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RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

全国ゆるパイ展 47都道府県の愛すべきご当地パイたち

2014-07-27 21:30:00 | 美術
見てきました

8/ d47 MUSEUM

会期は2014年7月25日から2014年8月3日。

旅行や出張で欠かせないもの。
お土産のお菓子。
ご当地の食材とコラボしたものが欲しくなります。
で、よく見かけるのがパイ。
お土産もののパイで有名なのは静岡県(浜松)のうなぎパイ。
ですが、他の地方にもご当地パイは実は多いのです。
そういったことに気づいてしまったのがこの展示のキュレーターでゆるパイ研究家(!?)の藤井青銅氏。

さて。なぜ、ゆるパイなのか。
饅頭、煎餅といった伝統菓子と違い、"パイ"は日本の風土にとって新参者。
そのため、"こうあらねばならない"というルールがないのです。
ゆえに自由に、勝手気ままに、ご当地食材とコラボしてしまうのです。
いや、食材以外ともコラボしているのです。
そのコンセプトの"ゆるさ"が魅力ともなっているご当地パイ。
そのため、これらを"ゆるパイ"と名付けたそう。

お土産ですから、その土地らしさは重要です。
食べ物ですから、味も重要です。
そして"おもしろい、ウケる"といったインパクトも重要。
これで会話が弾むのですから。
この"ウケる"の部分を重要視したのが、全国各地の愛すべきご当地パイ=ゆるパイ。
そんな"ゆるパイ"を47都道府県から集めた展示です。

というか、こんなにもパイがあるのか……
と驚きです。
私が気になったものを数点あげておきます。

【秋田】はたはたパイ
秋田の冬を代表する魚、はたはた。
はたはたの形に焼き上げ、味付けに"しょっつる"を使用したもの。
これ、食べたことある。
普通のパイでしたよ。

【茨城】水戸納豆パイ
これはインパクトある!!
茨城ってことがすぐに分かるし、「えー、納豆パイって本当に納豆の味なのー。」などと会話が弾むこと間違いなし。
素晴らしいお土産です。

【栃木】レモン牛乳パイ
栃木といえばレモン牛乳。
私がこれを知っているのは栃木出身の友達が教えてくれたから。
そのときから気になっているけどいまだに飲んだことがありません……
まずはレモン牛乳を飲んでみたい。

【埼玉】なまずパイ
埼玉県。
深谷のねぎとか川越の芋とかもあるのに、なまず。
実は埼玉はうなぎも有名なのだそう。
じゃ「うなぎパイ」を作ろう!!
としたら、すでに全国区の「うなぎパイ」(静岡)がある……
といった経緯があったとしても、なぜ、なまずにいったのでしょうか。
淡水魚つながり!??
パイは、なまずの形をしていて、味はチーズ・きなこ・ごま・ アーモンドの4種類。
なまずは入っていないそうです。
うなぎパイには入っているのに!!

【東京】EV4型自動券売機型メープルパイ
一番つまらなかったのが東京。
スカイツリーとかそうゆうの、インパクトには欠けるし……
これはパッケージが切符でした。
なんかねー。
難しいのかもしれないけど、もうひとひねり…さんひねりぐらいほしいかな。
東京は全国の、というか世界のおいしいものが食べられるけどさ。
東京土産でパイはなしってことで。

【富山】富山チューリップ便り
なんだかメルヘンチックでかわいらしかったので。
チューリップをモチーフにほんのりと甘い香りのパイだそうで、ピンク色のソースがパイのうずうずに入っていました。

【三重】伊勢海老パイ、松坂牛パイ
三重は高級路線をいくのでしょうか。
インパクトあります。
パッケージも高級なように見えてきました。

【山口】うにパイ、ふくパイ
ふくパイは「福をよぶ」ってかんじでいいなぁ。
どちらも、うに、ふぐが入っています。

【香川】伊予柑パイ、オリーブパイ
我が心のふるさと(!?)香川県。
どちらも名産品ですね。
せっかくだから「うどんパイ」も出してもらわないと。
(すでにあるのかな??)

【佐賀】むつごろう入りパイ 干潟あそび
インパクト大!!!すぎる。
こちらも埼玉のなまずパイと同様むつごろうは入っていませ…えっ!?入ってる!??
どんな味か気になる気になる……

私の出身地【静岡】はうなぎパイとしらすパイが展示されていました。
やっぱりうなぎパイの存在感が違いすぎる。

とってもおもしろい展示でした。
その地域の様々なものが見れて、パイの購入もできちゃいます。
ぜひぜひお気に入りのパイを見つけてみてください。



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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美 (その2)

2014-07-24 21:30:00 | 美術
見てきました

世田谷美術館

会期は2014年6月28日から2014年9月15日。

今年注目の展示でしょう!!
ボストン美術館が所蔵する「ラ・ジャポネーズ」の修復後世界初公開。
19世紀後半から20世紀初頭、西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行。
大胆な構図、鮮やかな色彩は、西洋の美意識に根本的な革命をもたらし、ジャポニスムが生まれました。
今回はボストン美術館所蔵の絵画、写真、工芸など約150点の展示。
西洋の芸術家たちが、日本の美術からどのようなものを受け、新たな美を創造したのかを見ていく展示となります。

2回に分けて書いていきます。
第1章から第3章を「その1
第4章から第5章を「その2」
今日は「その2」です。
(「その1」はこちら→「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美 (その1)」)

《4.自然》
浮世絵でも多くみられる自然。
これら日本美術からの影響により自然界を参照したモティーフや様式の採用は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて興ったいくつかの主な西洋美術の動向を特徴づけるものでもありました。
特に、応用美術や版画、ポスター・デザイン、そして写真といった新しい分野において、その傾向が見られます。
唯美主義の装飾性、アーツ&クラフト運動では身近な品々へ独創的な形象を。
特にアール・ヌーヴォーでは自然から派生した図像の抽象表現に価値を見出していきました。

一雲斎秀氏「蛸に貝図鐔」
金・銀・赤銅などを薄肉彫と据文像嵌によって波とタコと貝を表しています。
タコのくねっとした感じがなかなか生々しい。。
長い足(腕!?)は裏面にまでつながっています。

ゴーハム社「茶入れ」
小さな茶入れ。
表面に施された細工が面白い。
立体で実の付いた茄子。
そこに蝶やコオロギが寄ってきているのです、。
蓋には小さな蛙。
精巧です。

チャールズ・キャリル・コールマン「つつじと林檎の花のある静物」
チャールズ・キャリル・コールマンは唯美主義の画家。
縦に長い掛け軸のような大きさのカンヴァスに描かれたのは東洋陶磁に活けられたつつじと林檎の花。
すっと背の高いつつじと林檎の花が気品に溢れていてとにかく美しい。
背景の丸紋も似合っています。

三代歌川広重「『百猫画譜』より9図」
猫はさまざまな浮世絵に描かれてきました。
この作品は1878(明治11)年に刊行された画文集「百猫画譜」から9図の挿絵頁のみを抜きだし、スクラップ状にしたもの。
猫の様々な形態が描かれています。

