RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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いま、台湾 -台湾美術院の作家たち-

2014-09-03 21:30:00 | 美術
見てきました

渋谷区立松濤美術館

会期は2014年8月9日から2014年9月21日。

台湾の美術というと現在、東京国立博物館で開催中の「台北 國立故宮博物院 - 神品至宝」へ話題は集中してしまいますが。
松濤美術館で開催中の本展は今、繰り広げられている台湾の美術が観れる展示です。

台湾の美術は、中国美術の伝統を継承していましたが、日本統治時代に日本式美術教育が導入西洋・日本の近代美術がもたらされたことにより大きく変貌しました。
戦後は日本・欧米への留学生が多数輩出。
抽象表現主義などの欧米の現代絵画の潮流をもたらし、台湾固有の民族芸術・中国美術などを融合し、多元的な展開をしていきます。
さらに、1970年代からは国際的・政治的に困難な状況下で台湾のアイデンティティを求め、新たな進展を示しています。
台湾美術の振興と発展、国際交流を図ることを目的に2010年元旦に設立されたのは台湾美術院。
メンバーたちはそれぞれが独自の作風を確立し、美術理論・国画・油彩画・版画・賿彩画・版画・書法・デザインなどの各分野で今日の台湾美術の先頭にたっています。
そして、台湾を代表する芸術家として国際的にも高い評価を受けています。
今回は台湾美術院院士20人の作品47点と特別出展としてジュディ・オングさんの版画3点が展示されています。

人名や作品名でお使いの環境によっては、一部、文字化けしてしまうかもしれません。
その場合、、ごめんなさい。。。

何懐碩「月の河」
墨で描かれた作品。
画面上には川が流れ、左下には灯りの灯る家。
川は光があたり輝いています。
静けさが漂い、一番最初から素敵な作品です。

林章湖「躍魚図」
細い筆致で水しぶきが描かれています。
飛び魚が水を楽しむかのように跳ねていて、涼しさを感じる作品。

曽長生「霊光06」
カラフルな室内。
人の気配はありませんが壁には大きなトカゲのような爬虫類が。
無機質な空間でその色だけが目立ちます。

黄光男「一縷相思南山行」
抽象画です。
白に赤と緑、その上から黒い線。
すごく不思議で、でも温かみのある作品。

呉三「東アフリカの女」
こちらも抽象画。
黄色と茶色がベースとなっています。
いやはや、抽象画って表現するのが難しい。。。
今回の展示、作家の経歴を顔写真とともに紹介するパネルが作品の横にあります。
この作家さん、、、誰かに似ているとずっとひっかかっていたのですが。。。
モト冬樹さんに似ています。

陳銀輝「門神」
力強い筆跡で描かれた作品。
寺の門をえがいたもの。
左右には像があり、門の向こうに人々の姿が見えます。

江明賢「カレル橋」
渓谷の谷間の川を描いた東洋の山水図もありましたが、これはその技法を活かしつつ西洋を描いています。
空には鳥が、ピンク色に染まった川には船、橋にはたくさんの人。
街並みが続き、賑わう様子が伺えます。
なんとも不思議で温かい作品。

郭博州「心を太玄に遊ばす」
灰色の地に黒い線と丸。
抽象画です。。
いやはや、抽象画って表現するのが(以下略)

鐘有輝「気韻動能」
赤から緑へとグラデーションする背景に白い風が吹いています。
つたの植物が画面を覆い、不思議で優しい作品。

游明龍「漢字系列:春雨」
タイポグラフィの作品。
黒に白字、青にオレンジの字ととても目立つ組み合わせ。
時代もかわいらしくっておしゃれです。

廖修平「無語(一)」
暗い背景にしたから黄色く細い手が6本生えてきています。
その作品の下には木の台からブロンズの手が伸びてきています。
そのひょろりとした様子はちょっと不気味。

林磐聳「漂泊する台湾」
こちらはデザインの作品。
世界地図の上に白と黒の台湾のシルエットが漂っています。
これは台湾の状況を示しているのかな。
色彩はさわやかで、分かりやすい作品。

林俊良「地球温暖化」
あ、知ってる、と思わず。
以前にアド・ミュージアムで見た作品。
(記事はこちら→「第89回ニューヨークADC賞入賞作品展」)
そのときは作家などの詳細をメモしていなかったのですが、間違いないです。
海面が上昇し、一部しか海上に出ていない島。
その島は人間が上を向いている横顔。
分かりやすくておしゃれで。
こういったアイディアを出せる人を尊敬します。

顧重光「赤い柳の籠の中のザクロ」
カゴに入ったザクロが描かれていますが、カゴは画面下部に少し見えるのみ。
ザクロがとっても大きく取り上げられています。
なんだか違うものに見えてくる。。

薛保瑕「時延の域」
青に黒、厚いマチエール。
いやはや、抽象画って表現するのが(以下略)
ポロック的、かな。

謝里法「進化論四篇」
牛が描かれた4枚の作品。
左から穏やか、血?、暗い、派手、という印象。
なんというか、、私のメモがこれしか書いてありませんでした。。。
これじゃあ、後で分からないよー。
(自分が悪いのですが。)

蘇憲法「蓮」
混沌とした緑の中に、ピンク色の蓮の花。
これは素敵です。
幻想の中みたい。

Chang Chien-yu「玉山の柏-豊盛」
根元から分かれている松の大木。
上の方がぐにゃりとしていて不思議な木となっています。
黄色い背景に松の緑が鮮やか。

Chang Chien-yu「玉山の柏-枯寂」
こちらは枯れ行く木。
夜の森の中。
ぐにゃりとした木はうなだれているかのよう。

王秀雄「書籍いろいろ」
王秀雄氏は評論家。
これまでに出版された本が展示されていました。
台湾のみならず、西洋や日本の作品についてまで。
日本統治時代の美術についても。
日本美術史の本は北斎や岸田劉生の麗子が表紙となっています。
日本に留学の経験もあるのだそう。

ジュディ・オング「紅棲依緑」
この展示室に入った時に、真っ先に目に入った作品でした。
なんて鮮やかなんだろう、と。
そしてジュディ・オングさんの作品と知ってさらにびっくり。
1950年に生まれ53年に来日。
1975年から棟方志功門下の版画家・井上勝江に師事。
1983年には日展に入選し、数々の賞を受賞。
1995年には白日会正会員となっています。
パリやハンブルグなどでも個展を開催。
2003年には宇治の平等院鳳凰堂を100号の作品に仕上げた「鳳凰迎祥」が8回目の日展に入選。
2005年3月には同作品が平等院に奉納されているのです。
すごいな……。
描かれているのは建物の玄関。
建物の壁は赤で、庭の木々の緑がとても映えます。
日本的にも台湾的にも見える作品。

ジュディ・オング「銀閣瑞雪」
こちらは雪降る銀閣寺。
すごくすごく沁みます。
なんて静かで厳格で美しい景色。
この作品の前からしばらく離れられませんでした。

ジュディ・オング「萬壽亭」
こちらは台湾の景色。
門の手前には風になびく柳の枝。
門の向こうには湖か池か、、水が見え陽光浴びて眩しいくらい。
この場所に行ってみたい。

傅申「核電爆」
書です。
象形文字のようですが動きがあります。
書は難しいね。。。
日本の作家さんの作品も難しいのにましてや言語が違うと……。

台湾美術についてほぼ知らない状態でしたが、とても楽しめる展示でした。
私は個人的に台湾にはとてもいい印象を抱いているので。。
今後もこういった作品を紹介される機会が増え、交流が深まったらいいな、と思います。



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