雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

女子体操選手が五輪辞退

2024-07-20 18:05:42 | 日々これ好日

    『 女子体操選手が五輪辞退 』

   喫煙の疑惑が浮上していた 体操の女子選手が
   五輪出場を辞退したと 日本体操協会が発表
   五輪開幕寸前に 辞退に追込まれた選手の心情を思うと
   何とも辛い出来事だ
   ルールがある以上 知らない振りは出来ないだろうし
   若い選手の将来を考えれば 「辞退」と言うことになったのだろう
   残念な結果だが 当然 指導者の責任も問われるべきで
   選手一人だけの問題に しないでしょうねぇ・・

                    ☆☆☆

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愛おしい物ばかり ・ 小さな小さな物語 ( 1788 )

2024-07-20 08:00:49 | 小さな小さな物語 第三十部

外は、真夏を思わせるようなお天気になってきています。今の段階(7月19日)では、近畿地方の梅雨明けはまだ伝えられていませんが、おそらく、明日には梅雨明け宣言がありそうです。
庭からは、蝉の声が聞こえてきます。抜け殻はすでに幾つか見つけていますし、立派な姿を現わしたところも見ているのですが、その蝉はどこかへ飛んで行ってしまったらしく、わが家の庭では鳴いてくれませんでした。
今、庭で鳴いている蝉がわが家生まれかどうかは分りませんが、本格的な夏だと歌っています。すでに、猛暑日もあり、熱中症への注意が繰り返されていますが、やはり、蝉の声が加わってこそ本格的な夏だと思うのです。

ところで、蝉が幼虫から殻を破って羽ばたくのを、「羽化」と言っていいのでしょうかねぇ。蝉は「不完全変態」の昆虫で、蛹(サナギ)の期間がなく、幼虫から直接成虫になる昆虫で、蝶などとは少し違います。
儚いものの例えに、蝉の生涯をあてることがありますが、それは、成虫になって激しく鳴く姿とその期間の短さに儚さを感じるのではないでしょうか。
ただ、蝉の成虫としての寿命は1~2週間とも言われることが多いですが、条件さえ良ければ、1か月以上生存できるそうです。また、地中での生活となると、日本の蝉の多くは3~5年くらいのようですが、米国には、13年とか17年といった蝉がいるそうですから、こちらは犬や猫に近いほどの寿命を持っていることになります。

わが家の庭の一画に、女郎花が黄色い花を咲かせています。この花は、匂いが気になって植えることはなかったのですが、「何種類もの花が咲きます」という種を蒔いた中から、一番元気に勢力を張ったのが女郎花でした。ところが、切り花にそれほど良いとは思えませんし、やたら大きくなりますし、小さな庭には不向きなような気がしながらも、何とも愛着を感じるようになりました。そして、今年も芽を出してくれて、今、真夏の陽光に一歩もひけを取ることなく黄色い花を咲かせてくれています。
今年は、ひまわりを植えていませんので、わが家の庭の夏のエースは女郎花に託しています。

この夏は、十年に一度の暑さになるといった報道を見ました。わが国のすばらしい風土の象徴ともいえる四季が、そう遠くない時期に、夏と冬だけの二季になるという意見を述べられている人がいました。
今日という一日が終っても、また明日には同じような一日がやって来るものだと思って、それも、何の疑問も抱くことなく、この数年を生きているような気がします。
ほんとうは、自然でさえも変化しており、わが家の小さな庭でさえ、日々、一刻一刻その姿を変えているはずです。
少々大げさな表現かも知れませんが、そう考えながら、ぎらぎら陽光に輝いている庭を見ていますと、わが身の周辺だけは、何の変化も起らないことを条件に成り立たせていることに驚きを感じます。
と言って、何が出来るわけではありませんが、動物にも、植物にも、自然の変化にも、そして人に対しても、今よりほんの少しでも優しくありたいと思えてきます。