エドゥアール・マネ「猫の逢引」
フランスの美術批評家、シャンフルーリの「猫」という書籍のための広告ポスターとして描かれたもの。
手前に猫が2匹。
白猫と黒猫。
その後ろには屋根と煙突が続いていきます。
猫が影もなく平面的です。

歌川国貞「虎」
身をかがめてうなっているかのような体勢の虎。
鋭いつめと牙をたて、躍動感あります。

ポール=エリー・ランソン「密林の虎」
上の国貞の虎を反転させたかのような構図。
アイリスと草木が踊る背景が異国情緒を感じさせます。
虎はアジアを生息地としてヨーロッパには存在しません。
この動物を描くときに参考となったのはこういった浮世絵たちでした。

歌川広重「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」
よく見る「名所江戸百景」
その中でも最も奇想でもっとも謎深いとされている作品。
暗い空からは雪が落ち、鷲が空を覆うように翼を広げています。
その眼下には雪景色。
筑波山が遠くに見え、江戸湾の青が美しい。
気になるのは江戸湾に浮かんでいる桶のようなもの……
深川は江戸時代に埋め立てられて発展した場所。
ですが、そのはずれの洲崎は度々水害に襲われたために人が住めるような場所ではなく、荒涼たる風景が広がっていたそう。
なぜ「名所江戸百景」でそのような場所を描いたのか。
なぜ桶?が浮かんでいるのか。
見れば見るほど面白い作品なのです。

フランク・ウェストン・ベンソン「早朝」
横に長い画面。
水面間際に連なって飛ぶ鳥たちが早朝の光を受けています。
この作品、元は円山応挙の屏風に着想を得ているのでは、とのこと。
構図や連なる鳥、黄金色を基調とした画面など共通点がみられるのだそう。
浮世絵だけではなくて、応挙なども海外に知られていたんですね。

作者不明、日本「型紙 寄せ模様」
型紙とは友禅、ゆかたなどの柄や文様の原版。
様々な文様を集めたものです。
桜や格子模様などとてもおしゃれで素敵です。

ペーター・ベーレンス「睡蓮に蝶」
楕円の中に睡蓮と蝶が描かれています。
中央に白い睡蓮の花。
その周りを睡蓮の葉が取り囲み、蝶が左右対称に2匹配されています。
さらにその周りは水面を漂うあやめの葉に囲まれています。
優美な印象です。

ジスベール・コンバズ ディートリッヒ社「12枚組ポストカード〈四大元素〉より《空気》、《水》、《水》、《火》」
ベルギーの出版社が企画したポストカードのセット。
《空気》は蝶、《水》は滝登りの鯉、もう一つの《水》は高波と月。
《火》は噴火する富士山。
装飾的でとてもおしゃれ。

フランク・ウェストン・ベンソン「銀屏風」
テーブルを覆うのは東洋風の刺繍が施された布。
右側にある壺は中国っぽい印象も。
ガラス皿いっぱいの果物も置かれています。
その後ろには銀屏風。
この銀色がこの作品の色彩を支配しています。

アンリ・マティス「花瓶の花」
とても平面的で不思議な作品。
室内のテーブルの上に置かれた花瓶を描いているのですが、背景と一体となっているかのよう。
花瓶の載せられた小さなテーブルはかろうじて奥行きを感じますが、後ろの窓、壁紙などは一体となっているかのよう。

喜多川歌麿「潮干のつと」
36種類の貝とそれに対応する狂歌を集めた彩色摺絵入りの狂歌本。
上には狂歌、下には様々な貝が描かれています。
様々な貝が描かれたもの。
繊細でとてもきれい。
こういったものも描けるんだなぁ、と。

ジェームズ・アンソール「貝殻のある静物」
東洋風のせんす。
着物の女性描いたカップ。
そして貝殻。
ジェームズ・アンソールの両親は雑貨屋を営んでいました。
そこでは貝殻とともに東洋の工芸品が売られていたため、アンソールにとって身近なものだったのかもしれません。
淡い色彩で優しく描かれています。

ステューベン・ガラス工房 フレデリック・C.カーダー「ブルー・オリーン扇形花瓶」
扇の形をした花瓶。
青い色で、まるで流れる水のよう。
抽象化された蔦と葉のモティーフによる装飾が美しさを増しています。

《5.風景》
自然やその移ろいの中に美を見出す日本人の感覚に魅了されていた西洋の美術家たちに、風景表現における日本の色彩感覚、遠近法、そして光へのアプローチなどは、さらなる発展性を力強く提示するものでした。
ヨーロッパでは形態に合理的な立体感をもたらすために陰影を加えますが、これに対して日本人は色彩の対比を用いたり、形象を反復したり、たとえば富士山など象徴的な場所を描写する際に主要なモティーフとことさらに強調するなどして風景に命を吹き込んでいました。
こうした手法の多くは西洋美術にも取り込まれていくこととなります。

フェリックス・H.ビュオ「かもめのいる港」
ビュオは19世紀後期のフランスにおけるもっとも独創的な版画家の一人。
描かれているのは漁師やボート、かもめで賑わう港の景色。
目を引くのは版の余白。
ここにも船やかもめ、貝などが描かれています。
主体となる画面の完成後、余白に後から別の版を刷り入れているのだそう。
ちょっと幻想的です。

アンリ・ゲラール「日没、オンフルール」
黄色っぽい紙に描かれいてるのはシルエットで表現された船。
水面の動きの表現も素晴らしいです。
陽を描かず、色彩も使わずに、夕日が表現されているとはっきりわかります。

ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー「ノクターン」
とても素敵な作品です。
ホイッスラーはジャポニスムを代表するアメリカの画家。
幼少期から父の仕事の関係でサンクトペテルブルグ、ロンドン、ブリストルと外国で育ちます。
1859年に本拠地をパリからロンドンに移してもパリ、ヴェネチアに滞在しました。
日本美術との出会いは60年代と思われます。
展示作品ではないのですが、広重の「名所江戸百景」から想を得たと思われる作品も多数残っています。
この作品はシルエットで描かれた世界。
川には船が浮かび人が一人。
奥には陸地、、建物の影が描かれています。
そこからほんのりもれる明かりも素敵。

ウィリアム・エドワード・ノートン「夜」
霧深い夜の港に停泊する船。
水面には明るい月が反射しています。
ただ、上空にある月自体は描かれておらず、その反射した光から感じ取るのです。
暗い大きな影となった船からはところどころ明かりが漏れ、人の存在を感じます。
幻想的でとても素敵な作品。

ハーマン・ダドリー・マーフィー「アドリア海」
真っ青な海がとても美しい作品。
遠くのほうに小さく船が見えます。
水平線はちょっと曖昧。
あるのは空と海というシンプルさですが、そこがかえって新鮮です。

アーサー・ウェズリー・ダウ「沼地風景」
ここから数点写真です。
写真とジャポニスムとは、となりますが、前衛写真家たちは風景をもっとも主要な題材とした芸術家たち。
ホイッスラーの解釈を通じてジャポニスムを享受していました。
特に浮世絵の大胆な構図が取り入れられたそうです。
この作品は一面沼地を捉えた写真。
静寂が漂います。
青で仕上げられ、浮世絵のベロ藍を連想させます。

