RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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水の音 -広重から千住博まで-

2014-09-02 21:30:00 | 美術
見てきました

山種美術館

会期は2014年7月19日から2014年9月15日。

今回は水の音。
川、海、滝、雨、雪、霧……
明確なかたちを持たない水ですが、古くから様々な姿で表現されてきました。
この展示は画面から感じられる"水の音"に焦点をあて、近世から現代までの画家たちの作品約60点で構成されています。

《第1章 波のイメージ》
【川-流れゆく波】

山元春挙「清流」
崖の下を流れる渓流。
水底の砂が見えるほどの透明度。
筆でさっと描かれたような水の流れが勢いを感じさせます。
崖の上には赤い小さな花。
流れの上には小さな鳥が1羽飛んでいて、爽やかさを増しています。

山本岡人「流転之詩」
暗い暗い背景にまばらに生える竹。
その向こうに白く泡を立てて流れる渓流。
軽井沢の谷間の渓流だそうで、構図は能の背景からイメージしているのだそう。
竹の縦への線と流れの横への線とがはっきりしていてリズムのある構図。
不思議な静けさがあり、とても好き。

宮廻正明「水花火(漯)」
網を投げようとし、広がった瞬間を上からの視点でとらえた作品。
白群青と藍の点で表した海の水に白い網が花火のように広がりとても美しい。
その構図も、これを題材とした視点もとても素敵。

千住博「水 渓谷」
板に彩色したもの。
樹木の断面で、木目を利用し、明るい部分を水などの流れに見立て、暗いところは陸地として草が描かれています。
木目の節は中洲かな、こちらも草が描かれてます。
白い鳥が1羽、流れの中からこちらを見ています。
斬新でセンスを感じる作品。

【海-躍動する波】

奥村土牛「鳴門」
今回の展示で一番最初に展示されている作品。
土牛が鳴門の渦潮を描いたもの。
昭和34年、この渦潮を船の上からスケッチした土牛。
そのスケッチをもとに下絵をつくらず制作しました。
群青、白緑、胡粉を塗り重ねて渦の深さが表現されています。
色はさわやかですがとても迫力あります。
その音が聞こえてきそう。
壮大です。

横山大観「龍」
画面左から顔覗かせる龍。
金泥を使い、神々しい雰囲気を出しています、、と思いきや顔はユーモラス。
下には水しぶきをあげる波。
ザッパーン、と音が聞こえてきそうです。

小堀鞆音「那須宗隆射扇図」
那須与一の有名なシーン。
海上の扇の的を射るところです。
波は日本画的な様式で描かれています。
与一がのっている馬も水につかっているので、的だけではなく自分自身も不安定だったはず。
そこを射るとはさすが名手です。

川鈴彦「潮騒」
岩にあたり砕け散る波。
画面左下には魚。
これは平家納経の見返しにいる魚だそう。
平家納経の"提婆品(だいばぼん)"にある"荒海の怒れる魚(いほ)"のことかと。
なお、"荒海の怒れる魚"は源氏物語の第2帖、帚木に出てきます。
雨夜の品定め、の場面。
で、作品ですが、波はぐねぐねと、岩に打ち付けられています。
この作品、311がきっかけなんだそう。
昔は岩に打ち付ける波を見て"私の袖は涙であの岩のように乾く暇もありません"などと言ったものですが、今は波を見ると大津波を連想させます。
3月11日を忘れぬように、とのことです。
そうやって見ると、画面上部に描かれた松などは北陸の海岸を思わせます。

橋本関雪「生々流転」
6曲2双という大きなもの。
22年ぶりに全てを公開するという意味でも今回の目玉でしょう。
昭和15年に完成した建仁寺方丈の襖絵と同一主題です。
荒れ狂う海原を一羽の鳥が飛んでいきます。
壮大です。

加山又造「波濤」
波が岩に当たり砕ける瞬間を描いたもの。
少ない色彩で迫力あるものとなっています。
その音だけが聞こえてきそう。
かっこいいのです。

奥田元宋「奥入瀬(秋)」
いつ見ても壮大で美しい。
真っ赤な紅葉の中を縫うように流れる水。
その色彩は鮮やか。
こんな景色を実際に目の前で見てみたい。

川端龍子「鳴門」
6曲1双の屏風。
目の覚めるような青に白い波が出ています。
水の動きが感じられる作品。

《第2章 滝のダイナミズム》
岩橋英遠「懸泉」
描かれているのは天然記念物で静岡の名勝、白糸の滝。
実物より大きく描き、その壮大さを伝えています。
虹もかかり、美しい世界です。

奥村土牛「那智」
セザンヌ的岩肌に白い筋で描かれた滝。
真っ白で、その勢いや力強さを感じます。

横山操「滝」
滝壷へ勢いよく落ちる水。
岩肌には金箔が貼られ、陽光があたっている様子をあらわしています。
上部には少しだけ青空がのぞいています。
水の落ちる音が聞こえてきそう。

牛尾武「晨響(銀河と流星の滝)」
岩肌の合間を流れる滝。
自然の中でといったかんじですが、その色とかがとても不思議な感じ。

杉山寧「潤」
何層もの岸壁に分岐しては合わさり合う滝。
神秘的です。

千住博「フォーリングカラーズ」
黒い背景に赤、緑、オレンジ、黄色、紫の滝がそれぞれ描かれています。
光っているかのよう。
滝に赤を使ったのは親友のオランダ人画家のアドバイスとのこと。
滝とは思えない色彩とその不思議な輝きに、一瞬、ここが山種美術館ということを忘れかけました。

千住博「ウォーターフォール」
黒い背景に白い滝。
滝のようで滝じゃないようにも見えてきます。
上から降り注ぐ星、とか。
宇宙を連想しました。
すごく素敵な作品です。

千住博「松風荘襖絵習作」
こちらも黒い背景に白い滝。
下から上へ湧き上がっているようにも見えます。
松風荘は戦後、日米関係の再構築を願い日本から寄贈された日本建築。
ニューヨーク近代美術館敷地内に建設ののち、フィラデルフィアへ。
当初は東山魁夷の障壁画が内部を飾っていたそうですが、全て損傷。
平成19年に新たに襖絵20面を制作となりました。
その習作です。

《第3章 きらめく水面》
川鈴彦「蓮池波紋」
唐招提寺金堂裏手の蓮池を描いたもの。
広がる波紋に揺らぐ蓮の葉の影。
金箔が使われ陽光を感じさせます。

千住博「光」
4曲1隻の屏風。
金地に青で描かれた木々と蓮の池。
この色彩の強さが明るく強い光を感じさせます。

《第4章 雨の情景》
歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
この作品について何度も書いている記憶があるけれど……
やっぱり雨を扱った浮世絵、といったらこれになるのかな。
斜めの線で表現した雨。
橋の上には身をかがめ、急ぐ人々。
ゴッホが模写したことでも有名です。

川合玉堂「水声雨声」
縦長の画面に水車小屋と2人の農婦が描かれています。
雨に濡れる木々がとても雰囲気あります。
風情のある雨の降り方。

夏らしく爽やかな展示です。
まだまだ暑い日が続くようなので涼みに行ってはいかがでしょう。



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