goo blog サービス終了のお知らせ 

宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

彗星づくしの秋冬シーズン

2013年10月13日 | 流星群/彗星を見よう
春の“パンスターズ彗星”から始まったコメットイヤー

この秋冬シーズンは、“アイソン彗星”が太陽に近づきつつある未明の東の空に、“エンケ彗星”と“ラブジョイ彗星”も見えて、双眼鏡や天体望遠鏡でも楽しめそうですよ。
この秋冬最大の注目は、何と言っても“アイソン彗星”です。

“アイソン彗星”は、11月下旬から12月上旬にかけて、
肉眼でも見えるほど明るくなると期待されています。
でも、今年は「コメットイヤー」 “アイソン彗星”だけじゃないんですねー

未明(0~6時頃)の東の空では、他にも2つの彗星が太陽に接近中。
明るさを増していて、肉眼で見えるまでにはならないのですが、
双眼鏡や天体望遠鏡で十分楽しめます。

一押しの“アイソン彗星”は、いまは明け方の東の空で火星のそばに見えます。
明るさは11等級前後で、11月に入ると双眼鏡で、11月の下旬には肉眼でも見えそうです。

太陽に最も近づく“近日点”でいったん見えなくなるなるのですが、
近日点通過後に、どれだけ明るく化けて再登場するのかも楽しみの一つなんですねー


3年周期で太陽を公転している“エンケ彗星”も、未明の東の空に見ることができ、11月22日の近日点通過に向けて明るさを増しています。

10月下旬から11月初めにかけては7等台前半、
月明かりもないので、条件がよければ口径5センチ以上の双眼鏡で見ることができます。

11月後半には、1週間違いで近日点を通過する“アイソン彗星”とともに太陽に近づき、だんだん明け方の空低くなってきます。
ひょっとすると、23日から25日にかけては、
東の空のひじょうに低いところで、この2彗星を水星と土星とともに、双眼鏡で一度に見ることができるかもしれないんですねー

そして12月初めには、夜明け前の空に再び現れる“アイソン彗星”とは対照的に、“エンケ彗星”は、近日点通過後も昼間の空にあるのでしばらくは見れなくなってしまいます。


あと、“ラブジョイ彗星”は、未明の東の空高く見えるのですが、
12月23日の近日点通過でも、あまり太陽に近づかないので、
9等級程度の明るさにしかなりません。

でも、夜明けの空に消えることがないので、
口径10センチ以上の天体望遠鏡だと楽しむことができるようですよ。

太陽から5億キロ、ただいまガスを放出中

2013年08月18日 | 流星群/彗星を見よう
NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”が、太陽に接近中の“アイソン彗星(C/2012 S1)”を撮影した画像が公開されました。

“アイソン彗星”は、6月13日時点で太陽からおよそ5億キロ離れていて、火星軌道と木星軌道の間まできています。
画像では、二酸化炭素と思われるガスを吹き出しているようすや、30万キロにわたって伸びるダストの尾がとらえられています。




太陽から5億キロの距離にあった
“アイソン彗星”を2波長でとらえた
近赤外線画像
ダストテイル(左)と
核を取り囲む二酸化炭素のガス(右)が
とらえられている




NASAのアイソン観測プロジェクトでは、
ガスを1日におよそ1000トン、ダストはおよそ5万4000トン放出していると推算しています。
“アイソン彗星”の本体となる彗星核は、4.8キロ弱とみられています。

彗星は太陽に近づくにつれ、水、アンモニア、メタン、二酸化炭素の氷が、
それぞれの昇華温度に達したタイミングで、ガスとして放出されます。

彗星の炭素の大部分は、ドライアイスとして含まれているようで、
土星軌道から木星軌道の内側付近にかけての範囲では、
二酸化炭素が彗星の主な放出成分になります。

そして7月末から8月くらいには、彗星の氷でもっとも多い成分である水の放出も始まるようです。
今後の変化が楽しみですねー

“ふたご座流星群”を生んだ小惑星は、現役の彗星だった?

2013年07月05日 | 流星群/彗星を見よう
毎年同じ時期に集中して流れ星が現れる“流星群”は、
彗星が通り道に残していったチリが、地球の大気にぶつかって発光する現象です。

なかでも12月中旬の“ふたご座流星群”は、例年ほぼ期待通りの出現を見せてくれることで知られ、三大流星群の一つに数えられています。

この“ふたご座流星群”の母天体(チリをばらまいた天体)とされているのが、
彗星ではなく小惑星“ファエトン”です。

“ファエトン”は、かつては彗星として活動していた… つまりチリやガスを噴き出していたと考えられていて、
その当時の名残りが流星群の流れ星となって出現していると考えられていました。