アン・W.ブリグマン「聖地」
雄大です。
崖に立つ女性をさらにその上から、まるで鳥の視点からのような作品。

エドワード・ウェストン「花」
写っているのは桜の花。
かわいいくって、ほっこりします。

チャールズ・ハーバート・ウッドベリー「フロリダ海岸沖」
ここからまた絵画です。
描かれているのは波と空のみ。
大きなうねりで勢いがあります。
水の色の変化もきれいに表現されています。

ポール・シニャック「サン=カの港」
点描で描かれているのは砂浜と海、船。
左に大きな空間があり、右には岩肌を覗かせる岬。
これらが形態として単純化されているため、平坦な印象を与えます。

エドヴァルド・ムンク「夏の夜の夢(声)」
連作「生命のフリーズ」の1作。
水面には月の光が長く映りこんでいます。
砂浜には木々のまばらな林があって、白い服の女性が1人こちらを見ています。
少し幽霊なんじゃないかという気もする。。
垂直に立つ木々が妙なリズムを生み出しています。

クロード・モネ「トルーヴィルの海岸」
トルーヴィルの海岸はリゾート地として有名でしばしば描かれた場所ですが、この作品は海岸というよりも海の見える草原といった印象。
真ん中には強い海風に耐えているのか傾いた木。
モネはしばしばその膨大な浮世絵コレクションの中から特定の作品を参照して制作を行ったのだそう。
この作品と構図のとり方が似ている作品が、歌川広重「東海道五拾三次之内 四日市 三重川」
強い風に木はしなり、旅人の笠が飛ばされてしまい必死に追いかけている様子が描かれているものです。
確かに中央に木を持ってきたり、またその木も似たような形で傾いています。

146クロード・モネ「積みわら(日没)」
このあたりの作品は浮世絵と一緒に展示され、その影響を見ることができます。
うーん、これは違うんじゃ、、、といった作品もありますが。。
日本人にはジャポニスムの影響とは思えない作品も西洋の人にはそう見えるのでしょうか。
西洋の人が日本の真似をしても「どこか変」と私たち日本人が感じるように、西洋の人たちもこれらの作品の微妙な違いを感じていたのかな。
それがジャポニスムなのかな、と思いました。
この作品は歌川広重の「東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶店」の影響がみられるのだそう。
ちょっと、、びっくり。
鞠子といえばとろろ汁。
旅人が茶店でかっ込む姿が描かれたもの。
この作品は画面右側に大きな積み藁。
茶店の茅葺屋根のかたちと似ているといえば似ています。
夕焼けに染まる空、積み藁の影。
モネの光がいっぱいの作品。

クロード・モネ「睡蓮の池」「睡蓮」
最後です。
やっぱりモネといえばこの作品。
睡蓮の池は太鼓橋、睡蓮は睡蓮の花が咲く池を描いたもの。
その水面は限りなく広がっていくかのような印象を与えます。
水面に移りこむ木々の影など繊細でその力量に感嘆もれる作品。

とても楽しい展示でした。
私好みも多かったし、新しく好きな作家も見つけたりして、収穫の多いものでした。

世田谷美術館、東急田園都市線の用賀駅で下車、徒歩15~20分というアクセスがネックでしたが、この会期中は用賀駅と美術館を結ぶバスが出ています。
100円ですし、直行便でとっても便利!!
暑いけど汗かかずに美術館まで行けちゃいます。
とてもとてもおすすめの展示です。



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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美 (その1)

2014-07-23 21:30:00 | 美術
見てきました

世田谷美術館

会期は2014年6月28日から2014年9月15日。

今年注目の展示でしょう!!
ボストン美術館が所蔵する「ラ・ジャポネーズ」の修復後世界初公開。
19世紀後半から20世紀初頭、西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行。
大胆な構図、鮮やかな色彩は、西洋の美意識に根本的な革命をもたらし、ジャポニスムが生まれました。
今回はボストン美術館所蔵の絵画、写真、工芸など約150点の展示。
西洋の芸術家たちが、日本の美術からどのようなものを受け、新たな美を創造したのかを見ていく展示となります。

いや~、楽しみにしていましたとも!!

「来年お会いしましょう」
からチラシを大切に集めていたさ。笑
うきうきで行ってきました!!

2回に分けて書いていきます。
第1章から第3章を「その1」
第4章から第5章を「その2」
今日は「その1」です。

《1.日本趣味》
"ジャポニスム"
西洋諸国において日本への関心、日本の物品の収集、そして西洋美術における日本的な題材や様式の探求
これらを表す言葉として使用されました。
1850年代に日本との貿易が開始されたことにともない、多くの西洋人たちは美術や工芸品を通して、この島国を知ることとなりました。
やがて1870年代までには、"日本"に触れる機会が生み出されました。
日本の品物を扱う専門店や万国博覧会、そしてボストン美術館が開催し強い影響を及ぼすこととなった展示などです。
それは遠く離れた日本に対する人々の関心と急速に広まりつつあった好みに答えるものでした。
歌川広重、葛飾北斎らの浮世絵はその大胆な構図、描写力が新しい手法を模索していた当時の画家たちを強く引きつけました。
また陶芸、七宝、蒔絵などはデザイナーたちの関心の的となります。
それら日本文化の影響はすぐさま西洋美術の表現に見出されるようになりました。

歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
何度も見ているものだし、何度もこのブログで取り上げている作品。
雨の中、身をかがめて急ぐ人が描かれています。
雨は細い線で表現され、強く降っていることがわかります。
広重は欧米のコレクターたちの間で最も人気のある浮世絵師の一人。
フィンセント・ファン・ゴッホも広重の浮世絵を収集していて、この作品を所有。
また模写もしています。
ゴッホは生活が苦しいなかでもコレクションをしていて、死後、手元に残されていた浮世絵は480枚ほど。
すごい。。。

歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」
吉原遊郭の二階と思われる場所から外を見るネコ。
木格子ごしに見えるのは夕暮れの空と富士山。
行列の人々。
ゴッホは480枚ものコレクションがあったと先ほど書きましたが、それに並ぶのかクロード・モネ。
300点近い浮世絵はジヴェルニーのモネ邸を飾り、没後はクロード・モネ美術館となって公開されています。
なお、モネは先ほどの「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」も所有していました。

平田就亮「虫図七宝鐔」
刀の鐔。
七宝で舞う蝶や蜻蛉が施されています。
繊細で色の組み合わせも美しい。
蜻蛉はその表情もかわいらしいです。

ブシュロン社 デザイン:ポール・ルグラン「インクスタンド」
日本風モティーフを組み合わせたインクスタンド。
浮世絵や漆工芸、型紙などから引用した図案が施されています。
富士山っぽいもなや女性像、自然風景などがぎっしり。
また、狛犬らしきものがいたり、インクスタンド全体を4匹の亀が支えていたりと見所たっぷり。

伝小川破笠「棕櫚意匠料紙箱」
非対称の棕櫚の文様を、蓋上部から箱の側面へとつながるようにのばしたデザイン。
今見てもおしゃれ。
19世紀の末、アメリカ人画家でステンドグラス作家でもあったジョン・ラファージによって購入されました。
そして1908年、オークションに出品され、ボストン美術館のために岡倉天心が落札しました。

