雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

一将功なりて万骨枯る ・ 小さな小さな物語 ( 1799 )

2024-08-31 08:22:23 | 小さな小さな物語 第三十部

わが兵庫県政は大揺れです。
報道されている部分だけを根拠に、何が正しく何が間違っているなどと論ずるのは極めて危険ですし、公平でないことは確かでしょう。それは承知の上ですが、現に、関連が疑われる人が二人亡くなっているのですから、一首長の問題ばかりでなく、組織全体とまでは言わないまでも、組織のかなりの部分がかなり病んでいるように思えてならないのです。
「一将功なりて万骨枯る」という言葉がありますが、もう死語の部類に近い言葉と思っていましたが、職場などのパワハラ・セクハラといった問題が表面化する度に、死語どころか、現役バリバリの言葉のような気がしてしまいます。

それにしても、兵庫県知事をめぐるパワハラ問題の報道を見ていますと、事実とか、真実とかというものは、なかなか複雑な形をしているようで、見る角度によりかなり姿が変るようです。
今回の件でも、光の当たる場所にいた人と、そうでもない人の場合とでは、一つの出来事でもかなり違った現象として伝わっているような気もします。
新約聖書には、イエスは、「私は、世にいる間、世の光りである」と語り、また、弟子や群衆に対して、「あなたたちは、世の光りである」と語っています。
仏教説話などでは、光は、如来や菩薩の智慧や慈悲の象徴として、よく登場します。
そして、それらの光は、あまねく慈悲をお与え下さるものと考えられます。

しかし、「光」を科学的に見ますと、単にまっすぐ突き進むだけのものではないようです。少々辞典の力を借りてみました。
「光」には、様々な特性があります。
① 均質な媒質の内部では直進する。
② 異なる媒質の境界面で反射または屈折する。
③ 透明な媒質の境界面に当たるときは、その一部は反射し、残りは内部を通過する。
④ 二つの光源が重なり合うことで光が強くなったり弱くなったりする。
⑤ 光が伝搬するときに障害物の後方に回り込む。
⑥ 光の速さは光源の運動状態に関わらず不変。
  光は媒質を必要とせず、真空中を伝播することができる。
⑦ 光は、「波」と「粒」の両方の性質を持っている。
  波長とは光が1回振動する間に進む距離のことで、私たちが見ることが出来るのは、波長が約 400 - 700 ナノメートル の範囲のもので、それ以外の、例えばX線や紫外線や赤外線などは私たちには見えないが光の仲間。
  粒の数によって光の強さが代わる。

以上、少し長くなりましたが列記させていただきました。
実は、列記させていただいた理由は、光の性質というものは、人間関係が持っている性質と酷似しているように思えたからです。
少々無理筋かもしれませんが、私たちの思いなどはまっすぐに伝えられるものと考えがちですが、実は、ちょっとした障害物があれば、簡単に屈折し、跳ね返ってしまいます。ところが悪いニュースとなれば、真空地帯さえ貫いて千里を走ります。
懸命に伝えたメッセージであっても、ある人にはごく限られた部分しか見えず、見えない部分が様々な危害を生み出すこともあります。
「一将功なりて万骨枯る」という言葉も、一つの組織を生かすための一形態とも言えますが、現代社会においては、一人のリーダーのために、多くの人が傷つけられるような組織が容認されないことは、当然のことです。それに、現代社会では、「万骨」は黙って枯れてなどいないでしょうし、黙っていてはいけないはずです。

( 2024 - 08 - 22 )

 



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