雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

北陸に優勝旗 ・ 小さな小さな物語 (726)

2015-09-24 14:49:14 | 小さな小さな物語 第十三部
春の高校野球は、福井県の敦賀氣比高校の優勝で幕を閉じました。
春・夏を通じて北陸勢初の優勝だそうで、同校関係者はもちろん、北陸地方の方々の喜びも大きいようで、晴れやかな報道が見られました。
全国から選抜された高校が甲子園球場に集まって戦うわけですから、郷土の代表としての誇りや責任もあるのはよく分かりますが、「北陸地方に初の優勝旗」と大きく報じられることに若干の違和感がありましたが、春の大会の場合は、地域ごとに選抜されることを考えると、関係者の間では今回の快挙は大きなニュースであったようです。

それにしても、敦賀氣比高校の猛打には驚かされました。
準決勝で記録された、「二打席連続の満塁ホームラン」などというのは、そうそう簡単にお目にかかれる記録ではないと思われます。一試合に一人で五本のホームランを打つより難しい記録ではないでしょうか。
おそらく、マンガやドラマなどで主人公に二打席連続で満塁ホームランを打たせても、感動を呼ぶどころかバカバカしいと思われてしまう可能性が高いのではないでしょうか。
まさに、奇跡的と言っていいホームランだったと思います。

高校野球に限らず、スポーツで活躍している選手のドキュメンタリーなどを見ていますと、必ずと言っていいほど奇跡的な出来事が一つや二つは含まれています。
テニスで活躍している人も、スケートで活躍している人も、陸上で活躍している人も、どの競技であれ、一流とされるほどの選手が登場してくる背景には、本人の血の滲むような努力が大きいとはいえ、周囲の支援や偶然に見えるチャンスなど、天の配剤のように見える一瞬が含まれているような気がするのです。
そのような絶妙とでも表現したいような「一瞬」は、スポーツなどは比較的分かり易いのですが、それ以外の分野でも、芸能や技術に関わる人や、一般的には平凡なサラリーマンと一括りにされがちな人たちにも、きっと、そのような「一瞬」があるのではないでしょうか。

「偶然が二度続けば奇跡的で、奇跡的なことが二度続けば、それはもう奇跡そのものだ」というのが私の持論なのですが、このように感じられたり、意識することもない中で、私たちは、そのような「一瞬」に出合っている可能性があるように思うのです。
折から、関東より西の地域では、桜が満開の時を迎えようとしています。
古来、私たち日本人は特に桜を愛でてきたようですが、大宮人たちが歌に詠んだ桜は山桜だと思われます。現在私たちが花見の対象としている桜は、ソメイヨシノが主流です。この桜は、交配によって生まれた桜ですが、まだその歴史は新しく、樹の寿命も比較的短いそうです。
人工的に誕生し、決して長くない寿命の中で、今満開の花を咲かせているソメイヨシノを眺められるのも、もしかすると、そのような「一瞬」の一つかもしれません。
お天気が心配ですが、近くの公園でお花見などいかがですか。

( 2015.04.03 )

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