金沢21世紀美術館の他の作品についても少し触れたいと思います。
まずは美術館自体。
設計は妹島和世+西沢立衛/SANAA.
円形(直径112.5m)総ガラス張りで正面といえる面がなく、逆に言えばすべてが正面といえる。
兼六園方面、香林坊方面、柿木畠方面など、どの方向からも入場できる上に、無料入場できる範囲を広く取っているため、多数の作品を無料で鑑賞することがでます。
有料の展示エリアは中央の正方形状の部分。
設計者のSANAAは、この建物等によりヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展の最高賞である金獅子賞を受賞。
最近ではランスのルーブル美術館分館の設計も担当し話題となりました。
都内ではディオール表参道なんかがSANAAの作品。
トップの写真は建築俯瞰図をそのままマークにしたシンボルマーク。
デザインは佐藤卓です……
すごいな。。。
設計SANAAでシンボルは佐藤卓……これだけでも一度は行きたい美術館になる。
オラファー・エリアソン「カラー・アクティヴィティ・ハウス」
色の三原色「シアン、マゼンタ、イエロー」の色ガラスの壁が渦巻き状になっています。
見る場所やその人の動きによって光の領域が混じり合うのです。
中央には光源。
日没から夜明けまでは色のついた灯台のように光るのだそう。
うーん、次は夜に来たい!!
フローリアン・クラール「アリーナのための クランクフェルト・ナンバー3」
美術館の建物を囲む芝生に設置された12個のチューバのような形の筒。
地中を通る管が2個ずつペアでつながっていて、伝声管の役割を果たしています。
このペアは必ずしも隣同士とはなっておらず、思わぬところに伝わり、思わぬところから声が聞こえてきます。
雨じゃなかったら声かけてきたのに~。
LAR/フェルナンド・ロメロ「ラッピング」
複雑なかたちをしたパビリオン。
中に入ることもできるのだそう。
雨じゃなかったら……以下略
マイケル・リン「市民ギャラリー 2004.10.09 - 2005.03.21」
わーお、かわいらしい!!
アーティストのマイケル・リンは、この作品の制作に際し、金沢に滞在して工房を訪ねるなど、加賀友禅の歴史や手法を調査したのだそう。
そうして構想された作品。
光の差し込む広々とした空間で、SANAAのデザインしたロッキングチェアに座ったらのんびりしすぎてしまいそう。
ヤン・ファーブル「雲を測る男」
ロッキングチェアに座ったら見えました。
座らなかったら気づかなかったかもしれない。
この作品は、『終身犯』(1961年 米国)という映画から着想を得て制作されたそう。
映画は監獄に入れられた主人公が独房で小鳥を飼い、鳥類学者となった実話に基づいた作品。
映画の終わりで研究の自由を剥奪された主人公が、「今後は何をして過ごすのか」と問われ、「雲でも測って過ごすさ」と答え、作品のタイトルはその台詞に由来しています。
また、この作品は作家の身体を型どりしたそうで、そこには、彼の兄の死を思い、制作されたという背景も。
詩的で、そして生と死を扱って。
調べたらとても様々な要素を持った不思議な作品でした。
ジェームズ・タレル「ブルー・プラネット・スカイ」
「タレルの部屋」として公開されています。
正方形の部屋で天井の中央部は正方形に切り取られています。
壁沿いはベンチになっていて、そこに座って空を眺めるのです。
そう、眺めるだけの作品。
絶え間なく変化する光を体感するのです。
でも、この日は雨がひどくてねぇ。。。
空を見上げた写真はなしです。
なので入口の写真。
ここから入っていって上を見上げたら美しい世界が見えるのです。
直島の地中美術館でもタレルの部屋で空を見上げたな。
すごく素敵だった。
いつも何気なく見ている空があんなにも特別で素晴らしく見えるなんて。
"空の美しさにかなうアートなんてあるのだろうか"
とは、オノ・ヨーコの言葉。
まさに、この作品で体験できるのではないでしょうか。
なお、今年は秋に直島に行く予定です。
またこのブログにアート日記を書くと思います。
妹島和世+西沢立衛/SANAA「無重力性と透明性」
この美術館を設計しているお二人のアクリルの立体作品。
金沢21世紀美術館の収集の方針は、
*1900年以降に制作された、歴史的参照点となるような作品
*1980年代以降に制作された新しい価値観を提案するような作品
*金沢にゆかりのある作家による新たな創造性に富む作品
とのこと。
金沢21世紀美術館は市立美術館。
日本各地で地方公共団体の財政難や公立美術館の赤字が問題となる中で、当初は金沢でも市立の美術館を新しく作ることに厳しい目が注がれていたそう。
