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RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

モード オブ バービー展

2014-08-16 21:30:00 | 美術
見てきました

西武渋谷

会期は2014年月日から2014年月日。

1959年、ニューヨークのトイ・フェアでデビューしたアメリカ生まれのファッションドール、バービー。
理想的なプロポーションと精巧に作られたドレスや靴をまとったスタイルで、当時の女の子の心を魅了しました。
以来、バービーはいつの時代も女性たちの"憧れ"となり、そのファッションは時代を反映しました。
この展示はバービーデビュー55周年の記念です。
バービーのコレクターとして世界的に有名な関口泰宏氏のコレクションより、バービー誕生初期から現代までのファッションヒストリーのほか、貴重な未公開コレクションなど約250点の展示です。

撮影可能でした。
年代順に並んでいましたので気になったものを。


一番最初。
1959年から1966年に発売されたものは「ヴィンテージ」と呼ばれていますが、それらはコストが低く、潜在的能力の高かった当時の日本で作られていました。
バービーは日本製!!
驚きです。


今だったらこんな格好のものは売れないのでしょう。


見にくいけれど……
帽子のところに蛙もいます。笑


ひどい、としかいえない着物Ver.バービー。
着物が安っぽくなんか違うものに見えるよ。。。

バービーが日本で正式に発表されたのは1962年。
当時アメリカでは水着で販売するのが主流でしたが、日本では洋服を着させて販売。
別売の着せ替え服を購入しなくても楽しめるよう工夫されました。


左が日本Ver.で右がアメリカVer.
服の模様が微妙に違います。


こちらも左が日本Ver.で右がアメリカVer.
スカートの丈がアメリカVer.のほうが短いのです。
当時の世相を反映し、日本では長いVer.となったのだそう。


こちらの着物Ver.はかわいい。


これはドイツ限定なんだとか。
衣装も顔もかわいい。


ミニスカートといえばこの人、ツイッギー。


2014年ナショナルバービーコレクターズコンベンション限定ドール


人魚Ver.まで。

バービーさん、チャリティにも協力しているのです。
"ライフボール"とは、毎年開催されているエイズ撲滅運動のこと。
活動に共感したデザイナーが製作したチャリティ用の限定ドールもずらり。

ヴィヴィアン・ウエストウッド

ヴァレンチノ

クリスチャン・ラクロワ
すごいな……

さまざまなところとコラボレーションしていますが、下のは日本。

左からマイメロディ、キティちゃん、キティちゃん。
なんかいろいろな意味ですごい。


化粧品のMAC
こちらは化粧品購入者が限定で購入できたのだそう。
イメージぴったりな衣装です。


もこもこ。


ちゃんとしたドレス。。
ここまで結構変わったの見ていたから…笑


フェラーリコラボ。


バービーのデザイナーであるロバート・べストの直筆原画と人形。


宇宙飛行士。
アメリカらしい。

以上、小さい会場ですがぎっしりと並べられ見ごたえある展示でした。
小さいころに遊んだことがある人はとっても楽しいかもしれない。
なお、私はバービーでもりかちゃんでもなく、シルバニアファミリーです。笑
うさぎとかしまりすとかかわいかったなぁ。。。



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金沢21世紀美術館

2014-08-13 21:30:00 | 美術
金沢21世紀美術館の他の作品についても少し触れたいと思います。

まずは美術館自体。
設計は妹島和世+西沢立衛/SANAA.
円形(直径112.5m)総ガラス張りで正面といえる面がなく、逆に言えばすべてが正面といえる。
兼六園方面、香林坊方面、柿木畠方面など、どの方向からも入場できる上に、無料入場できる範囲を広く取っているため、多数の作品を無料で鑑賞することがでます。
有料の展示エリアは中央の正方形状の部分。
設計者のSANAAは、この建物等によりヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展の最高賞である金獅子賞を受賞。
最近ではランスのルーブル美術館分館の設計も担当し話題となりました。
都内ではディオール表参道なんかがSANAAの作品。

トップの写真は建築俯瞰図をそのままマークにしたシンボルマーク。
デザインは佐藤卓です……
すごいな。。。
設計SANAAでシンボルは佐藤卓……これだけでも一度は行きたい美術館になる。



オラファー・エリアソン「カラー・アクティヴィティ・ハウス」
色の三原色「シアン、マゼンタ、イエロー」の色ガラスの壁が渦巻き状になっています。
見る場所やその人の動きによって光の領域が混じり合うのです。


中央には光源。
日没から夜明けまでは色のついた灯台のように光るのだそう。
うーん、次は夜に来たい!!



フローリアン・クラール「アリーナのための クランクフェルト・ナンバー3」
美術館の建物を囲む芝生に設置された12個のチューバのような形の筒。
地中を通る管が2個ずつペアでつながっていて、伝声管の役割を果たしています。
このペアは必ずしも隣同士とはなっておらず、思わぬところに伝わり、思わぬところから声が聞こえてきます。
雨じゃなかったら声かけてきたのに~。



LAR/フェルナンド・ロメロ「ラッピング」
複雑なかたちをしたパビリオン。
中に入ることもできるのだそう。
雨じゃなかったら……以下略



マイケル・リン「市民ギャラリー 2004.10.09 - 2005.03.21」
わーお、かわいらしい!!
アーティストのマイケル・リンは、この作品の制作に際し、金沢に滞在して工房を訪ねるなど、加賀友禅の歴史や手法を調査したのだそう。
そうして構想された作品。

光の差し込む広々とした空間で、SANAAのデザインしたロッキングチェアに座ったらのんびりしすぎてしまいそう。



ヤン・ファーブル「雲を測る男」
ロッキングチェアに座ったら見えました。
座らなかったら気づかなかったかもしれない。
この作品は、『終身犯』(1961年 米国)という映画から着想を得て制作されたそう。
映画は監獄に入れられた主人公が独房で小鳥を飼い、鳥類学者となった実話に基づいた作品。
映画の終わりで研究の自由を剥奪された主人公が、「今後は何をして過ごすのか」と問われ、「雲でも測って過ごすさ」と答え、作品のタイトルはその台詞に由来しています。
また、この作品は作家の身体を型どりしたそうで、そこには、彼の兄の死を思い、制作されたという背景も。
詩的で、そして生と死を扱って。
調べたらとても様々な要素を持った不思議な作品でした。



ジェームズ・タレル「ブルー・プラネット・スカイ」
「タレルの部屋」として公開されています。
正方形の部屋で天井の中央部は正方形に切り取られています。
壁沿いはベンチになっていて、そこに座って空を眺めるのです。
そう、眺めるだけの作品。
絶え間なく変化する光を体感するのです。

でも、この日は雨がひどくてねぇ。。。
空を見上げた写真はなしです。
なので入口の写真。
ここから入っていって上を見上げたら美しい世界が見えるのです。

直島の地中美術館でもタレルの部屋で空を見上げたな。
すごく素敵だった。
いつも何気なく見ている空があんなにも特別で素晴らしく見えるなんて。
"空の美しさにかなうアートなんてあるのだろうか"
とは、オノ・ヨーコの言葉。
まさに、この作品で体験できるのではないでしょうか。
なお、今年は秋に直島に行く予定です。
またこのブログにアート日記を書くと思います。



妹島和世+西沢立衛/SANAA「無重力性と透明性」
この美術館を設計しているお二人のアクリルの立体作品。


金沢21世紀美術館の収集の方針は、
*1900年以降に制作された、歴史的参照点となるような作品
*1980年代以降に制作された新しい価値観を提案するような作品
*金沢にゆかりのある作家による新たな創造性に富む作品
とのこと。

