RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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-少女たちの憧れ- 蕗谷虹児展

2014-03-07 21:30:00 | 美術
見てきました

郵政博物館

会期は2014年3月1日から2014年5月25日。

郵政博物館の常設の奥に企画展示室があります。
そこで開催されていたもの。
郵政博物館開館記念特別展となります。

蕗谷虹児(1898-1979)
大正から昭和にかけて少女雑誌の表紙や挿絵で活躍。
その詩的かつモダンな美女たちはたちまち虹児を人気画家に押し上げました。
また詩人としても活躍し、9冊の詩画集を出版しています。
15歳で日本画家、尾竹竹坡の内弟子に。
1920年、21歳の時に竹下夢二の紹介で『少女画報』にデビュー。
人気挿絵家となります。
1925年には本格的な画家を目指して渡仏。
サロンに連続9点入選したほか個展も開催。
帰国後は再び雑誌で活躍。
その人気は絶頂期を迎えます。
戦後は絵本の仕事を手掛けたほか、晩年は画集の出版や個展開催などで活動。
長年にわたって多くのファンを惹きつけました。

《1.少女雑誌の人気抒情画家》
ここではデビュー作など初期の作品が展示されています。
「帰途を降る雪」
吹き付ける雪の中、女性が1人立っています。
服もモダンでかわいらしい。
足元もタイルに黒のヒールと今と変わらないんだなー、と。

「江戸情調・月三題」
大きな月を背景に波模様の着物の女性。
夏の夜の景色ですが、さわやか。
目が大きくキラキラした女性はこれまたかわいらしい。

「震災画報第1集」
関東大震災を描いたもの。
このあたりに何点かありました。
十字架を立て泣く女性。
混乱の最中なのに愛らしく見えます。

《2.芸術の都・巴里へ》
パリへ留学した虹児は現地で東郷青児や藤田嗣治と交流します。
ここではパリで描かれた作品、また藤田との交流が見える作品が展示されていました。

「自画像」
眉間にしわを寄せた自画像です。
背景には家々の屋根が見えます。

「混血児とその父母」
父、母、子の3人が描かれている作品。
サロン・ドートンヌに出展していて、代表作でもあります。
穏やかな色彩。
子どもは日本に残してきた長男の面影を残しているそうです。
その長男はこの作品の制作寸前に亡くなります。
虹児はこの作品を手元に置き手放しませんでした。

「柘榴を持つ女(原題:女)」
女性が描かれているのですが、背景が点描で描かれていることに目を惹かれました。
明るい色彩でまとめられています。

「巴里のカーニバル グラン・ブルバールの印象」
エッフェル塔などパリを象徴する建物が組み合わされて描かれています。
おしゃれです。
ポストカードなどにできそう。

藤田嗣治「祝セイヌ誕生」
虹児の第二子誕生を祝い、藤田が描いたもの。
名は「青瓊」
"せーぬ"と読みます。
今でいうDQNネームです!!!!
このころって子供の名前、変わったのつける人著名人に多かった印象。
そうゆう人はそれなりの知識があってその知識に基づいてつけられたもの。
森鴎外の息子は「於菟(おと)」
解剖学が専門の医学者で東京帝国大学医学部助教授を務めます。
戦後は台湾大学医学院教授を務め、医学部長となり、帝国女子医学専門学校長、東邦大学医学部教授・医学部長を歴任。
専門書を書いたほか父の回想記を記しました。
さらに於菟の子供も鴎外が命名。
医学博士の真章(まくす)、東北大学教授の富(とむ)、光学の第一人者の礼於(れお)、動物学者で北海道大名誉教授の樊須(はんす)、
英文学者で翻訳家、早稲田大理工学部名誉教授の常治(じょうじ)などなどなど。。
梅原龍三郎の息子は「成四(なるし)」
ギリシャ神話の「ナルシス」から。
梅原はこの題材でよく描いていたしね。
なお梅原成四氏は東京大学教養学部助教授となりフランス語の翻訳者として活躍。
うん。みんな立派すぎるよ。。。
最近の「響きがかわいいから」とかいうものとは違うんだよね。
それを元祖DQNネームとか言われるのは親も本人も心外でしょう。。
さて、話はそれましたが。
名前とともに赤ちゃんの絵も描かれています。
両手両足を広げて元気な印象です。
このようなものにも嗣治らしさが出ています。

《3.花形作家の展開》
実家の家計切迫の報を受け単身帰国。
再び挿絵の仕事をし人気は絶頂に。
詩人として詩画集も出版します。
しかし時代は戦争へと突入してきます。

「睡蓮の夢」
詩と絵になります。
草間的な全身タイツに羽根が生えているのが蝶かな。
派手な模様を使っているのにおしゃれに見えます。

「天兵神助」
倒れる兵士を支えるのは大和朝時代のような服装、髪型の人物。
1人で戦っているのではない、支える人が、魂があるんだ的なものでしょうか。
このあたりから戦時色が強くなっていきます。

「慰問品売場にて」
雑誌の一ページ。
可愛らしい女の子が買い物をしている場面。
"お国のために頑張っている兵士さんのために、慰問品を買いに行きます。"
"少しでも心が安らぐように人形や手紙を買う"
といった内容の文章。
"最近では慰問品を買いにしかデパートには行きません"
時代とはいえ悲しいことですね。
こういった文章が少女向けに載るってことも。

《4.子どもたちのために》
戦後、少女雑誌から童話や絵本の挿絵を手がけるようになります。

「人魚姫」
海藻模様のローブが印象的。
かわいらしく色彩も美しい。

「安寿と厨子王」
明るい表情の幼い姉弟が浜辺にいます。
着物の模様も色の組み合わせもおしゃれ。
波の模様も美しい。
森鴎外の「山椒太夫」に出てくる姉弟。
私は高校生のときに読んで号泣したという思い出があります。笑
この作品を見ても「あぁ、この後。。」と考えると暗くいたたまれない気持ちになります。

「花嫁」
今回のチラシにも使われ、切手にも使われた作品。
代表作です。
花嫁の表情と細かいところまで描き込まれた着物がとにかく美しい。

「蕗谷虹児抒情画集」
金髪の裸婦が横になり青い蝶がその口元に、という美しい光景。
こんな表紙の本だったら買ってみたい。

「母子観音」
神々しい母子像。
日本画的と思いきや、顔は異国風。
母と子の頭の後ろには聖母子像でよく見る輪っか。
聖母子像と日本の母子像が合わさったかのような印象。
明るい色彩ですが、同系色でまとめられ、美しい。

以上になります。
小規模ながらとても美しい作品だらけで癒される空間でした。



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