いわゆる"ハコモノ"になってしまいますからね。。
特に美術館ともなれば作品を買わなければならない。
高騰する美術市場を見ていたら、市立では難しいと、私みたいな詳しくない人間でも予想できます。
そのため上の3つのような収集方針となったのです。
日本人に大人気の印象派などは100億あってもマスター・ピースは買えない。
じゃあ、ちょっとお安いものを、と2級品、3級品を買っても……
けど、新しい作品なら買える。
知名度の低さなどがネックとなりますが、近年の国際美術展を騒がせた作家なども含め、また恒久展示品もこの美術館のために作家に依頼して制作されたものであるなど、特色を出していきます。
比較的安価な現在進行形の美術に的を絞って今のうちに買い集める収集方針は、限られた予算を有効に活かしていくという意味で素晴らしいと思う。
さて、美術館の企画立案は市民との討論から始まり、徐々に理解を得ていきます。
プレオープン事業から市民には作品を公開、開館後も児童や学生に鑑賞教育活動を行うなど、土壌を育成することに力を注ぎました。
その結果が今に繋がっているのです。
公立美術館冬の時代と言われ、その取り組みが各地の美術館から注目された美術館。
開館から1年間で地方都市の公立美術館としては驚異的な157万人もの入館者が。
平成18年8月には入館者数250万人。
2011年8月には入館者が1000万人を突破。
驚異的な成長です。
まあ、いいことばかりでもないのですが。
2011年8月には入館者1000万人突破のニュースに水を差すような害虫発生のニュースがありました。
そんな状態で国宝展を誘致しようとしていたため、非難がすごかったですね。。。
現在も根絶できていないそう……
あと、館長によるパワハラ問題もありました。
これ、調査中ってずっとなっていたけど、どうなったんでしょうか……
害虫騒ぎのあとにすぐこれかよ!?って思った記憶がある。
館長の裁量で人気美術館になったんじゃないんだよ。
SANAA設計だからってこととか、作品がいいとか学芸員さんの努力なんだよってすごく思ったんだよね。
開館当時の館長さん、なんで辞めちゃったんだろう……
せっかくいい美術館だもの。
このあたりも頑張ってほしいなぁ。。。
カフェも利用しました!!
朝、兼六園見てから美術館行ったのですが、朝ご飯食べていなかったので。
うーん、楽しかったなぁ。
壁に並べられた椅子もかわいい。
うさぎさんみたい。
また行きたいなぁ。。。
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まずは美術館自体。
設計は妹島和世+西沢立衛/SANAA.
円形(直径112.5m)総ガラス張りで正面といえる面がなく、逆に言えばすべてが正面といえる。
兼六園方面、香林坊方面、柿木畠方面など、どの方向からも入場できる上に、無料入場できる範囲を広く取っているため、多数の作品を無料で鑑賞することがでます。
有料の展示エリアは中央の正方形状の部分。
設計者のSANAAは、この建物等によりヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展の最高賞である金獅子賞を受賞。
最近ではランスのルーブル美術館分館の設計も担当し話題となりました。
都内ではディオール表参道なんかがSANAAの作品。
トップの写真は建築俯瞰図をそのままマークにしたシンボルマーク。
デザインは佐藤卓です……
すごいな。。。
設計SANAAでシンボルは佐藤卓……これだけでも一度は行きたい美術館になる。
オラファー・エリアソン「カラー・アクティヴィティ・ハウス」
色の三原色「シアン、マゼンタ、イエロー」の色ガラスの壁が渦巻き状になっています。
見る場所やその人の動きによって光の領域が混じり合うのです。
中央には光源。
日没から夜明けまでは色のついた灯台のように光るのだそう。
うーん、次は夜に来たい!!
フローリアン・クラール「アリーナのための クランクフェルト・ナンバー3」
美術館の建物を囲む芝生に設置された12個のチューバのような形の筒。
地中を通る管が2個ずつペアでつながっていて、伝声管の役割を果たしています。
このペアは必ずしも隣同士とはなっておらず、思わぬところに伝わり、思わぬところから声が聞こえてきます。
雨じゃなかったら声かけてきたのに~。
LAR/フェルナンド・ロメロ「ラッピング」
複雑なかたちをしたパビリオン。
中に入ることもできるのだそう。
雨じゃなかったら……以下略
マイケル・リン「市民ギャラリー 2004.10.09 - 2005.03.21」
わーお、かわいらしい!!