金沢21世紀美術館は市立美術館。
日本各地で地方公共団体の財政難や公立美術館の赤字が問題となる中で、当初は金沢でも市立の美術館を新しく作ることに厳しい目が注がれていたそう。
いわゆる"ハコモノ"になってしまいますからね。。
特に美術館ともなれば作品を買わなければならない。
高騰する美術市場を見ていたら、市立では難しいと、私みたいな詳しくない人間でも予想できます。
そのため上の3つのような収集方針となったのです。
日本人に大人気の印象派などは100億あってもマスター・ピースは買えない。
じゃあ、ちょっとお安いものを、と2級品、3級品を買っても……
けど、新しい作品なら買える。
知名度の低さなどがネックとなりますが、近年の国際美術展を騒がせた作家なども含め、また恒久展示品もこの美術館のために作家に依頼して制作されたものであるなど、特色を出していきます。
比較的安価な現在進行形の美術に的を絞って今のうちに買い集める収集方針は、限られた予算を有効に活かしていくという意味で素晴らしいと思う。
さて、美術館の企画立案は市民との討論から始まり、徐々に理解を得ていきます。
プレオープン事業から市民には作品を公開、開館後も児童や学生に鑑賞教育活動を行うなど、土壌を育成することに力を注ぎました。
その結果が今に繋がっているのです。
公立美術館冬の時代と言われ、その取り組みが各地の美術館から注目された美術館。
開館から1年間で地方都市の公立美術館としては驚異的な157万人もの入館者が。
平成18年8月には入館者数250万人。
2011年8月には入館者が1000万人を突破。
驚異的な成長です。

まあ、いいことばかりでもないのですが。
2011年8月には入館者1000万人突破のニュースに水を差すような害虫発生のニュースがありました。
そんな状態で国宝展を誘致しようとしていたため、非難がすごかったですね。。。
現在も根絶できていないそう……
あと、館長によるパワハラ問題もありました。
これ、調査中ってずっとなっていたけど、どうなったんでしょうか……
害虫騒ぎのあとにすぐこれかよ!?って思った記憶がある。
館長の裁量で人気美術館になったんじゃないんだよ。
SANAA設計だからってこととか、作品がいいとか学芸員さんの努力なんだよってすごく思ったんだよね。
開館当時の館長さん、なんで辞めちゃったんだろう……
せっかくいい美術館だもの。
このあたりも頑張ってほしいなぁ。。。



カフェも利用しました!!


朝、兼六園見てから美術館行ったのですが、朝ご飯食べていなかったので。



うーん、楽しかったなぁ。
壁に並べられた椅子もかわいい。
うさぎさんみたい。
また行きたいなぁ。。。



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開館10周年記念 レアンドロ・エルリッヒ -ありきたりの?

2014-08-12 21:30:00 | 美術
見てきました

金沢21世紀美術館

会期は2014年5月3日から2014年8月31日。

開館10周年の記念の展示はブエノスアイレス生まれのレアンドロ・エルリッヒ(1973-)の日本初個展となります。
うーん、レアンドロ・エルリッヒ???
この人、金沢21世紀美術館にとって特別なアーティストの一人。
21世紀美術館の所蔵品の中で最も有名なものの一つ。
「スイミング・プール」
これは「レアンドロのプール」として親しまれています。
これの作者がレアンドロ・エルリッヒなのです。
"プール"というよく知っているものを新しい組み合わせで非日常化し、見る側の問題意識を誘発している作品。
私たちが当たり前と思っている日常の中に大胆に介入、常識的な見方でそのものの存在に反応してしまう姿を見事に映し出しているのです。
と同時に親しみやすさや気軽さがあり、人々が作品に向き合ったときに創造力を発揮し、それを受け止められるように促してくれます。
現代アートは難しくてよく分からない。
そんな人が多い中、こういった作品は現代アートに親しむきっかけとなっています。
そして金沢21世紀美術館を成功に導いてもいるのです。
今回の展示は「スイミング・プール」のほかに最新作を含む全17点の展示です。
本展、フラッシュをたかなければ撮影可能です。
写真と一緒にご紹介します。
トリック的なものもあり、その感動を写真と言葉で伝えるのは難しいのですが。
とても楽しい展示でしたのでその一端でも伝われば、と思います。



「見えない庭」
格子に囲まれた庭。
青々とした植物が生い茂ります。
ってあれ!???
なんか庭が次々と現れる!!!
あと、反対側にいる人が見えない!!
自分がいろんなところにいる!!


映っているのは自分のみ。。。
なんどもなんども庭の周りを回ってしまいます。
実像と虚像が混ざり合った不思議な世界。
そして私、過去にもこんな体験しています。
東京都現代美術館で開催された「うさぎスマッシュ展


「ロスト・ガーデン」
ここでもレアンドロの庭を見ていたのです。
あの展示、おもしろかったなぁ。。。



「階段」
螺旋階段が吹き抜けごと横倒し。
正面に立って作品を見ていると真下に向かって吹き抜けを覗き込んでいるかのような感覚に。

そしてこの作品、横に扉があり、階段の中に入っていけます。


構造は分かっているのに、不思議。
手すりの造形もおかしくないはずなのに、違うもののように見えてくる。
じわじわと違和感が襲ってきます。





「エレベーターの迷路」
手前に3つ、奥に3つ、エレベーターが並んでいます。
それぞれ端のエレベータには鏡があり、合わせ鏡の要領でどこまでも続いているかのように見えます。



「雲」
ガラスの層に雲をプリントしたもの。

"蟹"、"水母"、"犬の頭"、"白熊"、"雌鳥"、"ライオン"とタイトルがありますが、どれがそれらに該当するかは書かれていません。
"あ、あの雲、○○みたいだね"
って誰もが小さいころに経験したことのように、どれが"カニ"でどれが"白熊"なのか、鑑賞者の想像に委ねられています。



「サイドウォーク」
舗道には水たまり。
そこにはブエノスアイレスの景色が映り込んでいます。
ブエノスアイレスはレアンドロ・エルリッヒの故郷。
水たまりの中には朝→昼→夜と一日が映り込みます。
日本とブエノスアイレスの時差は12時間。
日本の反対側に住む人の日常が、ときどき水滴の波紋でゆらめきつつも流れていく。
詩的な作品。



「スイミング・プール」
残念ながら雨がひどくて……
カメラのピントがガラスについた水滴に合ってしまうというミスも……

このプール、深さ10cm程のところでガラスがあり、地上と地下を隔てているのだそう。
水流を発生させる装置があり、水面は常に波打った状態になっているのですが、雨で分かりません。。。


地下にきました。
写真でよく見てたやつだー!!!
感激。


上を見上げると水滴。
雨で残念と思いつつも、リアリティを増してくれるかしら、と期待。


とてもとても楽しい展示でした。
この会期中に行けたことがとっても幸せ。
最近はインターネットで有名な作品を見ることができ、気軽にアートに触れる機会が増えました。
でも、これは行ってみなくては、体験しなくてはその様子が分からない。
見慣れた日常を再解釈し、もう一度体験する
素晴らしい体時間でした。
8月31日までですから。
夏休みに行ってみてはいかがでしょうか。



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ダンボーだって暑いんだもん。

2014-08-10 21:30:00 | 美術
毎日暑いですね。
朝は暑くて起きて。
家出るときに外の熱気にびっくりして。
ちょっと歩いたら汗だらだらで。

もう、会社行きたくない!!

帰ったときに部屋が涼しくなるように、タイマーをセットしてから出かけています。
家帰ったときに涼しいととっても幸せ。
ただ、大幅に外れるとショック。笑

残業で帰りが遅くなったときは「無駄になった~」って思うし。
意外と早く帰れて家着いたときにはまだタイマーの時間より前だった、とかね。。。

ダメージ大きいのは「早く帰れて、冷房ついてない」かな。
とにかく電気代より暑さ。笑

みなさんも体調管理にはお気をつけて!!