ジュール・フェルディナン・ジャックマール「ファミーユ・アルカイク、日本の磁器(『美術・商工業磁器史』図版1原画)」
柿右衛門を模写したもの。
皿とコップ、水差しが描かれています。
柿右衛門はヨーロッパに大量にもたらされ模した食器もたくさん作られました。
ジャポニスムへの熱狂が伝わってきます。

ウェッジウッド社「クイーンズウェア・プレート一対」
一対のお皿。
当時、ヨーロッパの窯では日本的モティーフをあしらったテーブルウェアをこぞって制作しましたが、このお皿は歌川国員の浮世絵を忠実に写したもの。
皿のふちには紅葉まで描かれています。
日本より日本的なのでは、とも思う。

ジョン・イリングワース・ケイ(またはアーサー・シルヴァー)帰属、シルヴァー・スタジオ「家具用ファブリック」
蓮の花に松、富士山、月。
日本の風景表現を応用したビロード生地。
とてもおしゃれで素敵。
神秘的な感じもします。

ルイ・デュムーラン「京都の鯉のぼり、端午の節句」
京都四条の通りが描かれています。
空には鯉のぼりが悠々と。
ルイ・デュムーランは日本に旅行した経験も、ありますが、この作品はイタリア人写真家、アドルフォ・ファルサリの写真に着想を得たもの。
描かれた風景は写真そっくりですが、写真には鯉のぼりはありません。
この作品の隣には、歌川広重の「名所江戸百景 水道橋駿河台」が展示されていましたが、こういった作品が参考にされたのでしょう。
日本の景色を描くうえで鯉のぼりのような日本的なものが重視されていたことが伺えます。

ヘンリー・ロデリック・ニューマン「日光東照宮外壁」
日光東照宮の外壁を写したもの。
石の質感、木彫の質感まで伝わってきます。
色彩も美しいし、細部まで丁寧に描かれています。
ヘンリー・ロデリック・ニューマンはアメリカの水彩画家。
彼が日本を訪れたとき1897年までには、日光東照宮は重要な観光地として確立していたのだそう。

《2.女性》
20世紀、女性の社会進出が、より活発となり、芸術運動のなかでも存在感を増していきます。
当初、日本趣味は輸入ものの絹製品を身につけ、珍しい品々を買い求めて室内を飾りつけした女性たちの存在と密接に関わり合うものでした。
着物を原型としたドレスや日本的要素を取り入れたデザインが流行します。
こうした衣服を身につけた女性を描くことも。
当時、日本文化は"女性的なもの"ととらえられていたそうです。
それはオペラなどで知られるお菊さんや蝶々夫人といった存在から日本を夢想していたため。
浮世絵の題材としても、美人画など女性に溢れていました。
ここでは、華やかな花魁、母親、娘たち。
様々な女性が展示されています。

溪斎英泉「鯉の滝登り打掛の花魁」
ベロ藍が目にも鮮やかな作品。
こちらに背を向け立つ遊女の打掛には今にも動き出しそうな鯉の図。
あでやかです。

アルフレッド・ステヴァンス「瞑想」
アルフレッド・ステヴァンスは初期ジャポニスムの画家。
緑の花模様の着物を着た女性が描かれいています。
物憂げな表情が美しい作品。

エドマンド・チャールズ・ターベル「夢想(キャサリン・フィン)」
白い服の女性が物思いにふけるかのような表情。
後ろに屏風らしきものがあるけど、これがジャポニスムってことかな。

喜多川歌麿「母子図 たらい遊」
木だらいに水を入れ、魚のおもちゃで遊ぶ子ども。
後ろには母親がいて子どもを支えています。
かわいらしい。

メアリー・スティーヴンソン・カサット「湯浴び」
喜多川歌麿「母子図 たらい遊」の隣にあったもの。
構図は反転していますが、とても似ています。
裸の子どもを抱えて湯に手を入れている母親。
子を思う母の気持ちなどは日本だろうと西洋だろうと通じるものなのでしょう。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「『レスタンプ・オリジナル』第1年次のための表紙」
この作品は三菱一号館美術館で開催された「ロートレック展」でも見ています。
ロートレックの作品への日本の版画の影響は周知のこと。
ロートレックが着物を着ておどけた表情でいる写真もあるぐらい。
『レスタンプ・オリジナル』は出版家アンドレ・マルティが当時の芸術家に依頼してつくった版画集。
その表紙がこの作品。
印刷所の風景です。

ジェームズ・ジャック・ジョゼフ・ティソ「新聞」
モノクロのエッチング。
羽のついた帽子かぶり新聞読む婦人。
ちょっと冷たい印象がありますが、とても美しい。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「花飾りのある帽子」
1892年の油彩をもとにしたカラー・リトグラフ。
帽子をかぶった2人の少女が描かれています。
黒髪の少女が小さな少女の帽子に花をつけてあげています。
その柔らかく優しい色彩と表情になごみます。

ポール・ゴーギャン「『ヴォルピーニ連作』より《ブルターニュの楽しみ》」
この作品のどこに日本的要素が?と一瞬迷います。
描かれているのは2人の農婦。
枠の外に犬2匹。
そして平坦化された構図。
これこそが浮世絵の影響なのでしょう。

礒田湖龍斎「雪中美人」
雪の中、傘をさして歩く女性。
傘には雪が積もっています。
しんしんと、静けさが伝わってきます。

ヘレン・ハイド「赤子を背負う母と男児」
縦長の画面に描かれたのは、柳の木の下にいるのは赤ちゃんを背負った母親と男の子。
とても日本的。
横浜美術館で開催された「魅惑のニッポン木版画」でも彼女の作品を見ています。
この作品と同じく、母と子を扱ったもの。
優しい眼差しを感じます。

歌川国貞(三代豊国)・歌川広重「当盛十花撰 夏菊(二代目沢村訥升、初代沢村由次郎)」
暗い背景に大きな菊が鮮やか。
これは菊の花を花火に見たてたもの。
その色彩感覚が素敵。

フィンセント・ファン・ゴッホ「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」
椅子に座った女性が描かれています。
背景には菊の花模様。
女性の顔など丁寧に描き込まれていますが、背景もしっかりと描かれています。
女性の服などは強い色彩なのですが、柔らかく見えるのはこの背景のおかげなのかも。。

エミール・ベルナール「画家の祖母」
自身の祖母を描いたもの。
この作品を描く少し前にゴッホが企画した浮世絵展を見ていたベルナール。
この作品に見られる単純化などは浮世絵の影響でしょうか。
描かれている祖母は非常に現代的な女性でベルナールが画面になることを両親に反対された際に支えた人物なんだそう。
自身で洗濯屋を経営し、孫のためにアトリエを建ててやりました。
かっこいいぞ!!

