RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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休日に全力で生きるOLの日記(笑)

アメリカン・ポップ・アート展

2013-08-26 21:30:00 | 美術
見てきました

国立新美術館

会期は2013年8月7日から2013年10月21日。

今年、注目の展示、、、
ってお前毎回注目の展示って書いてるやろー!!と言われそうです
そうだよ、注目しすぎで忙しいんだよ!!!!!

ポップ・アートとは、1960年代に盛んになった大量生産・大量消費の大衆文化を主題とする一連の芸術動向のこと。
この言葉が最初に登場したのは、1950年半ばのイギリスですふぁ、アメリカにおいて花開くこととなります。
第二次世界大戦後のアメリカは、まさに大量消費社会。
テレビやラジオの普及により商品や広告のイメージが世に溢れ、ハンバーガーやコカ・コーラといった商品はアメリカの代名詞ともなり世界中に広まっていきました。
ポップ・アーティストたちは、商品のイメージやオブジェ、メディアの手法を取り入れることで、自らを取り巻く社会を作品に表そうとしていきます。
それは、前世代の抽象表現主義が作品を崇高で難解なものとし、作家を英雄視したのに対しての行動でもありました。
複製物や日用品を用いることで、作家性を匿名化し、芸術を卑俗な生活と結びつけるものでした。

今回の展示作品は絵画、彫刻、素描、版画等、約200点
アンディ・ウォーホルの最高傑作「200個のキャンベル・スープ缶」が日本初公開
ウォーホル以外には
ロイ・リキテンスタイン
クレス・オルデンバーグ
ジェイムズ・ローゼンクイスト
トム・ウェッセルマン
これらのポップ・アートの巨匠たちに加え、
ロバート・ラウシェンバーグ
ジャスパー・ジョーンズ
先駆者達の代表作まで。
そうそうたるメンバーです。
これらは全て個人コレクション。
ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻のコレクションです。
アメリカン・ポップ・アートの個人コレクションとしては世界最大級。
パワーズ・コレクションを世界で初めてまとまった形で紹介する展示です。

アメリカ合衆国コロラド州を本拠地とするジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻。
ポップ・アートを黎明期である1960年代から、パトロンおよびコレクターとして積極的に支援していきます。
作家を直接支援することによって、現在見るような個人コレクションとしては世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げました。
1960年代におけるその最盛期の名作をまとまった形で紹介する展覧会は、日本でほとんど開催されたことがありませんでした。
今回の展示は、ポップ・アートの魅力と真価を紹介したいと願う、主催者の熱意と、日本出身であるキミコ夫人の母国に対する思いによって開催されたもの。
今見ないでいつ見るの!?なぐらい盛りだくさんな内容となっていました。

まず出迎えてくれたのはウォーホルによるジョン&キミコ・パワーズ夫妻のシルクスクリーンの作品。
あのよく見る手法のやつです。
色使いでウォーホルってわかるってすごいよな~。
そしてこの展示への期待が高まります。

まずはロバート・ラウシェンバーグ。
テキサス州生まれのラウシェンバーグはジャスパー・ジョーンズとともにポップ・アートの隆盛にも大きな役割を果たします。
「ブロードキャスト」
代表作のひとつ。
抽象絵画的で荒々しい筆遣い。
ラウシェンバーグは1954年から10年ほどの間に、コンバイン・ペインティング、およびコンバインと呼ばれる一連の作品を制作しました。
これもそのコンバインと呼ばれる作品。
写真などで見るとただの抽象絵画ですが、なにやら突起物が出ている、、
この作品、ラジオが内臓されているそうで、当時は実際に放送を聞けたそう。
「カードバード」「カードバードⅡ」
こちら色違いのダンボールが並んで展示されている、と思ったら、ダンボールの断片を組み合わせたコラージュを再現したもの。
ラベルやテープ、汚れまでもを再現して制作されています。
「リボルバー」
こちらも有名。
絵が描かれた大きな円形のアクリル板を5枚、並べてあるもの。
回転する、らしいんだけど。。
動くところが見たいな~。
今でも動くのかな。。

そしてジャスパー・ジョーンズ。
ジョージア州生まれ。
先ほどのラウシェンバーグとともにアメリカのポップ・アートの先駆者とされています。
ラウシェンバーグとは友人同士でもあったそう。
星条旗、標的、数字といった記号や大衆文化のイメージを用いた作品が特徴的。
展示品は「標的」や代表作「旗」のシリーズなどこれまた有名どころがずらり。
「地図」
キャンバスに木炭と油彩でアメリカが描かれたもの。
右下4分の1だけは油彩で描かれ他の地域は木炭で描かれています。
このような作品は他にもあるそうですが、その真意をジョーンズは話したことがなかったそう。
ジョーンズの生まれたジョージア州はこのあたり。
この南部の地域では黒人差別がひどく、それに対するなんらかのメッセージではないか、とも言われたそう。
ポップアートというカラフルで楽しいといったイメージを覆す作品でこれは好き。

その後はラリー・リヴァースとジム・ダインがあり、グレス・オルデンバーグ。
作家ごとに展示はまとめられていたので見やすいし理解しやすい。

グレス・オルデンバーグ「ジャイアント・ソフト・ドラム・セット」
ソフト・スカルプチャーです。
ぐにゃぐにゃのドラムセットは目を惹きます。
この人の作品はやわらかそうで可愛らしい印象のものが多かった。
消火栓とか擬人化できそうです。