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くまのプーさん展

2014-08-08 21:30:00 | 美術
見てきました

松屋銀座

会期は2014年8月6日から2014年8月25日。

今回は「くまのプーさん」
世界で一番有名なくまさん、かな。
1926年、イギリスの劇作家アレン・アレクサンダー・ミルンが息子クリストファー・ロビンのために作った物語。
子どもたちに本の読み聞かせをよくしていたウォルト・ディズニーは娘のダイアンが「くまのプーさん」を楽しんでいたことを感じていました。
様々な困難を経て、1961年に映画化権を獲得。
その5年後に中編アニメーション映画「プーさんとはちみつ」となりました。
この展示では、アメリカ、カリフォルニア州のウォルト・ディズニー・スタジオをベースとする「ウォルト・ディズニー・アーカイブス」のコレクションから、セル画、コンセプト・アート、模型(マケット)やフィギュアなど数多くの日本初公開となる貴重な資料。
「くまのプーさん」を愛するクリエーターのオマージュ作品などを含め約400点が展示されています。

あー、混むわ、これは混むわ。
と若干あきらめの気持ちで行ってきました。
意外と混んでいなかったけど。笑

まずはプーさんを生み出したアレン・アレクサンダー・ミルンについての紹介が。
大学在学中から英国の風刺誌『パンチ』に投稿し、後には編集助手となったのだそう。
パンチから子ども向けってすごい転身です。。
その後、作家として独立。
結婚し、子ども、クリストファー・ロビン・ミルンが生まれます。
そしてくまのプーさんを書くのです。
最初は説明多め。
ディズニーが映画化権をとった以降から、セル画などの作品がずらりと並ぶようになります。

おもしろかったのは初期のポスター日本語版。
「色彩漫画映画」とのフレーズが。
なんど考えても意味はわかりません。
なんとなく言いたいことはわかるけどね……
調べたら、「漫画映画」はアニメーションのことを差すのだそう。
カラーアニメーションってことかな。

あとグッズでは1972年と1976年のアメリカ大統領選グッズ。
プーさん、政治の世界にまで……
意外なものが多数あって、またぼろぼろのぬいぐるみなどもあり、その歴史を感じられます。



グッズ売り場が大混雑でした。
こっちがメインじゃないかと思うほどの盛況ぶり。
かわいいからね。
蜂蜜入りマドレーヌに惹かれましたが、今回はやめておきました。笑



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現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより

2014-08-06 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立近代美術館

会期は2014年6月20日から2014年8月24日。

まず。
なんてすごいチラシなんだろう。
近代美術館、思い切ったな、というのが感想。笑
最初にこのチラシを見たときにびっくりしました。
そして展示の名前も。
「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」
え!?どうゆうこと!??
意味がちょっとわからない……
ただ。
とにかくなんかすごい展示っぽい。
そして私好みっぽい。笑
見に行かねば!!
そして行ってきました!!


こんな作品がお出迎え。
マーク・クイン「神話(スフィンクス)」
いや、この展示、最高に楽しいかもしれない。
そんな期待を持たせてくれるフォルムです。

さて、今回の展示は「ヤゲオ財団」のコレクションからとなります。
ヤゲオ財団は台湾資本の電子部品メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのCEOを務めるピエール・チェン氏、その家族、およびヤゲオ・コーポレーションからの寄付金によって創立された非営利の組織。
外国の有名な美術専門誌でここ二年間、世界トップ10にランクインしているほどのコレクションです。
ここの特徴は西洋の近現代美術、そして中国の近現代美術をあわせて持っているということ。
コレクションの選定にかかわっているのはピエール・チェン氏。
学生時代からプログラミングのアルバイトをして貯めたお金でアート作品を買うほどのファンなんだとか。
その情熱の結果がこの壮大なコレクション。
今では「living with art」「art is accessible」というコンセプトの下、自宅やゲストハウスはもとより、オフィスの中にも作品を展示しているのだそう。
また、ヤゲオ財団が所有する作品の一部は、テートなど、世界的な美術館に寄託されてもいるそうです。
いや~、楽しみ!!
さっそく作品について。

《1.ミューズ》
マン・レイ「ジュリエット」
写真家として有名なマン・レイの絵画作品。
黄色い背景に赤と黒のドレス、紫の布を頭に巻いた女性が踊ってます。
不思議な雰囲気の作品。
2007年12月15日のサザビーズで491,250ユーロ(当時の為替で8,086万円)で落札された作品。
この作品はピエール・チェン氏の香港のバスルームに飾られているのだそう。
なお、東京の別邸のバスルームには中国の画家、サンユウの作品。
「アートとともに生きる」が実践されています。
で、バスルームって大丈夫!?って思ったあなた。
(私もだけど。笑)
当たり前ですが、湿気や水滴などちゃんと大丈夫なところに飾ってあるそうです。
絵を眺めながらの入浴って楽しそうだなぁ。。。

《2.ポップアート》
ロイ・リキテンスタイン「頭部 黄色と黒」
ショートヘアーの女性の頭部が黄色と黒で表現された作品。
リキテンスタインらしい明るさがあります。

アンディ・ウォーホル「自画像」
よく見る自画像。
銀色の髪を逆立てている有名なものです。
リキテンスタインやウォーホルなどのポップアートの有名どころも所有しているっていいなぁ。

ジョン・チェンバレン「カ・ドーロ」
青や金色に塗装された鉄の塊です。
「カ・ドーロ」とは"黄金の館"という意味。
ヴェネツィア、カナル・グランデに面して建つパラッツォ・サンタ・ソフィアの別名でもあります。
青は海、金色は夕日など、そこをイメージしているのかな。
私はこの奇妙な塊がかなり気に入りました。

《3.サンユウ(常玉)》
サンユウ(常玉)は本名 Chang Yu
1901年四川省生まれの画家です。
(1966年没)
日本ではほとんど知られておらず、検索してもヒットするのは中国語か英語のページ。
サンユウはモンパルナスに住んでいた画家で一生中国に帰ることなく、パリを終の棲家としました。
そんな彼の作品が近年、高額で落札されています。
日本円で5億円を越えることも。
絵がなかなか売れず苦しい時期もあったサンユウ。
このニュースをあちらの世界でどう思っているのかなぁ。

サンユウ(常玉)「蓮に白鶴」
大きな蓮の花が咲く池。
飛んでくる白鶴。
太い筆で縦に背景の色をつけています。
屏風のような印象。
水のところを白色で表現していて、この世のものではないような、不思議な印象を与えます。
この人の作品は、他のものを見ても、どことなくもの悲しいという感情を覚えました。

《4.中国の近代美術》
ユン・ジー / ジュ・ユアンジー(朱沅芷)「管理人小屋」
暖色系の温かみのある作品。
白い小屋の後ろにあるのは城かなぁ。
この章は中国の画家の作品になりますが、これがとてもおもしろいものでした。

チェン・チェンボー(陳澄波)「淡水」
2006年10月9日サザビーズ香港で34,840,000香港ドル(当時のレートで5億2260万円)で落札された作品。
作者のチェン・チェンボーは1926年の帝展にも入選したことのある画家。
2.28事件で処刑されなくなりました。
描かれているのは淡水河の河口にある港町。
優しい色彩で伸びやかに描かれています。
水の青、家々の屋根の色、美しい色彩です。
のんびりとした雰囲気とその人生を想うとなんだかぐっときました。

グォ・ボーチュアン(郭柏川)「紫禁城」
堂々たる姿の紫禁城。
赤と緑が美しい作品。
空は青からピンクへ変わっていき時間の流れを感じさせます。

ホワン・ミンチャン(黄銘昌)「向晩1」
なぜ、私はリアリズムに惹かれるのでしょうか。
草原が描かれた作品。
光の道が通り、風吹き抜けていきます。
その様子が目の前で起こっているかのように想像できる。