ババーニ社「女性用着物、または室内着」
19世紀後半、ジャポニスムは西洋のファッションにも影響を与えました。
ゆったりと身を包むように羽織る衣装は東洋趣味のティー・ガウンやネグリジェとして流行。
"ル・ジャポン"、"ル・キモノ"などと呼ばれました。
東洋風の品々や衣装、香水などを広めるのに一役買ったのがバニーニ社。
友禅染が鮮やかな紫色の振袖。
多色の絹糸、金糸で桜や松、藤などが刺繍されています。
素晴らしいです。

クロード・モネ「ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)」
大きい。
思っていたよりもかなり大きくてびっくりしました。
等身大だそう。
モネといえばジャポニスムの画家として名前が出てきますが、この作品は直接的ジャポニスム唯一の作品。
妻のカミーユ・モネがモデルです。
カミーユはもともと黒褐色の髪でしたが、ここではブロンドのかつらをつけ、鮮やかな緋色の着物をまとい、振り返るようにこちらを見ています。
壁と床には団扇が貼られ、床には茣蓙が敷かれています。
着物の裾には刀を手にした武士の刺繍が施されています。
デザインは能の紅葉狩から、と思われます。
とすると、美女の正体に気づいて刀を抜いた瞬間かな。
金糸の刺繍の豪華さが伝わってきます。
これを表現するのは大変でしょう。
モネの力量と観察眼に驚かされます。

《3.シティ・ライフ》
19世紀後半、ヨーロッパ諸国の都市は大規模な変貌を遂げます。
建築様式の変革、産業革命などがあり、新しい都市文化が生まれました。
江戸の大相撲、パリのシャンソン・カフェ……。
都会のエンターテイメントや街角の光景は、洋の東西を超えて画家たちの格好のテーマとなりました。

歌川国貞(三代豊国)「勧進大相撲興行之図」
歌舞伎と並び、江戸庶民の娯楽性として愛されたい相撲。
透視遠近法で描かれ、壮観です。
観客席はぎっしり埋まり、満員御礼です。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「騎手」
フランスにおいて、上流階級のスポーツであった乗馬。
市民の娯楽として競馬が人気を得るようにぬるのは19世紀半ば。
走りゆく馬を後ろから描いた作品。
躍動感あります。

楊洲周延「上野不忍共同競馬会社開業式之図」
日本では馬を競わせる“競馬”が奈良時代から神事として行われていました。
洋式競馬は開国後に居留地に住んだ外国人が横浜で行ったのが始まりとされています。
この作品に描かれているのは日本初の競馬会社・共同経営会社が1884(明治17)年に開催した、上野の不忍池での競馬会。
明治天皇も隣席されたそう。
明治の浮世絵を代表する赤色が印象的。
文明開化の雰囲気です。
空には祝賀の花火も打ち上がり、中に仕掛けられたものがふわふわ浮いています。
タコや牛、魚など。。
こうゆう花火があるんだなぁと知るとともに。
傘を差した洋装の女性もふわふわ浮いています。
彼女は、、、メリー・ポピンズ!?

ジョン・エドガー・プラット「ジャイアント・ストライド」
なんかすごい。
ジャイアント・ストライドとは回転式遊具。
それで遊ぶ子供たちが、描かれていますを
浜辺でくるくる回るジャイアント・ストライドで遊ぶ子供たちは楽しそう。
色彩も明るく面白い作品。

エドガー・ドガ「カフェ・アンバサドゥールのベカ嬢」
カフェ・アンバサドゥールは、パリ随一の人気シャンソン喫茶でマドモワゼル・ベカは人気歌手。
彼女を真ん中から少し左側に配した構図やはっきりとした明暗表現は浮世絵からかな。
影絵みたいで幻想的。
とても素敵です。

フェリックス・エドゥアール・ヴァロットン「版画集『息づく街、パリ』より《にわか雨》」
突然降り出した雨に駆け出す人々。
はっきりとした表現もヴァロットンらしくて。
おしゃれで素敵な作品。

ジョン・スローン「春の花」
花をたくさん積んだ花売りの馬車が雨に濡れた道を行きます。
他にも傘さす婦人が道を歩いています。
色彩も構図もとても素敵。
斜め上から見下ろすような構図ですが、これは画家のアパートから見た光景なんだそう。
ジョン・スローンは、20世紀初頭のニューヨークの生活を多く描いたアメリカの画家。
都会の生活や労働者などを描きました。

以上、「その1」になります。
とても面白い作品だらけ。
有名どころもそうではないものもその力量の高さには驚きです。
「その2」では風景画や工芸品なども登場し、ジャポニスムの広がりを感じることができます。



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橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き (その2)

2014-07-19 21:30:00 | 美術
見てきました

国立西洋美術館

会期は2014年7月8日から2014年9月15日。

指輪を中心とする宝飾品約870点からなる「橋本コレクション」
国立西洋美術館に寄贈されたことを記念する企画です。
約330点の指輪が公開される本展示。
とても多いため2つに分けて書いています。
その1」は昨日書いたので、今日は「その2」です。
(記事はこちら→「橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き (その1)」)

《5.死と婚礼》
236「髑髏とメメント・モリ」
18世紀・おそらくイギリス
"メメント・モリ"は"死を思い出せ"という意味。
こういった人生の節目においても指輪は欠かせないものでした。

220「ギメル・リング」
17世紀
ギメル・リングとは抱き合わせると一つの指輪になるもの。
16~17世紀の中世ヨーロッパで結婚指輪として用いられはじめたのだそう。
これも重ね合わせるとハート。
開くと骸骨が見えます。
結婚して死ぬまで一緒にいることを誓うロマンティックな指輪。

223「ポージー・リング」
17世紀・イギリス
ポージーリングとは、短い詩や愛の言葉やメッセージをリングの表面や内側に刻んだ指輪のこと。
見た目はシンプルですが、"私たち二人の手と心は死ぬまで固い絆で結ばれている"とのメッセージが刻まれています。
こちらもロマンティック。

231「永遠の指輪」
19世紀前期
キーパーリング、ガードリングと呼ばれるもので、結婚指輪を守る目的のもの。
これは今日ではエタニティリングとなっているのだそう。
うーん、面白い。。。

238「エドワード4世の遺髪が納められた指輪」
1789年・イギリス
なんとこの指輪、髪の毛が入っています。
髪の毛の主、エドワード4世はイングランド国王。
薔薇戦争の第一次内乱に勝利したことにより、ヨーク朝をひらきました。
長くなるのでここまで。
そのエドワード4世はウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂に埋葬されました。
が、約300年後の18世紀末。
床の新装工事で墓が発見されました。
その際、亡骸に残る長い髪が持ち出され、指輪の中に入れられたのです。
明るい茶色のきれいな髪。
きれいに束ねられ、ガラス越しに見えます。
なんだか不思議。
有名人は亡くなった後も大変なんですね。

241「哀悼の指輪」
1741年・イギリス
黒いエナメルに金色の骸骨とちょっと派手な印象も与える指輪。
内側には故人の名前と命日が刻まれています。

《6.絵と指輪》
244「チャールズ1世のミニアチュール」
17世紀、マウントは後期・イギリス
チャールズ1世はイングランド国王。
絶対主義と議会派議員の対立からイングランド内戦となり、捕らわれ処刑されてしまいます。
この行為を無分別とみなした人々が国王を偲んでつけたもの。
指輪は歴史も語るのです。。

254「象牙で細工された庭先の風景」
1770年頃・おそらくフランス
これすごい。
2cm程度の指輪の中に象牙で庭先の風景が表現されているのです。
立体感もあって、どうやっているのか不思議。

247ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「愛の杯」
ここでは指輪にまつわる絵画も展示されていました。
ハートをあしらった杯を持つ赤い服の女性。
背景の壁の模様、蔦の葉が装飾的で作品にリズムを生み出しています。
左手にはきらりと金の指輪が。

250エドモン=フランソワ・アマン=ジャン「日本婦人の肖像(黒木婦人)」
国立西洋美術館のコレクションの核となる松方コレクション。
描かれている黒木婦人とは松方幸次郎の姪にあたる竹子。
彼女は、日露戦争で軍功のあった陸軍大将黒木為伯爵の継子、黒木三次に嫁ぎます。
黒木夫妻は、1919年から3年ほどパリに滞在。
その際にモネやこの作品の作者アマン=ジャンと親交を持ちました。
特にモネには気に入られ、ジヴェルニーの画家の家もたびたび訪れており、幸次郎をモネに紹介したのも彼らといわれています。
この訪問によって、幸次郎は一度に16点のモネ作品を買い取ったそう。
重要な人物なんですね。
着物姿で佇む婦人。
左手の薬指にシルバーの指輪が光ります。

248グイド・レーニ「ルクレティア」
裸でシーツの上に座る女性。
視線は画面右上に向き、どこか悲しげな思いつめたような切ない表情。
ナイフを手にする右手には金色の指輪。
ルクレティアは、ローマ史に登場する女性で、タルクィニウス・コッラーティヌスの妻。
ローマ王の息子セクトゥス・タルクィニウスによる陵辱を恥じとして、短剣で胸を突いて自殺しました。
この絵は自殺直前というところでしょうか。
この事件はローマが共和制に移行するきっかけとなりました。

249ピエール=オーギュスト・ルノワール「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」
ルノワール初期の代表作。
縦長の構図で、登場人物の衣服、装飾品、室内の様子などエキゾチックな印象。
中央の女性が左手中指に指輪をしていますが、それ以外の装飾品が多く指輪だけに注目することは普段ないだろうな。。。

263「ローマの名所が連なるブレスレット」
1660年頃・イタリア
コロッセオ、サンピエトロ広場などグランドツアーの影響が見える作品。
装飾用というよりも、思い出とか飾り、なんでしょうか。

261リチャード・ウィルソン「ティヴォリの風景(カプリッチョ)」
"カプリッチョ"とは奇想画と呼ばれ、実在するものと空想上のものを組み合わせた都市風景画を意味しました。
前景にはヴィア・アッピア・ヌオーヴァにある古代の英雄ホラティウス兄弟の墓。
反対側にはおそらくヴィラ・メディチの彫像に基づく女性像、中景にはマエケナスの別荘が配され、古代ローマの栄華が追想されているとのこと。
ぼんやりと明るい空がなんとなくいいなぁ、と感じさせます。

《7.モードと指輪》
271「ルイ16世のシルエット」
18世紀後期・フランス
ルイ16世とマリー・アントワネットと動くとされるフランス国内にとどまる支持者と国外亡命した支持者がつけていたもの。
"反乱を促す肖像"の刻まれた指輪は忠誠心を示すものでした。
お揃いをつけて意思を表示する。
指輪っていろいろな使われ方をしていますね。

268マリー=ガブリエル・カペ「自画像」
カぺ嬢がいたよ!!
今日もお美しい。
この章では当時の代表的なドレスやそれを描いた絵画などと一緒に指輪が展示されています。
18世紀のフランスは女性が社会で活躍し始めた時代でしたが、それは美術界も同じ。
18世紀の末にエリザベート・ヴィジェ=ルブラン、アデライード・ラビーユ=ギアールという二人の傑出した画家が女性として初めて王立絵画・彫刻アカデミーの会員となりました。
このことを皮切りに、女性芸術家が増えていきます。
カぺはこうした新進女性画家のひとり。
この自画像は画家22歳のとき。
青いサテンのドレスという当時の流行の衣装に身を包み、チョークを片手にこちらを見ています。
ちょっと見下したように感じる視線がたまらないよね。
とにかく美しい。

284「気付け薬入れがつながれた指輪」
1820-40年・スイス
エナメルに植物文様の薬入れがつながれた指輪。
コレラなどの病から守るため、香水や香りの強い香料をいつでもどこでも使えるようにした容器。
これは実用的なお守り、みたいなかんじでしょうか。

289ウジェーヌ・ブーダン「トルーヴィルの浜」
浜に憩う人々を描いた作品。
今の時代では考えられないようなドレスで浜辺に行くんですね。
砂が付いちゃう……
ですが人物より空の広さ・青さのほうが目に付く作品です。

295ポール・ポワレ「イブニング・ドレス」
20世紀初頭に活躍した"ファッションの王様"とも呼ばれるデザイナー。
女性のウェストを締めつけてきたコルセットのないドレスを提案。
これはファッション史上最も画期的な発表の一つと言われています。
ここに展示されているドレスはランプシェード型のドレス。
1935年最後のコレクションのために再制作されたもの。
前衛的です。

297ジョルジュ・ルパープ「『ジョルジュ・ルパープの見たポール・ポワレの作品』より図版10」
練馬区立美術館で見た「モダン・パリの装い ファッション・プレート」展でルパープの作品を見ています。
このように実物のドレスとスケッチが一緒に展示されていると分かりやすいし、時代も意識しやすい。
あの展示と同じ年代なんだな~って、思い出せる。
見ていて思うことはお洒落で華やかな時代だなってこと。
そういった美しいものにパワーを感じます。

301マリアノ・フォルチュニィ「「デルフォス」ドレス」
マリアノ・フォルチュニィは、絵画・彫刻・写真・ 舞台芸術など、多くの分野に渡って活躍した芸術家。
このドレスは代表作でもあります。
古代ギリシャをヒントにしたそうで、細かいプリーツの施されたドレスとなっています。
これは今着てもおしゃれだなぁ。

306「ココの指輪」
1990年代・フランス
ココはココ・シャネルのこと。
シャネルが愛したふたつの「バーグ・ココ(ココの指輪)」
そのうちの一つ。
こうゆう思い入れのあるものも素敵ですね。

《8.指輪あれこれ》
339「トラベルト&ホッファー・モーブッサンのカクテル・リング」
1940年代頃・アメリカ
これはすごく素敵でした。
赤に緑、青、ピンク、黄緑、黄色……
様々な色の石がついていて、まるで花束見たい。
華やかでした。

321「カメラが隠された指輪」
1950年頃・ロシア
1950年代にロシアのスパイが使っていたもの。
フィルム1本につき4mm四方のネガ8枚、撮影できるのだそう。
なんか時代とお国柄を感じさせます。。。

319「セイコー製時計付きリング」
1960年頃・日本
セイコーもおもしろいものをつくっていました。
指輪に時計。
小さい……
実用的か否かは私には判断できかねますが。
こうゆう作品もたまにはいいよね。

326「アメリカ陸軍空挺部隊のバッジが付いたポイズン・リング」
1940年頃・アメリカ
これは名前の通り。
自害用の毒を携帯していたのです。
処刑や捕虜になる前に死ね、ということ。
1940年代といえば第二次世界大戦、そして冷戦。
様々なことが起こったとき。
実際に使われることがないのが一番いいのでしょうが……。

