雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

初心忘るべからず ・ 小さな小さな物語 ( 734 )

2015-09-24 14:38:20 | 小さな小さな物語 第十三部
「初心忘るべからず」といえば、世阿弥の言葉だそうで、「習い始めた頃のひたむきな気持ちを忘れてはいけないという教え」という能楽を学ぶにあたっての心構えを説いたもののようです。
この言葉は、現在でも、使われる分野を広げる形でよく使われています。
折から、統一地方選挙の後半戦が終わり、二週間前の前半戦と合わせると、首長・議員を合わせると、何人が新しく任用されたことになるのでしょうか。もちろん、新しくというのは、初めて当選したという人だけを指すのではなく、たとえ四半世紀を越えるほどその職責を経験してきていたとしても、今回の選挙で選ばれた以上は、全員が新しく着任したということになります。さらに言えば、たとえ無投票当選であっも、これからの四年間の職責を新しく任命されるということには全く変わりがありません。
ぜひ、新首長・新議員諸氏の初心を大切にした政治活動を期待したいと思います。

しかし、残念ながら、国民の信託を受けた首長や議員からは、とんでもない人物がほぼ定期的と言っていいほどに登場してくることも事実です。
最近の例でいえば、我が兵庫県からは、お話にならないほど経費をポケットに入れておきながら、弁明だか何だか分からない絶叫する姿は、兵庫県だけで済めばよいものを、全国、あるいは海外にまで報道されたというのですから、何とも県民としては恥ずかしい限りです。さらに、この人物と似たり寄ったりの議員が、絶叫はしないまでも複数いるようですし、他県からもちらほら噂が出ていたようです。
また、最近お騒がせした某国会議員は、数年間の議員生活で○○万円蓄財したと豪語していたという報道もありましたが、事実だとすれば、議員報酬はともかく政治活動に当てるはずの経費もひたすらため込んでいたのでしょうか。

多くの新首長・新議員諸氏は、地域の発展や福祉や教育など、それぞれの理想を想い描いての登場だと思うのです。ぜひ、理想到達はともかく、初心を忘れることなく活動されることを期待したいと願うばかりです。
同時に、先に挙げた絶叫氏などは、当初から個人的に蓄財が目的であったのかどうか、もしそうだとすれば、彼もまた初心に忠実であっということになるのでしょうし、今回選ばれた人の中にも、同類が混入してしまっていないか、少々心配もあります。もしその可能性があるとすれば、うかうか「初心忘るべからず」などと期待してはいけないことになります。

「初心忘るべからず」というのは、何も政治家に求めるばかりの教えではなく、私たちこそ心に留めておきたい教訓のように思われます。
但し、大切なことは、「ひたむきな気持ち」を忘れてはならないと教えているということです。
ややもすると、惰性で時を過ごしているように感じることも少なくないのですが、入学とか、入社とか、いわんや選挙に当選したというほど大それた折り目でなくとも、何かとひたむきに取り組むような機会はあるものです。時々は、その時のようなひたむきな気持ちを思い起こしてみたいものです。

( 2015.04.27 )

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ウインウインの関係 ・ 小... | トップ | 巨星の最期 ・ 小さな小さ... »

コメントを投稿

小さな小さな物語 第十三部」カテゴリの最新記事