でも、その“ファエトン”に彗星活動の兆候があるようなんですねー

2009年と2012年に“ファエトン”が太陽に近づいた際、NASAの太陽観測衛星“ステレオ”のA機搭載カメラを用いて可視光観測が行われました。
すると、太陽とほぼ反対の方向に伸びる約25万キロの彗星状の尾が見つかったんですねー






2009年(上段)と2012年(下段)の観測画像
白線に沿って画像右上が太陽方向
太陽とほぼ反対側に伸びているのが分かる



これは、近日点通過時の熱でチリの粒子が生み出され、太陽の放射圧でたなびいているものと見られ、
突然の出現であること、そして尾のようすからチリは1マイクロメートル以下の微粒子で、総重量は30トンにも満たないと推測されています。

変則的に明るくなる“ファエトン”は、活動的な天体であることが分かっていたのですが、
今回の尾の観測で、まだ「生きている」彗星であることが決定的になりました。

今年の“ふたご座流星群”は、12月14日から15日にかけての夜が見ごろと予測されています。
明るい月が出ていて条件は良くないのですが、今年も月明かりに負けない明るい流れ星を見せてくれそうです。

“パンスターズ彗星”が今週から見ごろですよー

2013年03月08日 | 流星群/彗星を見よう
今週、地球に接近する彗星“パンスターズ”が、
北半球の夜空では、肉眼で見えるほどの明るさで観測できます。

   メルボルンで撮影された“パンスターズ彗星”
   南半球では今年の1月以降に、明け方姿を現すようになった

“パンスターズ”は、ハワイのハレアカラに設置されたパンスターズ1望遠鏡を使って発見された彗星です。

発見時は、さそり座方向にあり、明るさは19.4等で恒星とは異なる形状で観測されました。

その後、ハワイのマウナケアにあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)をはじめとする、
他の望遠鏡による確認観測で、彗星の特徴であるコマと尾があらためて確認されたんですねー

発見時の“パンスターズ彗星”までの距離は、約6.9天文単位で木星の軌道よりも遠い位置でした。
それが、肉眼で確認できる距離まで接近するのは今年が初めてで、太陽と水星の間を通過します。






“パンスターズ彗星”の軌道





最も明るく輝くのは、8日から来週半ばにかけてで、空がまだ明るい日没後の西の低い位置なんですねー
空が明るくて観測しにくいので、双眼鏡や望遠鏡を使うといいかもしれません。

これほど明るい彗星をみることができるのは、10~20年に1度しかないそうです。
よく晴れた日の夕方には、双眼鏡を持って出かけてみるとイイかもしれません。

そして、3月下旬からは、日の出前の東の空でも見えるようになるようですよ。

“ディープインパクト”がとらえたアイソン彗星

2013年02月14日 | 流星群/彗星を見よう
NASAの彗星探査機“ディープインパクト”が、太陽系内部に接近しつつあるアイソン彗星の姿をとらえました。

2005年1月に打ち上げられた“ディープインパクト”は、
同年の7月にテンペル彗星に子機を衝突させて、飛び散る物質や、その痕跡を観測しました。

そして、2010年11月にハートレー彗星の接近観測、2012年1月にはギャラッド彗星の撮像を行い、今回のアイソン彗星が4つ目の観測対象となるんですねー







“ディープインパクト”が
約8億キロ離れた位置からとらえた
アイソン彗星(赤い丸)





画像は1月17日~18日にかけて撮影されたもので、
太陽から、まだ遠くにあるのですが、すでに6万キロ以上の尾をのばしているんですねー
今年の11月29日の近日点通過(太陽最接近)に向けて、期待が高まっています。

アイソン彗星は、2012年9月21日にロシアの観測チームによって発見されています。
NASAの地球接近天体プログラム室の分析によれば、この彗星が太陽系内部まで入りこむのは今回が初めてなんですねー

“ディープインパクト”による観測データの初期分析からは、
アイソン彗星は、まだ太陽から7億6300万キロ、太陽から地球の距離の約5倍も離れています。
にも関わらず既に活発で、彗星核から6万4400キロ以上の尾が伸びていることが確認されました。

アイソン彗星のような、長周期彗星は太陽系の“オールトの雲”からやってくると考えられています。

“オールトの雲”は、太陽系を球状に取り囲むと考えられている巨大な構造で、
その外縁は、太陽系からもっとも近くにある恒星までの距離の3分の1に及ぶんですねー

外部からの重力の影響で、“オールトの雲”にある氷や岩石、有機物が元の軌道から弾かれ、彗星となって太陽系の中心を目指す旅をスタートさせます。

アイソン彗星が、地球に最も近づくのは2013年12月26日。
地球からは6400万キロ以上離れていて、危険が及ぶ心配はありません。

ただ、天文ファンにとっては、太陽に近づいていくにつれて彗星のコマ(頭のボンヤリした部分)と、尾が発達していく姿を観測する絶好の機会になるんですねー
なので、接近前に消失したり、分裂したりしないことを祈りながら、心待ちにしたいですね。