ちょびっと♪日記

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「相棒ten」第2話

2011-11-08 | ドラマ「相棒」



『相棒ten』第2話-逃げ水-



*ストーリー
 5年前に新開拓海(和木亜央)という青年を殺害、5年の懲役刑を終えて出所したばかりの川北誠也(川野直輝)が何者かに殺害された。

 現場の状況から怨恨による犯行とみられ、容疑者として拓海の父・新開孝太郎(綿引勝彦)が浮上する。「犯人の刑が軽すぎる」と損害賠償を求める民事訴訟を起こしていた孝太郎。その弁護士となったのが、元法務大臣の瀬田(渡哲也)とわかり、右京(水谷豊)と尊(及川光博)はさっそく会いに行く。

 瀬田によると、川北は1億円あまりの賠償金の支払いを命じられていたが、いまだに一度も払われていないという。
被害者夫妻を守ろうとする瀬田。

 しかしそんな中、意外な人物が川北殺害を名乗り出て、右京と尊は凍りつく…。



正直神戸くんが過去の裁判で偽証した件が露呈した後でもあり、右京さんと神戸くんが一緒に行動してるのを見るのはしのびない。
「もう時効ですかねぇ」
と言った上司・杉下右京の言葉を真に受けて平気でいられるほど神戸の面の皮が厚いとは思えない。
『相棒』の場合、時系列が順列とは限らないので今回が初回後、かどうかは分からないけど。

加害者と被害者の家族の感情は一体何によってなら救済されるんだろうか、という話なのかな。
傷害致死で息子を殺された遺族は精神的に追い詰められ、民事裁判で賠償金を勝ち取ってもその支払いに強制力はない。加害者の家族にも支払う義務はない。
被害者遺族の心はたった5年の刑期で息子を殺されたことを許すことはできず、ならば一生かけて償ってほしいと民事裁判を起こせば世間から「息子の生命を金に変えるのか」と誹謗中傷される。
加害者側の家族も世間やマスコミの非難に晒され、傷つけられて。あー『HUNTER』の2話とも少し被る話だなあ。
で、出所した加害者が殺害され前の被害者遺族が殺人を疑われて更に傷つく。

そんな折に被害者遺族が自首とかねぇ…。

なんかもう世間の雨風に曝されて生きた心地もしない人たちが生まれるばかりで、救済なんてどこにもない。
弟が過失致死を犯した所為で母を亡くし、父が失踪し何もかも失って、出所してきた弟は
「賠償金なんか何回か払って払う意志があるって見せればいいんだ、金貸してくれ」
なんて言う。
追い詰められた姉は弟を殺してしまう。

刑事でも民事でも救われない被害者感情を訴えるために自首しようとした被害者遺族は、犯人になる道もあると思ったと言う。
「そんな考えは間違っている。少なくとも私はそう思う。でも自分の正義よりもあなた方の感情の方が大切なんだ。」
と言った弁護士(渡)と、自分の正義を優先する代わりに痛みを負う覚悟のある杉下右京と。

『逃げ水』とは暑い日に遠くのアスファルトが水たまりのように見える現象のこと。
加害者とその姉の子ども時代の思い出に絡めて。

後味の悪い感じがまさに櫻井脚本といったところ。いろんな意味で隙がなく、救いもなければ逃げ場もない。
問題を投げかけられたまま視聴者は置き去りにされるような後味の悪さ。でも『相棒』らしい、と思う。