発見されたアルビオン。
重いのは準惑星のエリス、冥王星、ハウメア、マケマケの順番で、太陽系外縁天体の周囲には合わせて80個以上の衛星が発見されています。

さらに、太陽から離れた場所には“Extreme trans-Neptunian objects, ETNO”という種類の天体があります。
論理的には太陽から約150天文単位程度の距離にある“ETNO”は、太陽系の惑星とほぼ同じ軌道面にあるはずでした。
1天文単位は地球と太陽の平均距離で約1億5000万キロある。

でも、十数個の“ETNO”を観測してみると、太陽からの距離が150~525天文単位という、かなり広い範囲に散らばっていた上に、それらの軌道面は惑星の軌道面から20度ほど傾いていたんですねー

この傾きに付いて天文学者たちが考えているのが、これらの“ETNO”よりずっと大きな天体“惑星”が近くに存在し、“ETNO”に影響を与えているということ。
今回の研究では、惑星は少なくとも2個はあるとしています。

太陽から遥か彼方の領域に9番目と10番目の惑星は存在するのか?
この領域の惑星は公転周期も長くなるはず、発見は難しくなるけどワクワクしません?

太陽系は天の川銀河を約2億年で1周している

2012年10月07日 | 太陽系・小惑星
天の川銀河は、大まかな分類でいえば渦巻銀河だということが分かっています。
でも、その正確な大きさや形状、回転速度などは、まだはっきりと分かっていないんですねー
これは、天の川銀河を外から見た姿は誰にも分からないからです。
今回の研究で用いられたのは、複数のアンテナを組み合わせる電波干渉計という仕組み。
天の川銀河にある星を測定し、天の川銀河の中心から太陽系までの距離や銀河の回転速度が、これまでに無い精度で得られたそうです。

複数のアンテナを組み合わせて巨大な望遠鏡を作る

天体の距離を仮定なしに測定するには、地球が太陽の周りを周回することによって発生する三角視差がよく使われます。
三角視差は、遠い天体では小さく近い天体は大きいので視差を測れば距離が分かる。
三角視差は、遠い天体では小さく、近い天体では大きくなるので視差を測れば距離が分かる。
三角視差とは測量などに用いられる三角法のようなもので、太陽を中心として地球が公転すると、目標とする天体の見かけ上の位置がズレることを利用した測定法です。

でも、この三角視差は遠くの天体では、とても小さくなるんですねー
なので、これまで三角視差が計測できた領域は、太陽系から1000光年以内に留まっていました。
これは直径約10万光年の天の川銀河の中では、ごくわずかな領域といえます。

そこで、国立天文台の研究チームでは他の方法を用いることにします。
それは、4か所に設置された電波望遠鏡の受信データを組み合わせることで、見かけ上1つの巨大な望遠鏡を作るというものでした。
VERAの望遠鏡の配置図。
VERAの望遠鏡の配置図。
複数のアンテナを組み合わせて、巨大な望遠鏡を合成する仕組みを電波干渉計といいます。
すでに、水沢局(岩手県)、入来局(鹿児島県)、小笠原局(東京都小笠原)、石垣島局(沖縄県)の直径20メートルの電波望遠鏡からなる電波干渉計“VERA”を用いて、天体までの距離を精密に計測し、天の川銀河の3次元立体構造の研究が進められています。
このように遠い場所にある複数の電波望遠鏡が協力して観測を行うことを“VLBI(Very Long Baseline Interferometry : 超長基線干渉計)”という。
今回、国立天文台の研究チームも、電波干渉計のデータを用いて距離を測定。
“VERA”で観測した星形成領域の19天体の観測結果と、アメリカの電波干渉計“VLBA”やヨーロッパの電波干渉計“EVN”の観測データを用いて調べられたのは、合計52天体の距離と運動でした。
外から見た天の川銀河。赤印は計測された52の天体。
外から見た天の川銀河。赤印は計測された52の天体。
これらの天体の距離と運動から、天の川銀河の基本尺度になる銀河中心距離(太陽系から天の川銀河の中心までの距離)と、太陽系の場所での銀河回転速度を高い精度で得ることに成功しています。
天の川銀河の基本尺度。距離と速度から太陽系は、天の川銀河を約2億年で1周することが分かった。
天の川銀河の基本尺度。距離と速度から太陽系は、天の川銀河を約2億年で1周することが分かった。

銀河の回転を測ると質量が分かってくる

今回得られた銀河中心距離は約26100±1600光年。
これは推奨値の約27700光年と誤差の範囲内でほぼ一致していました。
ただ、今回の測定はより高精度な直接測定の結果。そこが重要な点になります。

また、太陽系の位置における銀河回転速度は、秒速240±14キロです。
こちらは、1985年以来の国際天文学連合の推奨値である秒速220キロよりも大きな値になっています。

さらに、これらの基本尺度に加えて、天の川銀河の回転速度が銀河中心距離1万~5万光年の間でほぼ一定であることも分かりました。

一般に銀河の回転速度は、銀河の重力との釣り合いで決ります。
なので、銀河の回転を測ることは、銀河の質量を測ることにもなるんですねー

今回得られた最新の銀河回転速度を用いて、太陽系よりも内側の天の川銀河質量を求めてみると、これまでの値を用いた場合に比べて約20%も大きいことが分かります。
これは、この領域にある暗黒物質の量が、これまで推定されていたものより多くなることを意味しています。

いまのところ暗黒物質はミクロな素粒子だとする説が主流です。
実際、地球に降り注ぐ暗黒物質粒子を直接とらえようとする実験が、素粒子実験物理学で進められています。

今回の研究結果は、地球に降り注ぐ暗黒物質粒子の数や速さにも関わってくるものなので、素粒子物理学実験にもインパクトを与えるものになります。

2013年には、銀河系の非常に高精度の3次元地図をつくることを目的とした位置天文衛星“ガイア”が打ち上げ予定です。
これに日本とアメリカ、ヨーロッパの電波干渉計を用いた観測結果を合わせると…
今後10年、天の川銀河の解明が飛躍的に進むはずですよ。


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