ホワン・ミンチャン(黄銘昌)「一方心田」
こちらも同じくリアリズムの作品。
夕暮れの水田、水が光の色を反射し、輝いています。
空は青からピンクへグラデーション。
細やかな筆遣いで描かれています。
なぜリアリズムに惹かれるのか。
そっくりに描くなら写真でいいじゃないか。
そうなんだけどさ。
そこに人の息遣いを、ありのままを伝えたいという気持ちを感じるよね。

スー・ウォンシェン(蘇旺伸)「川の桟橋」
斜め上から見下ろす大胆な構図。
おもしろくってその視線がいいな。

ポール・チアン(江賢二)
「春:永遠についての瞑想 01-10」
「夏:島についての夏の夢」
「秋:浄夜 01-11」
「冬:百年寺 01-07」
四季を扱った4枚の作品。
抽象画です。
春はポロックのようで夏はハートマークが飛んでいます。
秋は文字がたくさん入り、冬は黒地に仏様がいっぱい描かれています。
この冬がいい。大晦日の印象。
冬って年末年始を含むので、仏様とか神様について初もうでとかで考える期間があるよね。
なんだかそのことを思い出しました。

リウ・ウェイ「名づけうるものが明確であるというわけではない」
こちらも抽象画。
淡く優しい色彩。
クリーム色をベースにピンク、青、緑、厚めのマティエール。

さて。
ここで次に動くときに大変なことに気づきました。
「あれ!?時間足りない!???」
おまえ、何度目だよ!!ってのは勘弁してください。。。
最初に時間かけすぎた~。
ってわけでここからちょっとペース早めに見ていくことに。。。。。

《5.崇高》
マーク・ロコス「無題」
ロコスはなかなか文章にするのが難しい……
全体的にオレンジ色中央ちょっと上に濃いオレンジ色のラインがあって、下の方は薄いオレンジで。。
としか。。。

杉本博司「最後の晩餐」
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が題材。
蝋人形を使って、パンとワインの用意された晩餐が展開されています。
このあたりには「海景」も。
これがすごくすてきでした。
こんなにもいいものだったのか、と驚きの美しさ。

ゲルハルト・リヒター「抽象絵画」
2012年サザビーズのロンドン競売で、エリック・クラプトンが所有していた「アプストラクテス・ビルト(809-4)」が約2132万ポンド(約26億9000万円)で落札されニュースとなりました。
生存する画家の作品としては史上最高額です。
アブストラクト・ペインティングという技法で描かれたもの。
この財団、本当にすごいな。。。

《6.威厳》
ここはザオ・ウーキー特集となっていました。
ブリジストン美術館ぐらいしか見る機会のない、ザオ・ウーキーの作品をこれだけまとめて観れるとは。
色彩も美しく、特に青い色がすごく素敵でした。

《7.リアリティ》
トーマス・シュトゥルート「アルテ・ピナコテーク、自画像」
この章は写真です。
アルテ・ピナコテークはドイツにある国立美術館。
アルブレヒト・デューラーの「自画像」を有することでも知られています。
この作品はそのデューラーの「自画像」見る青いスーツの男が撮られています。
すごく不思議。
自画像を見る人を見る私。

トーマス・シュトゥルート「トカマク型核融合炉(Asdex Upgrade)の内部2、マックス・プランク・プラズマ物理研究所、ガーヒンク」
ドイツ国内、最大規模の核融合実験施設を撮影したもの。
色がとてもいい。
アンドレアス・グルスキーの「カミオカンデ」みたいですね。
宇宙船の中みたいで不思議な空間です。

アンドレアス・グルスキー「V&R」
ヴィクター&ロハフのショーです。
実際撮られたものをデジタル画像処理し、一つの画面に再構築したもの。
モデルのポーズがほぼ一定で規律のあるところや華やかな色彩が面白い。

《8.記憶》
アンゼルム・キーファー「君の金色の髪マルガレーテ」
アンゼルム・キーファーは戦後ドイツを代表する画家。
この作品はパウル・ツェランの「死のフーガ」から着想を得たものだそう。
画面中央には金色の髪。
これは藁でできています。
その背景には太い黒い線。
不穏な影を感じます。

ゲオルク・バゼリッツ「イゴール」
あれ、向き間違えてない??と思ってしまう。。
なぜなら逆さになっているから。
描かれている景色は木々の間を歩く牛。
のどかな景色なのでしょう。
ただそれが逆さになっただけで、まったく雰囲気の違う不安感を与えるのですから驚きです。

ツァイ・グオチャン「葉公好龍」
作者は火薬を用いた作品制作(薬の爆発による絵画制作やパフォーマンス)や、中国文化に由来する物を使ったインスタレーションを多く手がける画家。
これはテート・モダンのための爆発プロジェクトのもので、ミレニアム・ブリッジからテートまで火薬で昇り龍を表現したものを絵画として残したもの。
木製パネルに火薬の跡がとてもおもしろい。
龍も迫力あります。
この「葉公好龍」
日本では馴染みのない言葉ですが、中国ではこども向けの絵本にも出てくるくらい有名な言葉だそう。
読みは「葉公、龍を好む」
葉公は龍が大好き。
家の中を龍の彫刻や絵で飾り付けていました。
それを天に住んでいた龍が聞きつけ、地上へ降り立ち、葉公の家へ。
それを見た葉公はびっくり。
気もそぞろで、あたふたするばかりでした。
というお話から。
「名を好むだけで実を好まないこと」を例える言葉だそう。
なるほど、いつか使えそう。。

《9.実在的状況》
フランシス・ベーコン「教皇のための習作VI」
2013年11月クリスティーズ・ニューヨークで「ルシアン・フロイドの三習作」が142,405,000ドル(当時のレートで142億4050万円)というとんでも価格で落札されたことも記憶に新しい。
そんなベーコンも持っているなんて……
ここまで見てきてお金がすごくあることは分かっていたけど、やっぱりすごい。

ピーター・ドイグ「カヌー・湖」
これ、すごく好き。
緑の中、湖に浮かぶカヌー。
爽やかだな~とおもってよく見たら、カヌーからだらりと手が。
それまでの爽やかさが一転、緑色の川や真っ黒な下方が不気味に見えてきます。
映画『13日の金曜日』の湖にボートを浮かべているシーンを描いているのだとか。
おぉ、その映画見たことない。。。
この作家の作品、他のも見てみたいなー。

《10.新しい美》
ジョン・カリン「叫び」
ロココ調のやさしい色彩で描かれている作品。
内容はやさしくありませんが。

ホセ=マリア・カーノ「WS100 小泉純一郎」
熱したワックスに絵を描く画家。
こんなところでソーリに出会うとは!!
この人の作品はどれもおもしろかった。

マーク・クイン「ミニチュアのヴィーナス」
外にあったものを想像していたため、小さい!!っていうのが最初の感想。
顔はモデルのケイト・モス。
ポーズはヨガのマイスターから作ったもの。
西洋の美であるケイト・モスが東洋の伝統的な美を表現するというなんとも不思議なもの。

マウリツィオ・カテラン「無題」
水色のキャンバスに「Z」の文字が切り込まれているもの。
快傑ゾロをモチーフにしているそうです。
とにかくかっこいい!!

ツェ・スーメイ(ジャン=ルウ・マジュールとのコラボレーション)「名人(川端康成に捧ぐ)」
ルクセンブルグ出身の女性作家。
川端康成の小説『名人』に触発されて作った写真作品です。
碁という文化をどのようにとらえたのか分かりませんが、白と黒と静けさに支配された作品からは、緊張感が漂います。
これも素敵です。

以上になります。
もっと時間に余裕を持てばよかった~。
とてもとても私好みの楽しい展示でした。
今まで知らなかった中国の画家なども面白かった。
これだけのコレクションを一代で集めるのはすごいの一言。
1つ1つの作品が美術館のマスターピースになりうる作品なのです。
この機会を逃したら見れない作品ばかり。
この夏おすすめの展示です!!