330「とぐろを巻いた蛇の指輪」
紀元前2-1世紀・ヘレニズム文化圏
とぐろを巻いた蛇のデザインってエキゾチックでなんだか惹かれるものがあります。
これは細くてシンプルなもの。
輝かしい時代が偲ばれます。

348ジョルジュ・ブラック「魔法使いキルケー」
1961年・フランス
キュビズムの画家、ブラックもこういったものを手がけていました。
何がいいって、名前がいい。笑

341ウェンディ・ラムショウ「メジャー」
1995年・イギリス
これはもう指輪ではなくてオブジェですよね!?
という作品。
大きいし、フープも見えなかったし……
こういったものもあるよ、ってことかな。

以上になります。
物が小さいうえにガラスケースに入っているので、混雑すると見るのが大変になりそうです。
会期末は混雑が予想されますので、気になる方はお早めに。



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橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き (その1)

2014-07-18 21:30:00 | 美術
見てきました

国立西洋美術館

会期は2014年7月8日から2014年9月15日。

今回は指輪。
指輪を中心とする宝飾品約870点からなる"橋本コレクション"が国立西洋美術館に寄贈されたことを記念する企画。
2012年にこのコレクションを収蔵して以来、初のお披露目です。
橋本貫志氏(1924-)が収集した760点あまりの指輪は、年代や素材に偏りがなく、極めて広範な内容を持っているのだそう。
この展示では約300点の指輪を一挙に公開。
橋本コレクションの個性豊かな顔ぶれが見れちゃうということで楽しみに行ってきました。

今回、かなりの量なので2回に分けて書いていきます。
今日は「その1」です。

《1.指輪の4000年》
1「スカラベ」
紀元前1991-1650年頃・エジプト
薄い紫色のキレイな石のついた指輪。
なんとこの石、フンコロガシがモチーフなんだそう。。。
何でもフンを転がすのが太陽の動きに見立てられたとか。
また古代エジプト人にとって復活・再生のモチーフでもあり、フンコロガシは重要な虫なんだとか。。。
なんか複雑。
これは装飾用ではなくお守りとして用いられたんだそう。

2「スカラベ」
紀元前1539-1069年頃・エジプト
こちらは青色がとってもキレイ。
ヒエログリフで"天空の神アメン・ラー"と書かれているのだそう。

4「あぶみ形の指輪」
紀元前1295-525年頃・エジプト
儀式で使われた飾り舟が施されているリング。
ツタンカーメンの墓で見つかった指輪にも似た図柄があったのだそう。

6「ロゼット紋の指輪」
紀元前664-525年頃・エルトリア
金でできたバラの花を模した指輪。
このモチーフは古代人お気に入りだったとか。
エルトリア人は優れた金の加工技術を持っていたそうです。
この指輪、バラというよりはガーベラなどに見えますが花びら一枚一枚まで繊細に作られています。

9「女神ニケ」
紀元前4世紀後期・古典期ギリシャ
ニケはギリシャ神話の勝利の女神。
青いガラスの上に金箔で描かれ、小さなロゼット文に囲まれています。

14「金製指輪」
2-3世紀・古代ローマ
2粒のガーネットがついている指輪。
これが橋本コレクションのはじまりなのだそう

25「パパル・リング」
15世紀・イタリア
いきなり時代が進んで中世。
パパル・リングとは教皇のリング。
水晶のような色の石がついています。
なんとなく、強そう。

34「六弁花のベゼルを持つ金製指輪」
16世紀後期
緑や赤などのさまざまな色の石が使われ華やか。
ベゼルが花のようです。

36「クラスター・リング」
17世紀
大ぶりのひとつの石(ソリティア)が入手困難となり、その代わりに小ぶりの石を寄せ集めたもの。
それでもとても華やか。

38「哀悼の指輪」
1756年・イギリス
白いリボンのような装飾を施された指輪。
その名のとおり、哀悼の指輪。
内側には"AMBホッジ 1756年5月9日40才で永眠"との言葉が。
お守りとして、権力の象徴として、装飾品として、愛のかたちとして。
さまざまに使われてきた指輪はこのようなことにも使われたんですね。

40「花かご」
41「花束」
18世紀後期
これらはガラスの中に螺鈿や真珠でその模様が施されているのです。
ガラスの透明度が高く、その模様がはっきり見えとても素敵。
さわやかで美しい指輪です。

45「星が浦」
18世紀
青いガラスに金や銀で星を施し"切り取った天空"として人気のデザインだったのだそう。
周りはパールで囲まれとても素敵です。
この展示は橋本氏が寄贈したコレクションを紹介しているものですが、これだけは橋本氏の所蔵。
橋本氏が夫人を偲んでつけたその名前。
かつて夫人が暮らしていた大連の星が浦のイメージだそう。
星が浦(現在の星海公園)は、夜になると海面いっぱいに天空の星たちが映り、それはそれはきれいな大宇宙のよう、との思い出話によるそうです。
なんてロマンティックで素敵な話なんだろう。

56「若いヴィクトリア女王の肖像」
ヴィクトリア女王は自らの肖像を収めた指輪、ブレスレット、タイピンなどを婚礼や戴冠式などの歳に配っていたのだそう。
これもそのうちのひとつ。
若く気品ある女性がいました。

64「マーキーズ形の指輪」
1900年頃・アメリカ
ボートのような形をしているものをマーキーズ形というそう。
これはダイヤに囲まれたサファイアという豪華なもの。
色の組み合わせもさわやかで素敵です。

67ジョン・ポール・クーパー「アーツ・アンド・クラフツのリング」
1900年頃・イギリス
アーツ・アンド・クラフツはジュエリーの分野にまで。
この分野は建築家のヘンリー・ウィルソンがひっぱっていましたが、この作者は同僚。
こういった芸術活動も影響を与えているんですね。

73ルネ・ラリック「葉のプリカジュール」
1900年頃・フランス
今度はアール・ヌーヴォー。
葉に真珠のついたデザイン。
このあたりにはラリックによるデザイン画も展示されていました。

79「ミルグレイン・リング」
1920年頃
今度はアール・デコ。
幾何学的で中央に3つの石が縦に配置されています。
おしゃれでかっこいい。

91「カルティエ製スプートニク・リング」
1957年頃・フランス
今度はデザイナーたちがデザインしたブランドのリング。
これは1957年のソ連の人工衛星スプートニクに着想を得た指輪。
さまざまな色の石が輝き、不思議な印象です。

92「ヴァン クーリフ&アーペル製リング」
1936年頃・フランス
カーブした地金に留め具が見えないように石留めをするインビジブル・セッティング。
ヴァン クーリフ&アーペル社のオリジナル技法ですが、この作品にすでに使われています。
そんな昔からこれをやっているんですね。。

《2.飾らない指輪》
109「ヒキガエル石の指輪」
14世紀・イギリス
ちょっと装飾品にするには…な色の石。
蛙は頭に宝石を持っていると信じられ、このヒキガエル石も蛙の頭からとれたとされたもの。
実際は化石化した魚類の歯だそう。
制毒の働きがあると信じられ、毒に近づくと、その石は汗をかき色が変わると言われていました。
お守りですね。