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米大統領選挙の行方

2024-07-19 18:30:05 | 日々これ好日

     『 米大統領選挙の行方 』

   トランプ氏の指名受託演説が 伝えられている
   これまでとは かなり趣が違う部分と
   そうでもない部分とが 混在しているようだ
   一方のバイデン陣営は どうやら 相当混乱しているようだ
   勝手な予想としては このままでは 民主党の惨敗のように読める 
   近々のうちに 英断があるかどうか 興味深い

                      ☆☆☆ 
    

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情欲の僧と菩薩 ( 1 ) ・ 今昔物語 ( 17 - 33 )

2024-07-19 08:00:20 | 今昔物語拾い読み ・ その4

     『 情欲の僧と菩薩 ( 1 ) ・ 今昔物語 ( 17 - 33 ) 』


今は昔、
比叡の山に若い僧がいた。
出家してから後、学問への志はありはしたが、遊び戯れることに心を奪われ、学問をすることがなかった。ただ、わずかに法華経だけは習い受けていた。
ところが、やはり学問の志はあったので、常に法輪寺(ホウリンジ・京都市西京区嵐山に現存。)に詣でて、虚空菩薩にお祈り申し上げていた。けれども、すぐに思い立って学問をするということもなかったので、相変わらず何も知らない僧のままであった。

僧は、このような自分を嘆き悲しんで、九月の頃に法輪寺に詣でた。すぐに帰ろうとしたが、その寺の知り合いの僧たちがいたので、話などしているうちに、いつしか夕方になったので、急いで帰途についたが、西の京(右京)のあたりで日が暮れてしまった。
そこで、知人の家を訪ねたが、その家の主人は田舎に出掛けていて、留守番の下女の他には人がいなかった
。仕方なく、別の知人の家を訪ねようと歩いて行く途中に、唐門のある家があった。その門前に、袙(アコメ・内着。肌着。)をたくさん重ね着した、こざっぱりとした若い女が立っていた。
僧はその女に近寄って、「比叡山から法輪寺にお参りして帰る途中ですが、すっかり日が暮れてしまいましたので、今夜一晩だけこちらの御屋敷に泊めていただけないでしょうか」と言った。
女は、「しばらくそこでお待ち下さい。伺ってまいります」と言って、屋敷内に入っていったが、すぐに出てきて、「おやすいことです。どうぞお入り下さい」と言った。

僧は喜んで入ると、放出(ハナチイデ・母屋から張り出した建物。応接などに使われた。)の間に火を灯してそこに案内した。
見ると、きれいな四尺の屏風が立てられていて、高麗縁の畳が二、三畳ばかり敷かれていた。
すぐに、袙に袴を付けたこざっぱりとした女が、高坏に食べ物を乗せて持ってきた。
僧は、皆食べ酒なども呑み、手を洗って坐っていると、奥の方から遣戸(ヤリド・引き戸)を開けて、几帳を隔てて女の声で、「あなたはどういうお方ですか。どうしてここにおいでになられたのですか」と尋ねた。
僧は、「私は比叡山から法輪寺に詣でて帰る途中でしたが、日が暮れてしまったのでこのように宿をお借りしています」とその由を答えた。
女は、「いつも法輪寺にお参りになられるのであれば、そのついでに、どうぞお立ち寄り下さい」と言うと、遣戸を閉じて奥に入って行った。

女は遣戸を閉めたが、几帳の袖の所がからまってきちんと閉まらなかった。
やがて、夜が更けた頃、僧は建物の外に出てみたが、南面(ミナミオモテ・寝殿造りの正殿)の蔀(シトミ・上下に分かれている横戸で、下は固定し上は押し上げて開ける。)の前を行きつ戻りつしながら歩いていると、蔀に穴があるのが見えた。
そこから覗いてみると、家の主と思われる女がいた。年の頃二十歳余りに見える。美しい顔をしていて姿もたいそうすばらしい。紫苑色(シオンイロ・表が薄紫で裏が青の襲。)の綾の衣を着て横になっている。髪は衣の裾のあたりで輪になっていて、いかにも長そうである。その前に、女房二人ばかりが几帳の後ろで寝ている。そこから少し離れて、女童が一人寝ている。先ほど、食べ物を持ってきてくれた者らしい。室内の様子はまことにすばらしい。