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草間彌生「とこしえの愛の部屋」写真展―ベンジャミン・リーが撮る、草間彌生宇宙―

2014-08-04 21:30:00 | 美術
見てきました

EYE OF GYRE

会期は2014年8月1日から2014年9月6日。

最近、足りていますか??
水玉。

私はなんだか不足気味。
水玉というか、刺激的な展示がないよね。
"いい展示"とか"おもしろい展示"はいっぱいあるけど、"強烈な展示"が観たい。
そんな欲望を刺激する展示。

ベンジャミン・リーの写真展。

世界中のアーティストを撮り続けてきたベンジャミン・リー。
今回展示されているのは草間彌生の創作活動追った写真。

リーはカナダ・トロントのライアーソン・ポリテウニカル・インスティテュートで写真を学び、1977年にロンドンに自身のスタジオを設立。
以来、多方面で活躍しているフォトグラファー。
1987年からは日本に拠点を移し、安藤忠雄、磯崎新、三宅一生などを撮影。
2002年には写真集『オデッセイ』を出版。
個展も開催しました。

2003年以降は世界中を旅しながら写真を撮り、写真展も開催。
2009年より雑誌『pen』にて、熊川哲也、蜷川幸雄など多くのアーティストやクリエーターを撮影。
2010年「写真家ベンジャミン・リーの見た彫刻家 佐藤忠良」を開催。
2012年のムック本『草間彌生を知りたい』ではメインフォトグラファーを務めます。

リーはこの3年間、草間彌生を追い続けています。
展示作品には、パリ、香港、ニューヨーク、東京、長野など、世界各地で精力的に創作活動に取り組む草間の姿が収められています。

カタログは2000円。
もちろん買ったさ!
そのとき、ベンジャミン・リーご本人がいて、サイン入れてもらいました。

2ショットも撮ったよ。

小さい展示でしたが、草間だらけの展示でなかなかカオスでおもしろかった。
もっと刺激的でもいいのにね。笑



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APEX EXHIBITION 化粧品「9つの真実」展

2014-08-03 21:30:00 | 美術
見てきました

POLA MUSEUM ANNEX

会期は2014年7月26日から2014年8月17日。

「アペックス」
一人ひとり違う肌を個々に対応することで、すべての女性をキレイにしたいという研究者の思いから、1989年に誕生したポーラの個肌対応カウンセリングブランド。
以来、ポーラ最先端のテクノロジーを投入し、25年間かけて取得した約1450万件にも及ぶ膨大な肌の分析結果は、肌研究の基本データとして活用されるだけではなく、化粧品開発にも活用されているのだそう。
その「アペックス」が新しく生まれ変わるとのことでそれと連動した展示です。
新しい「アペックス」はスキンチェックをもとに肌に合わせた処方ナンバーが導き出されるのだそう。
日本女性の肌を知り尽くしている「アペックス」ならではの視点から、数字をキーワードに化粧品と肌にまつわる"9つの真実"を解き明かしていくようになっています。



毎日化粧しますから、肌については気になるじゃないか。
悪いところがあるのは分かっているけど、あからさまにするのはちょっと恥ずかしい。。
これ見に行って勉強になる反面、反省する点も多そうでなんか行くの迷う……
ってちょっと思ったり。笑
まぁ、無料だしね、仕事後に行けば疲れた顔でも仕方ないしね、と自分に何かを言い聞かせ行ってきました!!


会場には数字のオブジェ(!?)がずらり。
1から9までです。


「雪国の人は肌がキレイ」って本当ですか?
"肌のうるおい"、"キメ"、"シワ"、"シミ"、"角層"などの調査結果からのランキング。
1位はしまねっこの故郷でした。
以外!!
ここには理由なども書かれていました。
ちょっと真剣に読んできた。笑


「8」の上には3本の棒。


万華鏡になっていました。
数字がきらきらまわるよ~。


今回は今までとはちょっと違った視線の展示です。
POLA MUSEUM ANNEXで見た展示で一番POLAらしさがあふれる展示。(当たり前か。。)
今の時期、紫外線でちょっとの時間でも肌はやられてしまいます。
これを見て、考え直すのもいいかもしれません。



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台北 國立故宮博物院 - 神品至宝 (その2)

2014-07-30 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館

会期は2014年6月24日から2014年9月15日。

いよいよ日本で公開された台湾故宮の宝たち。
今回の展示は盛りだくさんで1~10の章に分かれています。
その1」を昨日書いたので、今日は「その2」です。
(「その1」はこちら→「台北 國立故宮博物院 - 神品至宝 (その1)」)

《6.中国工芸の精華 - 天と人との競合》
105景徳鎮窯「青花龍文大瓶」
白に鮮やかな青で文様をつけています。
この青はイスラム産のコバルトだそう。
胴にはぐるりと龍が。
力強い形状で目をひきます。

104景徳鎮窯「白磁雲龍文高足杯」
すごくきれい。
白が艶やかです。
小さいのですが、かたちも美しい。
素晴らしいとしか言いようがない。

110景徳鎮窯「豆彩唐子図杯」
童子が凧揚げなどで遊ぶ様子が描かれています。
豆彩とは青花で輪郭を描き、上絵具で彩色を施したもの。
色鮮やかです。

111景徳鎮窯「豆彩波濤天馬文有蓋壺」
緑色の波の上を飛ぶのは青、赤、緑、黄色の馬。
想像したら面白いだけかもしれませんがなかなかかっこいい。
こちらも色鮮やかです。

160景徳鎮窯「豆彩葡萄文瓢形壺」
瓢箪の形の白磁の壷に、葡萄とリスが描かれています。
色彩も美しく、繊細でかわいらしい作品。

134「刺繡九羊啓泰図軸」
ここから刺繍絵が続きます。
これがまた素晴らしいものばかり。
この作品は大きな掛け軸。
全面に刺繍が施されています。
松や竹、梅などの吉祥の木々が映える水辺。
童子や色とりどりの羊などなんともめでたい印象の作品。
とにかく細かく、色も鮮やかで美しい。
光りが当たるとまた違って見えるのでうろうろ前を行ったり来たりして眺めていました。

133「緙絲吉祥喜金剛像軸」
8面の顔、16本の腕、4本の足を持つ吉祥喜金剛。
陰影まで表現されていてその技術に驚くばかり。
キャプションには
"これぞ「超絶技巧」"
ってありました……
三井記念美術館にかぶせましたかね。。笑
(記事はこちら→「超絶技巧!明治工芸の粋 -村田コレクション一挙公開-」)

135「緙絲海屋添籌図軸」
これは絹糸で織られたもの。
この技術は唐時代から行われていたそうですが、技術が最高に達したのは宋時代。
水辺の景色が表現されているのですが、とても変わっています。
波はとがったような不思議な形、空に浮かぶ雲は煙のようにひょろひょろと。
右にある建物には人物、鳳凰や猿もいます。

141「刺繡咸池浴日図軸」
変わった形の岩場、荒れ狂う波、空には真っ赤な太陽。
この作品、波がすごいのです。
絹糸の光沢と質感を活かして今にも動き出しそうな波。
糸だからこそできる表現です。

