薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

「歩く」とは、本来は「小走り」することなのです

2012年09月27日 | 健康体操・呼吸法

「歩く」とは、本来は「小走り」することなのです

 本多勝一著「極限の民族」の中の第2部「ニューギニア高地人」に次の記述があります。
(これは、ニューギニアの奥まった高地に住み、文明からかけ離れた生活をしている原住民の1963年朝日新聞社調査隊の記録です。)
 …4人のアヤニ族は、…サツマイモを…それぞれの巨大なオンボ(網袋)に入れた。オンボの中に…一人はブタの子も1匹入れている。
 「これがサンガへの道だ」と、アヤニ族は言った。なるほど「道」といえばいえる。だが、日本の山だったら、いわゆるケモノ道と区別がつかないだろう。…その道を、しかも登り坂を、3人(1人は仲間の1人を呼ぶために先発)のアヤニ族たちが大変な猛スピードで走るように登りだしたとき、これは前途容易ならんものがありそうだと私たちは思った。人力車の車夫くらいの早さで、ジャングルの登り坂をぶっとばす。
 …アヤニ族は、私たちがポーターに雇ったのではない。私たちの方で勝手についてゆくのだから、相手の歩調にこちらが合わすほかはない。…これは大変なことになった。
 午前10時近く。…3人のアヤニ族はここでようやく荷をおろして一休み。いや、かれらは休んだのではない。…仲間2人を待っているだけだ。
 まもなく…2人もやってきて、5人のアヤニ族がそろった。とたんに出発。猛スピード。…アヤニの一人が藤木さんのリュックをかついだ。かれらの荷物は、平均30キロに近い。そのすべてをヒタイにかけて背負い、ハダシで身軽にすっとんでゆく様子は、うしろから見ると黒いダチョウのようだ。…かれらのペースを追うだけで必死。
 ヒマラヤを含めて、これまでのあらゆる登山で、こんなメチャクチャなペースは初めてだ。…この恐るべきエネルギーは、イモばかり食べているかれらの、どこから出てくるのか。この「イモぢから」は。…

 次に、国分拓著「ヤノマミ」に、ヤノマミ族に関する次の記述があります。
(これは、アマゾンの奥地に住み、文明からかけ離れた生活をしている原住民の2007~8年NHK調査隊の記録です。)
 …ワトリキからハナナリまでは直線で30キロ弱。森の道は蛇行しているので、実際の距離は4、50キロというところだ。
 聞くと、男と女・子どもは別々に行くという。森を歩く速さが違うからだった。僕たちは長老の一人に頼み込み、女たちと一緒に行きたいと伝えた。男たちのスピードについていく自信がないからだ。僕たちの申し出は了承されたが、女たちとナプ(外人の蔑称)だけにするわけにはいかないのか、「警護役」として2人の男が加わることになった。
 夜明けとともに僕たちはシャボノを発ち、…先頭の男は女のペースで歩いているはずだったが、それでも凄まじい速さだった。僕たちは足がもつれたり、地面を這う蔓に足を引っ掛けたりして、何度も転んだ。
 途中、女たちが「男なら先頭を歩け」と言った。冷やかしているようだった。…
 2、3時間も歩き続けると、僕らの足取りは重くなっていった。先頭を歩けないばかりか、女たちからも離されるようになった。女たちは30キロ近い荷物を担いでいるのに、僕たちの荷物はせいぜい7、8キロ。それでも離されるのだ。僕たちは何度も<ワイハ!(待ってくれ)>と懇願し、休憩を求めた。その度に、女たちがけたたましく笑った。…
(後から出発した男たちが追いつく) 僕らの後方から男たちが歩いてきて、颯爽と抜かしていった。…男たちは4、50キロの道を5、6時間で歩いてきたのだ。

 いかがでしょうか。ニューギニア高地人のアヤニ族もアマゾン奥地のヤノマミ族も、彼らが「歩く」というのは、我々現代人が「小走り」することなのです。
 それも、延々と何十キロも休憩なしで、女・子どもでさえ「歩く」ことができるのです。
 これは、さながらスポーツ競技の「競歩」のごときです。
 文明からかけ離れた未開の地に住む彼らは、これほどまでに健脚なのですが、明治初期の日本人も、けっこう健脚でした。開国によって入ってきた外国人が、日本人の健脚さに感心し、日光東照宮見物に出かけたとき、人力車と馬とどちらが早い乗り物か競走させたところ、何と人力車が勝ってしまったのですからね。

 明治初期の外国人も健脚でなかったし、現代の日本人も健脚さは全くないです。文明度と健脚さは逆比例すると考えて良いでしょうね。
 20年ほど前のフランスでの調査では、郊外では70m以上離れた所へ買い物に行くとなると自動車を使うという結果がでていますし、今の日本人も同様でしょう。すぐ便利な乗り物に頼ってしまい、30キロもの荷物を背負って歩くなんてことは絶対にありえません。
 もし、そんな真似をしたら、歩き過ぎてへたばる前に
、膝をやられて松葉杖のお世話にならねばならなくなること必至です。

 このように、現代の日本人は、あまりにもひ弱です。足を使わないから、膝が悪くなりますし、骨が細くなって骨折しやすくなります。どちらも寝たきりになる大きな要因です。
 加えて、「歩く」(「小走り」でなくても)ことをサボるから、メタボになってしまい、2、30キロの脂タンクを体に巻いて動くことになります。“そんな荷物は捨てた方がいい”と、アヤニ族やヤノマミ族の人たちは言うでしょうね。

 さあ、スポーツの秋です。膝と骨を元気にし、脂タンクを少しでも軽くするため、つとめて「歩く」(ここは「小走り」です)ことを考えましょう。


コメント    この記事についてブログを書く
« 紀元前の中国は既に生活習慣... | トップ | 今月の笑い話ベスト5<チャ... »

コメントを投稿

健康体操・呼吸法」カテゴリの最新記事