二段の厨子の棚には、蒔絵の櫛の箱や硯の箱が無造作に置かれている。香炉に空薫(カラダキ・それとなく香を漂わせること。来客の際、隣室で香を薫いたりする。)しているのか、良い香りが漂ってくる。
僧は、この主の女を見ているうちに、すっかり思慮を失ってしまった。
「自分には、どういう宿世があって、この屋敷に泊まり、この女を見つけたのだろう」と嬉しくなって、この思いを遂げなければ、この世に生きている意味がないように思われ、皆が寝静まり、その女も寝入ったと思われる頃、あのうまく閉まっていない遣戸を開けて、そっと忍び足で女に近寄り、傍らに添い臥したが、女はよく寝入っていたので、全く気がつかない。

そば近くによると香の薫りがいっそうすばらしい。
「目を覚ますと声を立てるだろう」と思うと、萎縮しそうになる。ただ、仏を念じ奉って、女の着物を開いてその懐に入ると、女は驚いて目を覚まし、「どなたですか」と言ったので、「こうこう、こういう者です」と僧が答えると、女は、「貴いお方だと思えばこそ、宿をお貸ししたのです。このようなことをなさるとは、残念でなりません」と言った。
僧はなおも近づこうとしたが、女は着物を身にまとい、全く許そうとしなかった。その為、僧は情炎に身も心も堪え難くなったが、人に聞かれると恥ずかしいので、強引な振る舞いもできない。

すると女は、「わたしは、あなたのお言葉に従わないというのではありません。わたしの夫は、去年の春に亡くなりましたので、その後、妻にと言う人がたくさんありましたが、『これといった取り柄のない人とは結ばれまい』と思って、このように独り身でいるのです。そして、むしろ、あなた様のような立派なお坊様のような人を貴ぶようにしているのです。ですから、あなたを拒み申し上げるわけではありませんが、どうなのでしょうか、あなたは法華経をそらんじて読むことができますか。貴いお声でしょうか。そうだとしましたら、『御経を貴んでいる』と他の者には見せかけて、あなたにお近づきいたしますが、いかがでしょうか」と言った。
僧は、「法華経を習い奉ってはおりますが、未だに空では読めません」と答えた。
女は、「それは、そらんじるのが難しいからですか」と尋ねた。
僧は、「その気になれば、空で読み奉ることは出来ないわけではありません。しかし、わが事ながら、遊び戯れることにばかりに身を入れていたので、空で読めないのです」と答えた。
女はそれを聞くと、「速やかにお山に帰って、御経を空で読めるようになってから、またおいでください。その時には、こっそりとあなたのお望み通りにこの身を差し出しましょう」と答えた。
僧はそれを聞くと、それまでの思い詰めていた気持ちも落ちつき、夜も次第に明けてきたので、「それでは」と言って密かに部屋を出た。
女は、朝の食事などさせて送り出した。
        
                  ( 以下 ( 2 ) に続く )

     ☆   ☆   ☆

* 本話は、今昔物語中、屈指の長編です。

     ☆   ☆   ☆

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兵庫県民の一人としては・・

2024-07-18 19:14:12 | 日々これ好日

    『 兵庫県民の一人としては・・ 』

   兵庫県知事に対する パワハラ問題は
   テレビの全国ネットでも 再三報じられていて
   県民の一人としては 何とも 惨めな気持ち・・
   犠牲者まで出してしまった パワハラ問題に加え
   おねだり知事とまで 報じられてしまえば ねぇ・・
   真実は どういう事であったのか 知らないが
   パワハラに関する内部告発事件の 対処方法は
   余りにも乱暴で 法的にも問題がありそうだ
   知事は辞職を否定しているが 記者会見は行っており
   百条委員会もあるので だんまりで身を引くよりは
   何があったのか 可能な限り 事実を明らかにした上で
   しかるべき決断をするのは 正しい方法だと思う
   ただ 選挙で選ばれたからと言って
   錦の御旗を手にしているわけではないことは
   承知していて欲しい と思う

                  ☆☆☆
   

   

コメント (2)
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敦成親王家の誕生 ・ 望月の宴 ( 115 )

