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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

今が見ごろ! 冬の夜空を彩る“緑に輝く彗星”

2015年01月17日 | 流星群/彗星を見よう
太陽系に1万2000年ぶりに姿を見せる
ラブジョイ彗星

2014年8月に発見されたばかりのラブジョイ彗星。

地球への接近に伴い、急速に明るさを増しながら北へと移動しています。

今は北半球全域で肉眼での観測も可能で、
太陽風の影響を受け緑色に輝き、夜空に彩りを添えているんですねー

この彗星を発見したのはオーストラリアの天文家で、
当時は15等級だった彗星を、市販の口径200ミリの反射望遠鏡を使って発見しています。

当初、肉眼で見えるようになるのは、
2015年1月下旬から2月にかけてと予測されていました。

でも、氷やチリでできた水星は、
太陽に近づくにつれ、太陽からの熱を受け内部の氷やガスなどの昇華が進み、
表面で複雑な反応が起こることになります。

彗星がいつ明るくなるかを予測するのが難しくなるのですが、
今は発見されたときに比べ、はるかに明るくなっています。
ラブジョイ彗星のクリスマス・ウィークの軌道上の位置。
この図から、彗星が地球軌道とほぼ垂直な軌道で、
内太陽系へと近づいていることが分かる。
1月上旬には天の南半球から北半球へと移動する。

2014年12月30日のラブジョイ彗星の明るさは5等級。

5等級とは、定義上は肉眼で確認できる明るさのになります。
双眼鏡を使えば、緑にボウっと光るその姿を、はっきりと観測できる明るさなんだとか。

このペースで明るくなっていけば、1月中旬には4.1等級で安定するそうで、
これなら街明かりで夜空が明るくても、なんとか肉眼で観測できるんですねー
双眼鏡があるなら、
深夜の空にラブジョイ彗星を見つけてみよう

ラブジョイ彗星は1月7日に地球に最接近し、
今は地球から離れるにつれて徐々に暗くなっているのですが、
1月30日に太陽に最接近する“近日点”を通過してから、しばらくの間は見ごろが続きます。

特に、新月になる1月20日前後がチャンスですよ。

火星からとらえたサイディング・スプリング彗星の核

2014年10月26日 | 流星群/彗星を見よう
20日に火星に接近したサイディング・スプリング彗星を撮影した画像。

この画像は、NASAの探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”が撮影したもので、
太陽系の果てからやってきた長周期彗星の核を、はっきりととらえた史上初の画像になるんですねー


サイディング・スプリング彗星は、
地球から月までの距離の半分以下、火星から14万キロの距離を通過しました。

このとき、火星で活動中の周回機や探査車が観測を行っているんですねー

その中でもっとも高解像度で彗星の姿をとらえたのが、
“マーズ・リコナサンス・オービター”に搭載された高解像度カメラ“HiRISE”でした。
“マーズ・リコナサンス・オービター”がとらえたサイディング・スプリング彗星。

“HiRISE”カメラは、
最接近時の彗星を、1ピクセルあたり138メートルでとらえていて、
画像には彗星核が2、3ピクセルの大きさで写っています。

太陽系の果てのオールト雲から、初めて太陽系中心部にやってきた彗星の核が、
はっきりと撮影されたのは、これが初めてのことでした。

核の大きさは、およそ1キロと思われていたのですが、
実際にはその半分以下であることが、この観測から判明することになります。

“マーズ・リコナサンス・オービター”など火星上空の周回機は、
彗星から放出されたチリによるダメージを避けるため、
リスクの高い時間帯に、火星の裏側に回る軌道を取っていました。

その後、周回機は全て正常な状態であることが確認されたそうです。

10月20日は、サイディング・スプリング彗星が火星とニアミスしますよ。

2014年10月19日 | 流星群/彗星を見よう
日本時間の20日の午前3時半ごろ、サイディング・スプリング彗星が、
火星のそばを、わずか14万キロで接近通過します。

14万キロというのは、
月から地球までの距離の半分以下という超大接近になります。

なので何が起こるのか…
火星の探査機による観測のほか、地上の望遠鏡でも追ってみたいイベントなんですねー


太陽系の果ての“オールトの雲”からやってくる彗星が、
太陽系中心部を訪れるのは、今回が最初で最後とみられています。

こうした“オールトの雲”由来の彗星は、
周期彗星のように何年も前から準備して、探査機を送り込むことはできません。

なので、間近でとらえるチャンスは、ひじょうにまれな事に…
彗星観測に適しているわけではない火星探査機たちも、
その観測性能を最大限に活かして、彗星のコマや尾を調べることになっています。
火星探査車“キュリオシティ”の、着陸地点から見た彗星の接近通過。

当初は、彗星から放出されたチリが、
火星に大流星雨をもたらすかもしれないと期待されていました。

でも、彗星軌道の精度が上がるにつれて、
チリは、ほぼ火星大気に届かない可能性が高くなってきたんですねー

それでも火星上空を周回する探査機たちは、
念のため、チリ衝突の危険性が最も高くなる時間帯に、
火星の陰に位置するような軌道をとることになります。

ただ、火星には薄いながらも大気があるので、
地表にいる探査車たちに、チリがぶつかる心配はないようです。
10月から11月初めまでの、火星とサイディング・スプリング彗星の動き。