142-153「刺繡仙人図軸」
これも刺繍絵です。
シリーズもので仙人が1図に1人描かれています。
鶴に乗った仙人などなかなか面白い。

117「玉帯飾」
二重の透かし彫りが美しいもの。
繊細で技術の高さが見て取れます。

118「「天地人」三連玉環」
3つの環が組み合わさった立体のもの。
回転させると平らにすることもできます。
おしゃれ。
天地人は宇宙の万物。
それを3つの環で表しているのだそう。
一番内側の環には太陽と北斗七星が彫られています。
かっこいい。

137「緙絲花鳥図」
こちらも刺繍画。
糸も繊細ですが色も鮮やかで素敵です。

120「花卉堆朱長頸瓶」
漆器の花瓶は珍しいな、と思い。
全面に花が施されています。
花びらのひらっとした感じも表現されています。

126「双龍彫彩漆長方盆」
色漆を重ね、そこに細かい彫りが施されています。
そのため、色が変わって見えるのです。
彫りの繊細さに驚き。

124「七仏堆朱鉢」
七体の仏像が浮き彫りにされている鉢。
変わっています。

127「梅花彫彩漆輪花合子」
真っ赤な梅の花がかわいらしい合子。
色漆を重ね彫ったもの。
梅と氷竹文のデザインが絶妙です。

210,211「永楽大典(梅)」「永楽大典(游)」
明の永楽帝の時代に編纂された百科事典。
全部で22,877巻、11,095冊もあったそうですが、義和団事変などで大半が滅失。
現存しているのは810巻、370冊のみだそう。
残念です。

224「妙法蓮華経」
紺紙に金泥で書写されたもの。
平家納経とか同じようなものは日本にもありますが、こちらのほうが派手というか煌びやか。
色鮮やかで面白いです。

《7.帝王と祭祀 - 古代の玉器と青銅器》
5「鉞」
トルコ石入りまさかり。
実用的ではないような。。

4「蟠龍文盤」
蟠龍とは空に昇れない龍。
見込みにとぐろを巻いた龍が施されています。
これが3000年以上昔のものとは思えない。。

15「龍文玉角杯」
龍が踊るかのようです。
胴部に巻きついています。
ここにあらわされているように、神の使いの龍に導かれ 天界にのぼり仙人になるのが 人々の憧れだったそう。

9「曾姫無卹壺」
海獣の形の取っ手がついた壺。
戦国初期のもので楚恵王の夫人の壺なんだそう。

《8.清朝皇帝の素顔 - 知られざる日常》
196「透彫花卉文玉香薫」
白い玉で作られた香炉。
繊細な透かし彫りが美しい!!
技術の高さに感服です。

194「鰲魚玉花挿」
鰲魚(ごうぎょ)とは龍魚のことだそう。
翡翠の彫り物で今まさに龍に変身せんと跳ね上がる場面が表現されています。
水の跳ね方からもその力強さを感じますが、鱗など細かいところまで丁寧に表現されています。

195「松鶴翠玉挿屏」
こちらは翡翠の板の衝立。
中国では翡翠は古くから幸福や繁栄をもたらすものと信じられたのだそう。
この作品、翡翠の緑も美しいのですが、その細工も美しい。
片面には水面の景色。波立つ様子が表現されています。
もう片面には水辺の楼閣が。

184「文王方鼎」
四本の龍の足をもつ長方形の鼎。
小ぶりでスタイリッシュです。
西周時代の祭器を、明時代に倣古したものだそう。

185「文王玉方鼎」
こちらは玉でできた鼎。
こちらも184と同じく西周時代の祭器を、明時代に倣古したもの。
なお、倣古の元となっている西周時代のものは現在、残っていないのだそう。

186「琺瑯獣面文方鼎」
こちらも倣古のもの。
ここまでされると元のものが残っていないことが残念でなりません。
こちらは七宝Ver.
色鮮やかです。

171-174「暖硯」「五峰山字形筆架」「水盂・勺」「紙鎮」
カラフルな琺瑯でデザインが施されたもの。
豪華な文具たちです。

207「帝鑑図説」
これは明時代の政治家張居正と呂調陽が、幼い皇帝の教育のためにまとめた教科書。
上編には、堯舜から北宋までの歴代君主の模範行動を、下編には、歴代君主の暴虐事例が書かれています。
外側はぼろいのですが、中はかなりきれい。
絵もついているのですが色彩も鮮やか。
字もすべて漢字ですが、楷書でしっかり書かれています。

《9.乾隆帝コレクション - 中国伝統文化の再編》
228「紫檀多宝格」
高さ20cm、縦横25cmの紫檀製の箱。
多宝格という形で古代宇宙の象徴だそう。
ここは展示室自体もこの多宝格の形をしていてさらに楽しめます。
この箱の中には30点もの皇帝の至宝が収められているのだそう。
といってもミニサイズ。
縮図となっているのです。
日用品から指輪までさまざまなものが入っています。
どれも精巧で素晴らしいものとのなっています。

226「シャム金葉表文」
これはシャム(タイ)のタークシン王の使節が乾隆帝に上程した金の文書。
一緒に螺鈿のきれいな漆器がありますが、その容器です。
螺鈿は草花文で細やかで美しい。

169「鍍金宝石象嵌如意」
とても綺麗。
宝石で花を表したりと凝ったものになっています。
中国というより、帝政ロシア時代のもの、って言われた方がしっくりくるぐらい華美。
きらびやかです。

199「「古稀天子之宝」「八徴耄念之宝」玉璽」
玉璽とは皇帝の印のこと。
乾隆帝の長寿の記念に作られたもので、70歳と80歳のものになります。
緑の軟玉製で、側面には皇帝の言葉が。
清朝時代の美術品には、乾隆帝の落款が捺されているものが多いのだそうですが、こうやってつくらせた印をコレクションしていたものに押していたんでしょうね。。

191「澄泥虎符硯」
なんてかわいらしいんだ。。
虎が施されていますが、虎というよりも猫。
これは使っていて癒されそう。

108景徳鎮窯「紅釉僧帽形水注」
艶やかな赤色がとても美しい作品。
名前からもなんとなく分かりますが、これはラマ僧の帽子の形なのだそう。

189「双龍堆朱碗」
漆の小さなお椀。
小さな面に隙間なく龍と瑞雲文が施されています。
下が黒く、龍が浮き出しているようです。
龍の細かいところまで掘り出されていました。

200「「鴛錦雲章」田黄石印」
金より高価な田黄石というものを使っているのだそう。
9つ1セットで上に様々な動物がいます。
守り神的なもの、かな。。

21孫過庭「草書書譜巻」
草書の最高傑作とされるもの。
草書を学ぶ人が常に模範とするものだそう。
とても大きく巾26.5cmの紙が9m続きます。

《10.清朝宮廷工房の名品 - 多文化の交流》
161景徳鎮窯「臙脂紅碗」
見込みは白、外はピンク。
なんとも美しい色の組み合わせ。
シンプルながらにすっとしたスタイルも美しい。
つるりとした感じも素敵です。
これ、欲しいです。

167景徳鎮窯「粉彩透彫雲龍文冠架」
金色が美しい作品。
これは帽子や冠をかけておくためのものだそう。
香を炊くこともあるのだそう。
おしゃれだ。。
透かし彫りに金彩が施されその技術と所有者の権力が伺えます。

154「刺繡西湖図冊」
西湖とは名勝として知られる場所。
刺繍すごいです。
色のグラデーションや刺繍の細やかさで立体的に表現されています。
もともと景色の美しいところ。
さらに美しさが増しています。

156景徳鎮窯「青花竹葉文壺」
竹の葉がとてもバランスよく配置された壺。
菊の花もあり、まさに絶妙の配置。
すっきりと美しいものです。

164景徳鎮窯「青花雲龍唐草文五孔壺」
白に青がきれいな壺。
波の上、唐草と雲が浮かぶ空に、龍が登場しています。
この龍、5つの爪を持っていますが、これは皇帝を象徴するのだそう。
ただ、龍の顔やポーズがなんとなくユニーク。