2024-07-18 08:14:14 | 望月の宴 ③

     『 敦成親王家の誕生 ・ 望月の宴 ( 115 ) 』


さて、殿(道長)は若宮(敦成親王、のちの後一条天皇)をお抱き申し上げられて、帝(一条天皇)の御前にお連れ申し上げる。若宮の御声は、まことに若々しく愛らしい。
弁の宰相の君が御剣(ミハカシ)を持って参上なさる。母屋(モヤ・寝殿造りの中央の間。)の中隔ての戸の西に、殿の上(道長の妻倫子)がいらっしゃるが、そこへ若宮をお連れ申し上げる。

帝が若宮を御覧におなりになる御心地はどのようなものか、ご推察いただきたい。
これにつけても、「一の御子(敦康親王。一条天皇の第一皇子で、母は定子中宮。)がお生まれになった時、すぐにも御対面なさらず様子もお聞きになられなかったことだ。やはり、仕方のないことだ。こういうお血筋には、頼りになる外戚の人がいてこそ、張り合いがあるというものだろう。貴い国王の位といえども、後見となって引き立てる人がいなければ、どうすることも出来ないのだ」とお思いになり、第一御子とこの若宮の行く末までのことなどを考えざるを得ず、人知れず第一御子をふびんにお思いになられるのであった。

帝は、中宮(彰子)と御物語などして、たいそうくつろいでおいでになるうちに、すっかり夜になってしまったので、万歳楽、太平楽、賀殿などの舞があり、様々に奏でられる楽の音色がすばらしく、笛の音も鼓の音も興趣たっぷりに聞こえてくる上に、松風が爽やかな音を立てて吹いていて、池の波までが声を合わせている。
「万歳楽の声と一緒になっています」と、若宮のお声を聞いて、右大臣(藤原顕光。道長とは従兄弟の関係。)がちやほやなさる。左衛門督(藤原公任)、右衛門督(藤原斉信)が万歳千秋などを声を合わせて吟じられる。
主人の大殿(道長)は、「これまでの行幸を、どうしてすばらしいと思ったのだろう。今回のこれほどすばらしいことがあるというのに」と仰せられて、感激に泣きそうになられるのを、もっともなことだと、殿方たちは同じ思いで御目を拭っておられる。

こうして、殿は奥にお入りになり、帝がお出ましになられて、右大臣を御前にお召しになったので、右大臣は筆をとって加階の名簿をお書きになる。
宮司(ミヤヅカサ・中宮職の官人)、殿の家司(ケイシ・道長家の家司。子息たち、彰子の母倫子も従一位になった。)、然るべき者すべてが昇進した。頭弁(源道方)に命じて、この加階のことを中宮に申し上げられたようである。
新しい御子の御喜び(この日、若宮に親王宣下があった。)に、藤原氏の上達部が連れ立って拝礼申し上げる。同じ藤原氏であっても、門流が別の人々は、拝礼の列にはお立ちにならない。
次に、別当(新しく出来る敦成親王家の家政組織の長。)におなりになった中宮大夫兼右衛門督(藤原斉信)、権大夫兼中納言(源俊賢)、権亮侍従宰相(藤原実成)などが加階なさって、御礼の舞をなさる。
帝が中宮の御部屋にお入りになって間もないうちに、「夜もたいそう更けた」「御輿を寄せます」などと、人々が大声を出しているので、殿も帝のお見送りのために部屋から出ていらっしゃる。

翌朝、帝の御使者が、朝霧も晴れないうちに参上した。若宮を恋しくお思いのゆえのことだろうと推察される。
その日に、若宮の御髪(ミグシ)を初めて削ぎ奉る。特別に行幸の後にということで遅くなったのであろう。(新生児の髪を削ぐのは、ふつうは七日目頃であるが、髪がある方が可愛らしく見えるので、ひと月も遅らせたらしい。)
そして、その日には、若宮付の家司として、おもと人、別当、職事(シキジ・蔵人などか?)などお決めになる。ここ数日の御部屋の調度などが乱れがちで、普通の状態ではなくなっているのを、元通りに改め、きらびやかに飾り立てられる。
殿の上(倫子)は、長い間心待ちになさっていた皇子誕生が実現なさったので、何よりも嬉しく、明け暮れに参上して若宮を見奉っていらっしゃるのも、まことに満ち足りた御有様である。

     ☆   ☆   ☆

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米大統領選に変化が見られるか?