サイディング・スプリング彗星は、
現在、日没後の南西の空で火星に刻々と近づいていますよ。

誕生して初めて太陽系へ里帰り “サイディング・スプリング彗星”

2014年08月19日 | 流星群/彗星を見よう
火星と彗星の大接近まで、残り3か月を切りました。

衝突の恐れはないのですが、
火星を周回するNASAの探査機が、被害を受ける可能性があるんですねー

10月19日に、火星の前方すれすれをかすめて行くのが、サイディング・スプリング彗星です。

ただ接近距離があまりにも近いので、
NASAでは、火星探査機を守るための対策を含む計画をまとめています。

天文学者の予測では、
彗星の核が、火星に直接衝突する可能性を否定しています。

でもチリを多く含み、地球に近い大きさのコマと呼ばれる雲は、
火星と直に接触すると予測され、
その際の彗星の核と火星表面との距離は、13万7760キロになるそうです。
これは、地球から月までの距離(約38万キロ)の半分にも満たない近さなんですねー
10月19日に最接近が予測されている、サイディング・スプリング彗星と火星の軌道。

NASAの火星探査車“キュリオシティ”と“オポチュニティ”は、
地表にいるので被害を受ける可能性はなく、
上空の天体ショーを、とびきり間近で観測できる見込みです。

一方で火星を周回する探査機は、
彗星がもたらすチリを弾幕のように受けて、損傷する危険があります。

細かなチリの粒子は、時速20万1490キロもの速度で移動しているので、
探査機は事実上、砂を高速で吹き付けられるような状態になります。

現在、NASAの探査機“マーズ・オデッセイ”と“マーズ・リコナサンス・オービター”の他、
ヨーロッパ宇宙機関との共同計画である“マーズ・エクスプレス”が、火星を回っています。

そして今年の9月末には、
4機目の探査機“メイブン”が、火星の周回軌道に到達することになっています。

彗星の動きをコンピュータでシミュレーションすると、
彗星が火星に最接近してから約90分後に、彗星が引くガスやチリの尾を、
探査機が20分間にわたって浴びることになります。

この時間帯は探査機にとって、もっとも危険な状態になります。

なのでNASAは万一の場合に備え、
危険な時間帯に探査機が火星の陰に隠れるように調整するそうです。

でも、これほどの天体ショーを前に、
探査機が隠れているだけということはありません。

NASAは彗星接近の前後数日から数時間にも、貴重なデータが得られると期待しています。

というのも、サイディング・スプリング彗星は、
これまで一度も、内部太陽系に入ったことがないと考えられているからです。

それが事実であれば、
「この彗星は、太陽系が形成されて間もない頃の手つかずの残骸」であることを意味します。

なので「凍り付いた来訪者」である彗星を直に観測することは、
地球を含む惑星の誕生時点にまでさかのぼるデータを、集められるかもしれないんですねー

太陽最接近前に活動停止していた“アイソン彗星”

2014年07月28日 | 流星群/彗星を見よう
2013年11月に、大彗星になると期待されながらも消滅してしまった“アイソン彗星”。

太陽最接近時刻のわずか半時間前にとらえられた紫外線画像から、
彗星が近日点通過前に、活動を停止していたようすが明らかになったんですねー
遠紫外線で撮影された“アイソン彗星”の尾。
左上の赤い十字が、彗星核があったはずの位置。

太陽に最接近して消滅した“アイソン彗星”の最期のようすを明らかにしたのは、
NASAの太陽観測衛星“SOHO”の紫外線観測です。

“SOHO”はLASCOカメラでも“アイソン彗星”をとらえていたのですが、
近日点通過時刻のおよそ1時間前に彗星が遮光板の陰に入ったので、
これ以降の彗星の姿は紫外線観測装置(SUMER)のみがとらえていました。

本来は太陽の外層大気のプラズマの流れや温度、密度を調べる装置なんですが、今回は太陽の紫外線が照らす、彗星のチリの粒子を見ていたんですねー

画像は、最接近時刻のおよそ30分前、11月28日17時56分から5分間にわたってとらえられた“アイソン彗星”です。

24万キロ以上に伸びた「とがった矢」のような形の尾が見えるのですが、
彗星核があるはずの位置(画像左上)には何もないんですねー

そして、18時2分以降の10分おきに取得したデータでも、
彗星からのプラズマガスを見ることはできませんでした。

今回の研究では、粒子のサイズや放出時刻、スピードを仮定したコンピュータシミュレーションを行い、
この尾の形状の再現を試みています。

その結果得られたシナリオは、
SUMERの観測時点で、彗星はすでに活動を停止していたというものでした。

シミュレーションでは、近日点通過の8.5時間前に彗星核が最期の崩壊を起こし、
アウトバーストにより1万トン以上のチリが放出されます。

尾の形状はそれが原因のようで、
その数時間後、彗星は完全に活動を停止したそうです。