163「琺瑯彩孔雀文碗」
白い碗に孔雀と白木蓮が描かれたもの。
その鮮やかで神秘的な色が映えます。

165「琺瑯彩墨彩寒江独釣図瓶」
瓶に小舟にのる釣り人を描いた作品。
この絵がとっても絵画的。
ぼかしも入れられています。

166景徳鎮窯「藍地描金粉彩游魚文回転瓶」
青が鮮やかで美しい瓶。
金色の唐草文様も映えます。
真ん中が丸く、そこは4つの回転する部分でできています。
中の部分が回転すると描かれている金魚がくるくると瓶を回ります。
涼しげに泳いでいるかのよう。
なんてすごい。

231「人と熊」
"故宮の癒し系次世代アイドル"
と称されている作品。
こちらもあの白菜と同じように、玉の色の違いをうまく使った作品。
子どもと熊が手と足を合わせ、どちらも上を向いています。
子どもは白、熊は黒の軟玉製。
力くらべか、踊っているようにも見えます。
思っていたよりかなり小さい作品。

すごくすごく楽しかった。
素晴らしい展示でした。

この展示が開催されるまで、様々な問題がありました。
2000年前後には開催の構想が浮上していたという話もあり、実に10年以上の歳月を要したことになります。
決め手となったのは2013年成立の「海外美術品等公開促進法」
国際文化交流の振興の観点から、公開の必要性が高いと文部科学相が指定した海外美術品について、強制執行や仮差し押さえ、仮処分を禁止した法律です。
(詳細はこちら→「台湾、国立故宮博物院の至宝、日本へ」)

日本ではこれまで「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」を適用し、海外美術品を日本の裁判権から除外してきました。
ただ、その対象となるのは外国政府などが所有する美術品。
国連に非加盟の台湾には適用できなかったのです。
そして日本も台湾とは正式に国交を結んでいません。
中国当局に差し押さえられる可能性を危惧した台湾側。
この法律では対応できなかったものが「海外美術品等公開促進法」で対応できるようになったのです。
台湾の要望で制定された、とも言えますが、中国側にも一定の配慮が。
「文科相は外相と協議しなければならない」との一文があり、今回の故宮展の開催決定前には外務省が中国側に非公式に打診もしているそうです。
「賛成はしないが、反対もしない」との感触を得て、今日の運びとなるのです。

海外の素晴らしい作品が日本で見れるということはとても素敵なこと。
ただ、国によっては難しいことも。
こういった努力の影で成立した今回の展示。
開催されたことに感謝だし、尽力した人にも感謝。
そして貸し出してくれた故宮博物院にも感謝です。
文化面での交流がいろいろな国とできるといいなぁ。

この後、展示は九州へ行きます。
さすがに九州までは見に行けないのですが。。
ぜひぜひ多くの方に楽しんでほしいな、と思います。



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台北 國立故宮博物院 - 神品至宝 (その1)

2014-07-29 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館

会期は2014年6月24日から2014年9月15日。

いよいよいよいよ。
はじまりました。
そして2週間限定であの白菜がやってくる!!!!!

混雑を避けるため、今回は白菜を見に行きませんでした。
台湾行ったときに見たし……
トーハクでどのように展示されているのか気になったけどさ。
見たかったけどさ。
うん、3時間待ちってのは耐えられないのさ。。。

というわけで、白菜の展示が終わったころ、のんびり行ってきました。
うん、正解。
そこまで混んでいなくて、ほぼ快適に見れました。
(一部で団子状になることも。)

今回の展示は盛りだくさんで1~10の章に分かれています。
2回に分けて書きます。
「その1」では1~5を。
「その2」では6~10を。
今日は「その1」です。

今回、文字化けしてしまうかもしれません。。
ごめんなさい。

《1.中国皇帝コレクションの淵源 - 礼のはじまり》
6「散氏盤」
大きな青銅の盤。
内面には文字がぎっしりかかれています。
漢字のように見える文字。
これは他国との領地問題を解決した話が書かれています。
中国の政治史も分かりますが、その書体が個性的で書道史のなかでも重要な位置を占めている作品だそう。
制作されたのは西周時代。
なんと紀元前9~紀元前8世紀!!

180「犠尊」
古代の儀式で使用した青銅製の酒器。
背中から入れ、口から出すという、トリックグラスのようなもの。
動物を模したものですが、ずんぐりむっくりでかわいらしい。

181「犠尊」
180とそっくり。
これは"倣古"というもの。
"倣古"とは古い形にならってつくること。
古代の伝統を復活させ中華の正式な皇帝であることを示すためにこのようなものが作られたそうです。

1(漢)鄭玄注、(唐)賈公彦疏「周礼注疏」
儒家の学ぶべき経典"十三経"の一つ。
古代の官制に関する文献です。
官制以外にも祭礼などの礼についても細かく決められています。

《2.徽宗コレクション - 東洋のルネサンス》
98汝窯「青磁楕円盤」
4つの小さな脚の付いた浅い楕円形の盤。
この形は"水仙盤"と呼ばれ水仙を育てるためのものだったそう。
淡い青色が美しく、つやっとしています。
このあたりに展示されている汝窯とは中国、北宋時代に優れた青磁を焼いた窯。
五名窯の一つとして製陶の中心でもありました。
汝窯の作品は世界にわずか70点ほどしか確認されず、そのうち21点が故宮にあります。

99汝窯「青磁輪花碗」
こちらも淡い青色。
深めのお椀で花の形をしています。
お酒を温めるための温椀と呼ばれる器。
曲線が柔らかく持った感じもよさそう。

100汝窯「青磁槌形瓶」
鳳凰耳、鯱耳瓶の祖形といわれる作品。
つるりとした器肌が美しい。

182「鳥形尊」
鳥の形をした可愛い酒器。
背中から入れ、くちばしから出すという、トリックグラスのようなもの。
金が残っており、かつての姿が偲ばれます。

17王羲之「草書遠宦帖巻」
"書聖"とされる王羲之の作品も。
といっても、これは唐代の精緻な模本とされています。
行楷書による短い書簡で、大雪の後、友人へのご機嫌伺いの書簡。
たくさんの印が押されています。
乾隆帝は本作を殊に珍重し、"天下無双、古今鮮対"と賞賛していたのだそう。

51徽宗「楷書牡丹詩帖頁」
書が続くと苦手意識もあってか食傷気味となっていましたが、これは素敵でした。
北宋の8代皇帝の書。
伸びやかで流麗な文字が美しかった。

52徽宗「渓山秋色図軸」
こちらも北宋8代皇帝。
自らの手による掛け軸です。
水墨画。
手前に湖があり、彼方には山々を臨みます。
緻密に描かれていますが、山の麓が霞むなど空気や遠近も感じる作品。
皇帝ってすごい……

《3.北宋士大夫の書 - 形を超えた魅力》
33蔡襄「草書脚気帖頁」
ここから書が続きます。
北宋時代(11世紀)のもの。
仕事を脚気で休んでいたが治ったのでそろそろ復帰できます。
お返事しなくてごめんなさい。
という内容。。。
のびのびと書かれています。
後世に残すべき素晴らしい書なのかもしれませんが、こういった内容とは。。。
字の上手い人は大変ですなぁ。。

35欧陽脩「楷書集古録跋尾巻」
欧陽脩は北宋の政治家、詩人、文人。
これは古代の金属器や刻まれた文を収録した資料集のようなもの。
書体に力強さを感じます。

79-2趙孟頫「蘇軾像」
趙孟頫は歴代文人人気NO.1なのだそう。
描かれているのは宋の詩人で四大家の一人、蘇軾。
竹の杖をもち、りりしく歩く姿です。

39黄庭堅「草書花気詩帖頁」
黄庭堅は宋の詩人で四大家の一人。
これは王晋卿の度重なる依頼で熱意に負け書いたもの。
そういった経緯からも貴重なものなのだそう。
のびやかです。