2024-07-17 18:57:05 | 日々これ好日

    『 米大統領選に変化が見られるか? 』

   トランプ前大統領の 銃撃事件後 
   選挙戦に 変化が見られるのではないか という
   意見や期待が 聞かれるが
   果たして どうなのだろうか 
   その後の トランプ氏の選挙演説は 伝えられていないが
   副大統領候補は トランプ路線を 
   さらに強硬にしたような 人物らしい 
   一方の バイデン陣営は どうなのだろうか
   こちらの陣営は 違う意味での 変化が有るのかどうか
   他国の事ながら 興味深い

                  ☆☆☆

   

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蟻の一穴 ・ 小さな小さな物語 ( 1787 )

2024-07-17 07:59:47 | 小さな小さな物語 第三十部

トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件は、各界に大きな波紋を広げているようです。
トランプ氏自身は、本当に危機一髪という状態でしたが、耳の負傷だけで済んだようなので不幸中の幸いとも言えますが、事件全体としては、一人が亡くなり二人が重症ということですから、まことに不幸な事件だったと言えます。
事件の背景などは、まだ詳しくは伝えられていないようですが、まだ若い青年の単独犯の可能性が高いようにも報じられています。大規模な組織や政治的な背景などの影は薄いようにも見えますが、それはそれで恐ろしさを感じます。

民主主義国家を代表するともいえる米国において、大統領選挙は大変大きな行事です。イベントと言ってもいいほど、国家を上げて、長期間にわたって、激しい選挙戦が行われますが、ほぼ完全な二大政党制だけに、互いの陣営同士の戦いは激しく、政策論争以上に相手をこき下ろすことに注力し合っているように見えます。そうした選挙戦は、国家の分断化を助長しているとも指摘されていますが、米国の社会不安の一因になっているように見えてしまいます。
そのような、互いに相手を激しく罵倒し合うような選挙戦の中で、この事件は発生しました。そのような選挙のあり方について反省の機会を与えられたような気もしないでもありませんが、この事件の映像を見て第一に感じましたのは、「蟻の一穴」という言葉でした。

「蟻の一穴」という言葉、わが国で誕生した言葉のようですが、古くから使われているようです。その多くは、「蟻の一穴、天下の破れ」とか、「千丈の堤も、蟻の一穴から崩れる」と言ったように、蟻がえぐる小さな穴が、天下や千丈の堤といった一見盤石な物を砕くとの教えとして使われるようです。
米国という強大な国家を建設した人々が、長い時間をかけて築き上げてきた民主主義政治の根幹をなす大統領選挙が、たった一発の銃弾において、たった一人の青年の行動によって大きく揺らぐという現実を見せつけられたような気がしました。
もしかすると、私たちが身を寄せ、命を託している国家や社会という物は、「砂上の楼閣」のような物で、日本列島が沈むほどの大地震でなくても、地球全体が歪められるほどの巨大隕石が衝突しなくても、私たちが拠り所としている場所は、少しでもバランスを崩せば倒壊してしまう「砂上の楼閣」であり、至る所に「蟻の一穴」が潜んでいる堤に過ぎないのも知れません。

米国の今回の事件に関しては、両陣営が、あまりにも下品すぎるような相手批判を控える方向に動きそうな気配がありますので、ぜひとも、民主主義政治の選挙のあり方を示してほしいものです。
そして、「砂上の楼閣」を心配する必要は、先日の都知事選挙一つ取って見ても、わが国こそ少なくないのだと思います。
おそらく、その様子が他国でも報道されて、それもお笑い番組のようなコーナーで紹介されたのでしょうね。わが国の選挙制度は、制度その物も、投票の管理についても、どこにも負けないすばらしいものだと思うのですが、残念ながら、一部の候補者の行動や言動は、世界でも例を見ないほど低俗な物であったように思うのです。
社会の制度や品格が砕かれるのは、他国からの侵略や大災害などにのみ起因するのではなく、「蟻の一穴」のような物により砕かれていくのではないでしょうか。
悲しいかな、わが日本列島には、数限りないほどの「蟻の一穴」が存在しているのでしょうが、一つ一つ、地道に埋め直していくことが必要なのでしょうねぇ。 