アーティストのマイケル・リンは、この作品の制作に際し、金沢に滞在して工房を訪ねるなど、加賀友禅の歴史や手法を調査したのだそう。
そうして構想された作品。
光の差し込む広々とした空間で、SANAAのデザインしたロッキングチェアに座ったらのんびりしすぎてしまいそう。
ヤン・ファーブル「雲を測る男」
ロッキングチェアに座ったら見えました。
座らなかったら気づかなかったかもしれない。
この作品は、『終身犯』(1961年 米国)という映画から着想を得て制作されたそう。
映画は監獄に入れられた主人公が独房で小鳥を飼い、鳥類学者となった実話に基づいた作品。
映画の終わりで研究の自由を剥奪された主人公が、「今後は何をして過ごすのか」と問われ、「雲でも測って過ごすさ」と答え、作品のタイトルはその台詞に由来しています。
また、この作品は作家の身体を型どりしたそうで、そこには、彼の兄の死を思い、制作されたという背景も。
詩的で、そして生と死を扱って。
調べたらとても様々な要素を持った不思議な作品でした。
ジェームズ・タレル「ブルー・プラネット・スカイ」
「タレルの部屋」として公開されています。
正方形の部屋で天井の中央部は正方形に切り取られています。
壁沿いはベンチになっていて、そこに座って空を眺めるのです。
そう、眺めるだけの作品。
絶え間なく変化する光を体感するのです。
でも、この日は雨がひどくてねぇ。。。
空を見上げた写真はなしです。
なので入口の写真。
ここから入っていって上を見上げたら美しい世界が見えるのです。
直島の地中美術館でもタレルの部屋で空を見上げたな。
すごく素敵だった。
いつも何気なく見ている空があんなにも特別で素晴らしく見えるなんて。
"空の美しさにかなうアートなんてあるのだろうか"
とは、オノ・ヨーコの言葉。
まさに、この作品で体験できるのではないでしょうか。
なお、今年は秋に直島に行く予定です。
またこのブログにアート日記を書くと思います。
妹島和世+西沢立衛/SANAA「無重力性と透明性」
この美術館を設計しているお二人のアクリルの立体作品。
金沢21世紀美術館の収集の方針は、
*1900年以降に制作された、歴史的参照点となるような作品
*1980年代以降に制作された新しい価値観を提案するような作品
*金沢にゆかりのある作家による新たな創造性に富む作品
とのこと。
金沢21世紀美術館は市立美術館。
日本各地で地方公共団体の財政難や公立美術館の赤字が問題となる中で、当初は金沢でも市立の美術館を新しく作ることに厳しい目が注がれていたそう。
いわゆる"ハコモノ"になってしまいますからね。。
特に美術館ともなれば作品を買わなければならない。
高騰する美術市場を見ていたら、市立では難しいと、私みたいな詳しくない人間でも予想できます。
そのため上の3つのような収集方針となったのです。
日本人に大人気の印象派などは100億あってもマスター・ピースは買えない。
じゃあ、ちょっとお安いものを、と2級品、3級品を買っても……
けど、新しい作品なら買える。
知名度の低さなどがネックとなりますが、近年の国際美術展を騒がせた作家なども含め、また恒久展示品もこの美術館のために作家に依頼して制作されたものであるなど、特色を出していきます。
比較的安価な現在進行形の美術に的を絞って今のうちに買い集める収集方針は、限られた予算を有効に活かしていくという意味で素晴らしいと思う。
さて、美術館の企画立案は市民との討論から始まり、徐々に理解を得ていきます。
プレオープン事業から市民には作品を公開、開館後も児童や学生に鑑賞教育活動を行うなど、土壌を育成することに力を注ぎました。
その結果が今に繋がっているのです。
公立美術館冬の時代と言われ、その取り組みが各地の美術館から注目された美術館。
開館から1年間で地方都市の公立美術館としては驚異的な157万人もの入館者が。
平成18年8月には入館者数250万人。
2011年8月には入館者が1000万人を突破。
驚異的な成長です。
まあ、いいことばかりでもないのですが。
2011年8月には入館者1000万人突破のニュースに水を差すような害虫発生のニュースがありました。
そんな状態で国宝展を誘致しようとしていたため、非難がすごかったですね。。。
現在も根絶できていないそう……
あと、館長によるパワハラ問題もありました。
これ、調査中ってずっとなっていたけど、どうなったんでしょうか……
害虫騒ぎのあとにすぐこれかよ!?って思った記憶がある。
館長の裁量で人気美術館になったんじゃないんだよ。
SANAA設計だからってこととか、作品がいいとか学芸員さんの努力なんだよってすごく思ったんだよね。
開館当時の館長さん、なんで辞めちゃったんだろう……
せっかくいい美術館だもの。
このあたりも頑張ってほしいなぁ。。。
カフェも利用しました!!
朝、兼六園見てから美術館行ったのですが、朝ご飯食べていなかったので。
うーん、楽しかったなぁ。
壁に並べられた椅子もかわいい。
うさぎさんみたい。
また行きたいなぁ。。。
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