次は「友人としてのアーティストたち」というコーナーでした。
ここには友人として彼らと付き合って集まったものたちが。
パワーズ夫妻はこういったものを実際に家の壁にかけ楽しんでいたようで小さめなサイズのものが多く感じました。
クレス・オルデンバーグ「洗濯バサミ」
約20cm×約15cm程度の小さな作品。
描かれているのはタイトルのまま洗濯バサミが1つ。
紙にさらっと描いたような印象で、普段の交流の深さを感じ取れます。

そしていよいよアンディ・ウォーホル。
アメリカのポップ・アートの旗手。
アメリカのポップアーティストとして彼の名前を聞いたことがない人って少ないはず。
「200個のキャンベル・スープ缶」
今回のチラシにも使われ、ウォーホルの最高傑作ともされる作品。
とても大きい。
圧倒されます。
よく見たらひとつひとつ味が違うんですね。
トマト、オニオン、コンソメ、ベジタブル……
ずーと見ていたら自分のほうに缶が倒れてくるんじゃないかという錯覚を起こしました。
それほどの存在感。
テーマとしては現在同じ国立新美術館で開催中の「アンドレアス・グルスキー展」で展示されている「99セント」に通じるものがあるかと。
もちろんあの有名な「マリリン・モンロー」や「毛沢東」も。
NYの処刑場に取材した「電気椅子」もあります。
1つ1つが大きいので並べられたときの存在感がハンパじゃない。
国立新美術館の展示室の天井が高くてよかったな~と感心(笑)
そして今、展示の看板娘「キミコ・パワーズ」
このコレクションを作り上げた主人公。
ウォーホルは有名人の作品が多いのですが、この作品は比較的早い段階で、一般の人物をモデルとしたシリーズとのこと。
なんだか羨ましい。。
このあたりはキミコ夫人のポートレートだらけでした。
「金色の卵」「白い卵」
こちらは小さめの作品。
このあたりには小さめの作品が多数。
ウォーホルは誕生日やクリスマスには自身の作品を多数見せて、「どれが欲しい?」と。
それをプレゼントしていたそう。
うぉぉぉぉ~、羨ましす!!!!!
この「金色の卵」と「白い卵」はそれぞれ黒い背景に卵が描かれたもの。
シンプルながらに色も美しく、私も自宅に飾るなら欲しいよ。。

ロイ・リキテンスタイン
ウォーホルと人気を並べるポップ・アートの巨匠。
マンガの一部を使った作品やドット、直線を使ったアートなど。
「鏡の中の少女」
これまた代表作が。
赤い背景に金色の髪の少女が鏡を覗き込んでいるというもの。
ザ・ポップアートといった感じで楽しい作品が並んでいました。
「ムーン・スケープ」
はではでな作品が居並ぶなか、ちょっと変わった感じがして惹かれました。
シルクスクリーンでロウラックス・フィルムというものを使用した作品。
揺らめく世界が幻想的。

その後はメル・ラモス、ジェームズ・ローゼンクイスト、トム・ウェッセルマン。
トム・ウェッセルマン「グレート・アメリカン・ヌード#50」
彼の代表的シリーズ「グレート・アメリカン・ヌード」のひとつ。
ウェッセルマンは、ヨーロッパの伝統的な絵画の主題であるヌードを題材としつつ、それを広告印刷物などのコラージュによって、大量生産商品に囲まれた同時代のアメリカ的生活の中に表現しました。
この作品でもセザンヌのリンゴやルドンの花、三菱一号館美術館で見たルノワールの「劇場の桟敷席(音楽会にて)」が描かれています。
そんな部屋の中で金髪の女性が赤いガウンを着て煙草をくゆらし、くつろいでいます。
後ろにはピンクのラジオも。
煙草のような大量生産品、ラジオからは宣伝、ほほえんでいる女性も「アメリカの広告」によく出てくるようなイメージで描かれていました。
アメリカン・ヌードとタイトルにありますが、ヌード作品ではありません。笑
その他の作品はヌード多数です。
トム・ウェッセルマン「ヌードと鏡」
ヌード作品ならこれが好き。
シンプルに黒い線で描かれた顔のない女性。
そして鏡。
最後のほうに展示されているウェッセルマンの作品は私にストライク過ぎて。
ずーっと眺めていたい!!!!!
スチールをレーザーカットしてエナメル加工した「横たわるエイミー」もいい。
習作「揺れる黄色いカーテンのある静物」もすごくいい。
西洋画をイメージしたようで、でも色使いは明るくて。
この辺りは複製でいいので欲しかった。

とにかく盛りだくさんでした。
おなかいっぱい。
ミュージアムショップには、やっぱり、というべきか。
キャンベル・スープが売られていました。


これだけ撮影可能。

面白い。

ポップ・アートを年代ごと、作家ごとに展示されていてとても分かりやすかったし、代表作・有名作だらけでまるで教科書のようでした。
2014年には森アーツセンターミュージアムで「アンディ・ウォーホル展」もありますし。
見ておいて損はない、というか見ないと損した気分になること間違いなしな展示です。



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