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ホームラン競争

2024-07-16 18:50:46 | 日々これ好日

      『  ホームラン競争 』

   米大リーグ オールスターの前日に行われた
   ホームラン競争で
   大谷選手の同僚の T・ヘルナンデス選手が優勝した
   このホームラン競争は 過酷だということで
   辞退する選手が 多いようだが
   優勝賞金が 1億5千万円余りというから 凄い
   大谷選手も 同僚の快挙に 
   喜んでいることだろう と 勝手に想像している

                  ☆☆☆ 

 

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地蔵菩薩が詠んだ和歌 ・ 今昔物語 ( 17 - 32 )

2024-07-16 08:06:07 | 今昔物語拾い読み ・ その4

    『 地蔵菩薩が詠んだ和歌 ・ 今昔物語 ( 17 - 32 ) 』


今は昔、
上総の守、藤原時重朝臣という人がいた。
上総国の守(国守)に任ぜられて、国を治め民を安んじて、在国することすでに三年に及んでいたが、長年の宿願があって、「国内において法華経一万部を読み奉る」という庁宣(チョウゼン・国司が発する命令書)を発した。

されば、国内の山寺も里の寺も、すべてこの経を読み奉らない人はいなかった。
守は、「読んだ後は、各々読んだ巻数を報告せよ。それによって、籾一斗を法華経一部に当てて与えよう」と言った。
すると、この国や隣国の上下の僧共はこの事を聞いて、各々が経を読み、読み終えて巻数を捧げ持って、星の如く数知れず国司の館に集まってきた。
そのうち、一万部の巻数に達したので、守は大いに喜び、その年の十月に法会を営んで供養し奉った。

その夜、守の夢に一人の小僧が現れた。その姿は端麗で、手に錫杖を取り、喜んでいる様子でやってきて、守に告げた。「汝が行った清浄の善根を我はたいそう嬉しい」と。そして、和歌を詠んだ。
『 一乗の みのりをあがむる 人こそは みよの仏の 師ともなるなれ 』
( 一乗の  御法(法華経の教え)をあがめる 人こそ 三世の仏の 師となるのである )
また、
『 極楽の 道はしらずや 身もさらぬ 心ひとつが なおき也けり 』
( 極楽へ 行く道といえば 身について離れることのない 心一つが 正直であることだ )
また、
『 さきにたつ 人のうえをば ききみずや むなしきくもの けむりとぞなる 』
( 先立って 死んで行く人について 見聞きしていないか 虚しい雲の 煙になってしまうものだ )
と。
小僧はこのように仰せになると、近寄ってきて、自ら左の手を伸ばして守の右の手を取って、「汝は、これから後いっそう無常を観じて(観想して)、後世往生の勤めをなしなさい」と仰せられた。
守はこれを聞いて、涙ながらに感激し、小僧に「今お教え下さったことをすべて守ります」と申し上げた。このように見たところで、夢が覚めた。

その後、まだ夜が明けきらぬうちに、智りある僧を招き集めて、夢のお告げを語った。これを聞いた僧たちは、涙を流して、「これは、地蔵菩薩の教えである」とたいそう尊んだ。
守は早速仏師を呼んで、日ならずして等身の地蔵菩薩の像を造り奉って、開眼供養し奉った。
その後は、守の一家はみな頭を傾け、掌を合わせて、日夜を問わず地蔵菩薩を帰依し奉ったのである。

これを思うに、人にご利益を与えるためには、地蔵菩薩も和歌をお詠みになるのだと、この話を聞いた人は皆尊んだ、
となむ語り伝へたるとや。

     ☆   ☆   ☆

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