中国西安で奮闘する大学教師Mの日々

日本人教員として中国の陝西省西安市の大学生・大学院生に対し、「日本文化・社会」や「卒業論文」などを教えています。

台湾問題に関する1964年極秘外交文書開示 (2014年7月24日 NHKニュース)

2014年07月25日 01時19分32秒 | 日中関係のあれこれ
本日の夕食を家族でとっている最中、1964年、日中関係の外交文書開示に関するNHKニュースが流れた。

それによれば、1964年1月26日、当時外相だった大平正芳が北京の共産党政権承認を見越していたことを示す文書が開示されたという。
文書の中には、当時、日本を訪れたアメリカのラスク国務長官と大平外相との会談記録が記されている。
NHKニュースでは、この文書の記録の中でも特に、大平外相の、

「国民党政権が民主的な繁栄した国として台湾で立派な繁栄遂げること望んでいる」

と語る一方、

「台湾が中国本土をも支配しているというフィクションによって色々な問題が出る」
「国民党政権が中国全体に対する正当な政府との考えに基づくからだ」

などと話した部分が紹介されていた。
これに基づけば、大平外相は当時、日本政府が中国唯一の合法政府として国民党政権を承認していた立場とは異なる見解を伝えていたことになる。
さらに、この会談で世論調査がソ連を一番嫌いな国とした一方、中国の共産党政権にはあまり敵意がないと語っていたと言う。

これらの文書記録から、大平外相が当時、将来的には北京の共産党政権の承認を見越した見解を伝えていたことが明らかになった。
こうした発言の背景として、NHKは、

・(当時)中国大陸は中国共産党が現実的に支配していた
・その現状をまずは認識したうえで、非常に現実的な対応を(日本政府側は)考えていた
・結果、「外務当局はいずれ中共(中国共産党)を承認する」、「国連加盟を認める」という基本的な将来像のもとに、台湾をどうするか議論していた

とまとめていた(国立公文書館センター長、波多野澄雄氏の解説による)。


実際のニュースは以下のアドレスから見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=dAI351-Ntfc



今回はあくまでも1960年代の大平外相個人の対台湾(或いは、対中)認識・見解が外交文書から明らかになったわけで、どこまで同じような見解・認識を持つ政治家(或いは、官僚)が日本政府内にいたのかとは別の話である。
ただ、やはり当時、政府内に大平のような現実的な判断のできる政治家がいたことの意味は無視できないと思う。
実際、近年、1972年9月の日中国交正常化の交渉の際、大平の果たした役回りなども随分明らかになってきている。

帰国中には大平正芳関係の研究書や自伝なども読み、当時の日中関係史の全体像をもう少しきちんと整理したいと思っている。
そういえば、大平関係で言えば、最近本が一冊出ていた。
帰国後に注文して、今は到着を待っているところ。

服部龍二『大平正芳 理念と外交』岩波書店、2014年
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0291290/top.html


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