48蔡卞「行書雪意帖頁」
蔡卞という人は陰険な人物で兄とも仲が悪く、地方官で終わった人なのだそう。
そうゆうエピソードが後世に残るのも……
よっぽどかの人物だったのでしょう。。。

43米芾「草書論書帖頁(草聖帖)」
この人も宋の詩人で四大家の一人。
この書帖は全9帖ですが、5帖は大阪市立美術館、2帖は故宮、残りの2帖は不明なのだそう。
おもしろいめぐり合わせ。
今、日本にはほぼ揃った状態なんですね。。

《4.南宋宮廷文化のかがやき - 永遠の古典》
68陳居中「文姫帰漢図軸」
文姫は後漢の学者の娘。
董卓の乱で父を失い、自らも侵入した南匈奴に拉致され、左賢王劉豹の妻とさせられます。
2児をもうけますが、父と親しかった曹操の助力で漢に帰国。
描かれているのは文姫が夫や子どもと一緒に自分を迎えにきた漢の使者と会う場面。
漢に帰国するのは文姫のみ。
子どもは文姫にまとわりついています。
母と子の別れの場面。
子どもは泣いています。
彼女は後に、女流詩人として才能を発揮。
この別れの苦しい場面も詩にしました。

69「折檻図軸」
今では"折檻"というと厳しく叱ったり、体罰などを示しますが元は違います。
前漢の成帝の時代、朱雲は成帝の政治に対し厳しく忠告します。
それに怒った成帝は朱雲を宮殿から追い出そうとします。
しかし、朱雲は宮殿の檻につかまり抵抗。
檻はとうとう折れてしまいました。
成帝はその姿を見て反省。
朱雲の忠告を受け入れたとともに、その檻を、諫言を忘れないようにするために修理しないでおきました。
本来は"正当な理由で厳しく忠告する"ことを意味していたんですね。
登場人物の顔もはっきり描かれ、その場面の緊張感が伝わってきます。

55高宗「行書千字文冊」
宮廷の書風伝える作品。
書のないところもにも鳥や草花が描かれ美しい。

102「青磁輪花鉢」103「青磁弦文瓶」
形も色もきれいです。
103は清時代(18世紀)のもので、南宋時代(12~13世紀)に作られた南宋官窯青磁の倣古。
どちらもとても美しく、模倣としても素晴らしい。

62馬麟「暗香疏影図頁」
馬麟は、馬遠の子で、南宋の画家。
南宋時代(13世紀)の作品です。
水面に映る梅が描かれた作品。
繊細で詩情感じます。
小さな作品ですが、とても美しい。

60馬遠「杏花図頁」
62の親となります。
描かれているのは杏の花。
淡い色彩で描かれ、写実的。
甘い香りが漂ってきそうです。

64李嵩「市擔嬰戯図頁」
竹竿を天秤棒にした物売りの男性。
そこに駆け寄る子どもと母親が描かれています。
驚きは物売りの男性が担ぐ品物の数。
とにかく多い。
なんと500以上もの物品が描かれているのだそう。
箒に団扇、お椀に桶に野菜、玩具などなど。
細い線で丁寧に描かれています。

65馮大有「太液荷風図頁」
蓮の葉が池を覆わんとせんばかり。
水鳥が泳いでいきます。
精密で優美な印象です。

75張即之「行書従者来帰帖頁」
とてもきれいです。
料紙が。
水の流れを表しているのかな。
柔らかな印象。

113「荷葉玉杯」
すぼまりかけた蓮の枯葉が表現されています。
くしゃっとした質感など素晴らしい。

114「松蔭図玉山子」
松の木の下に人物が、松の上には鶴がいます。
樹上には鶴。
実用的ではないけど、作りが細やかで観ていて面白い作品。

22「明皇幸蜀図軸」
初期の山水画で世界中探しても十指に満たないのだそう。
そして国宝級の文化財で保存状態もいいことから本来は出品予定になかったそうです。
日本側からの熱いオファーでリスト入りが決まったという作品。
楊貴妃を寵愛した唐の皇帝・玄宗の都落ちを描いた水墨画。
奇妙な形の山々の向こうには雲が巻き上がり、手前の谷には旅人。
この旅人の集団が玄宗たちかな。
755年の安史の乱で皇族らが落ち延びた四川周辺の山々や、玄宗に従った騎馬の男女が描かれています。
日本の大和絵の源流となった作品だそうです。
その色鮮やかさに驚かされます。

23「江帆楼閣図軸」
青緑山水という唐時代の顔料で描かれた作品。
その色の鮮やかさは先ほどと同じく驚きです。
湖畔の楼閣という理想郷のような景色。

25(伝)関同「秋山晩翠図軸」
峻厳な山が連なる景色が圧倒的です。
"華北"はこういった作風なのだそう。

26巨然「蕭翼賺蘭亭図軸」
こちらは"江南"
さきほどより穏やかな印象。
最古の水墨画の一つとされるもの。
蘭亭序を手に入れた故事を描いています。

《5.元代文人の書画 - 理想の文人》
82趙孟頫「調良図頁」
強風の中の人物と馬が描かれています。
毛やひげが風になびき、その強さが伝わってきます。

112「龍文玉盤」
龍の透かし彫りが施された盤。
繊細です。
玉がよく折れないものだなぁ、と感心。
影まで美しい作品でした。

86高克恭「雲横秀嶺図軸」
元末四大家の代表作。
日本では高然暉として知られる元代の画家です。
雄大な山、その手前に雲があり、手前には水辺。
小さな庵もあります。
しっとりとした感じ。

90倪瓚「紫芝山房図軸」
倪瓚は、元末から明初の文人画家で、元末四大家の1人。
最晩年の作。
非常に美しい山水画です。
画面真ん中に大きな空間があり、その感覚も素晴らしい。

93張中「桃花幽鳥図軸」
美術館で展示作品の横にあるもの、キャプション。
今回、この展示のキャプションで何点かおもしろいものがありました。
この作品もその一つ。
"友達いっぱい"
って。。
なんかトーハクの方向転換!?
作品は桃の枝にとまる鳥を描いた掛け軸。
目をひくのは余白にぎっしりと書かれた賛。
この作品に感動した、感銘を受けた、というのは分かりますが、ちょっと多すぎな気も。。
これが"友達いっぱい"の意味なんですね。笑

88呉鎮「漁父図軸」
山に囲まれた静かな水面に舟を浮かべる漁師。
生涯、清貧と孤高の隠遁生活を楽しんだという呉鎮。
漁夫は隠逸の象徴とのことなので、その姿を投影していたのかもしれません。

92王蒙「具区林屋図軸」
目につくのは奇妙な岩肌、朱色の木の葉。
ささくれているような波、でしょうか。
奇妙です。
崖の中腹には家屋があり、中には読書をしている人物が。
そう、これは理想郷を描いたもの。
現実とは離れた世界。
右上に描かれている階段が現実とをつないでいる場所なのです。
そう聞くとこの不思議な景色も、鮮やかな色彩も納得できてしまう。

96冷謙「白岳図軸」
白岳(斉雲山)道教の聖山。
これは登った記念に描かれました。
手前には湖、ねじれ曲がった樹木や変わった山など奇想の世界のようにも。
冷謙は画家ではなかったそうですが、その画力は素晴らしい。

81「元人集錦巻」
文人画集めた巻物。
細やかな筆遣いでどれも美しい。
山水画がほとんどです。

以上になります。
まだまだ素晴らしい作品がいっぱいでしたので続きは「その2」で。




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