117「フルール・ド・リスが彫刻されたダイヤの指輪」
18世紀後期・フランス
束ねられた3枚の百合の花びらからなるフランス王家の紋章の一つがダイヤに彫り込まれています。
これは難しい技術のため、あまり作例がないそう。
細部までしっかり表現されていて、とてもきれいで輝いていました。

《3.語る指輪》
128「ネメアの獅子と闘うヘラクレス」
紀元前2-1世紀・ヘレニズム文化圏
ヘラクレスのネメアの谷の獅子との戦いをモチーフとしたもの。
こんなに小さいところによくできるなぁ、と感心。

130「ヘラクレスとステュムパリデスの鳥」
紀元前4世紀頃・エルトリア
こちらもヘラクレスで鳥退治。
弓を引く場面です。
このあたりには西洋美術館所蔵の版画も展示されていて、とても分かりやすい。

140「犠牲式を表すカメオ」
紀元前1世紀、マウントは現在・古代ローマ
生贄をささげる儀式をわずか1cmほどの大きさに表現しています。
右の男性が子羊を捧げ、左ではサテュロスが笛を吹いています。
なんてすごい技術。

141「レダと白鳥」
16世紀
絵画でおなじみのテーマも指輪になります。
ここにはサルバドール・ダリ「『神話篇』:レダ」が展示されていて、そちらの方に目がいってしまいました。。。

144「聖ゲオルギウスと龍」
15世紀・スカンジナビア
聖ゲオルギウスは小アジア・カッパドキア生まれ。
3世紀末に殉教しています。
よく見るイメージは馬にのり龍と戦う場面ですが、ここでは槍を手にし龍に乗りかかって戦っています。
これって、装飾用、、、ではないよね。
イメージ的にはお守りかと思うのですが。

146「聖カタリナ」
15世紀・イギリス
聖カタリナといえば車輪。
ここでも車輪が一緒に描かれています。
こんなに細かいのに……

149「受胎告知」
16世紀、マウントは後期
おそらくヴェネツィア
このあたりは西洋絵画でもおなじみのモチーフ。

155デューリック・バウツ(派)「悲しみの聖母」「荊冠のキリスト」
こちらは絵画。
目を真っ赤にし泣き腫らす聖母とキリスト。
キリストは荊の冠のため、おでこから血が流れています。
キリストの手が小さく描かれていてちょっと違和感……

152アドリアーン・イーゼンブラント(に帰属)「玉座の聖母子」
こちらも絵画。
建物の中の椅子に座る聖母子。
かなり立派な建物です。
衣服の布の感じも丁寧に表現されています。

165エル・グレコ「十字架のキリスト」
こちらも絵画。
磔刑のキリストです。
空には暗い雲。
十字架の足元には人骨が転がっています。
マニエリスムで伸ばされた体が、異様な雰囲気を増しているように思います。

159「祈祷のための指輪」
17世紀・ヨーロッパ(ローマ・カトリック)
160「イエスの名が刻まれた指輪」
16-17世紀
どちらも"IHS"と施されています。
ラテン語でIesus Hominum Salvator(救いの人 イエス)の略称です。
このような小さな指輪にも信仰心は託されているのですね。

161「ゴルゴダの丘の十字架」
丘に十字架のみが立っています。
シンプルですが、逆に信仰心が伝わってくる作品。

163「十字架のキリストと聖母マリア、聖ヨハネ」
17世紀
小さい中に3人がいる作品。
このような作品ばかり見ていると、世界は手先の器用な人ばかりなんだ、と別の方向で感心。

164「十字架のキリスト」
19世紀前期・イタリア
指輪のカーブに沿って磔となったキリストが施されています。
すごい発想。
実際にこのポーズやったら背中バキバキ言うでしょう。笑

《4.技術と模倣》
172「スカラベと粒金細工」
19世紀後期・イタリア
エルトリアの金細工の技術が使われた作品は垂涎の的でした。
しかし、簡単に手に入るものではない。
今では技術も分からない。
そこで粒金細工の技術を使って模造し手に入るようになりました。
こうやって技術が生まれていくのですね。

205ナサニエル・マーチャント「ユピテル・セラピスのインタリオ」
1779年・イギリス
描かれている人物はデューラーにちょっと似ています。
カメオですが、古代ローマ風に作りたくて模造したものだそう。

以上が「その1」になります。
まだまだ作品はたっぷり。
「その2」も長文の予定です。



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バルテュス最後の写真 ―密室の対話

2014-07-16 21:30:00 | 美術
見てきました

三菱一号館美術館 歴史資料室

会期は2014年6月7日から2014年9月7日。

ピカソをして、《20世紀最後の巨匠》と言わしめたバルテュス。
先日、東京都美術館で開催された回顧展、「バルテュス展」は20万人を動員。
私自身もとても楽しく鑑賞してきました。
(記事はこちら→「バルテュス展 (その1)」、「バルテュス展 (その2)」)

バルテュスは、最晩年に手の自由がきかなくなると、鉛筆をポラロイドに持ち替え、デッサンに代えてモデルを撮影するようになりました。
今回は、遺作を描く為に撮影した貴重な作品を含むポラロイド写真を日本で初めて公開。
約150点のポラロイドの展示です。

展示されているものを見ていくと、ぱっと見ではどこが違うかわからないほど、似たような写真ばかり。

すべての写真のモデルは同じ少女。
バルテュスが亡くなる前年までモデルをしたのだそう。
いわば、バルテュスの"最後のモデル"
アンナ・ワーリさん。
彼女がモーツァルトの"魔笛"をハミングしているのをたまたま耳にしたバルテュス。
モーツァルトが大好きだったバルテュスには神のお告げのように感じたのだそう。

最初はデッサンのモデルでした。
のちに思うように鉛筆が持てず、ポラロイドカメラに変わったのだそう。
8歳から16歳までモデルを務めました。

見ていくと、バルテュスの作品で見かけるようなポーズが多い。
半裸でソファに横たわる少女。
そして影の使い方なども、絵画そっくりです。(当たり前ですが)
似ているように見えるポラロイドたち。
それはバルテュスがわずかな光の変化さえも逃さぬように撮っていたということ。
そして半裸であっても官能的とも言い切れないその様子は絵画同様神秘的。

とてもとても狭い展示室での開催。
でも、内容はとってもおもしろいものでした。
バルテュス展を見た方、バルテュスに興味のある方、必見の展示です。



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徒然草 -美術で楽しむ古典文学

2014-07-14 21:30:00 | 美術
見てきました

サントリー美術館

会期は2014年6月11日から2014年7月21日。

さて、古典文学大好きな私。
この展示もウキウキで行ってきました。

"つれづれなるままに"の序文で始まる『徒然草』
鎌倉時代末期、兼好法師によって書かれました。
『枕草子』、『方丈記』とともに日本三大随筆とされています。
普段の生活などでも共感できる場面が多々ある徒然草は古典文学の中でもっとも親しまれている作品かもしれません。
しかし、成立後100年あまりはその鑑賞の歴史をたどることができないのです。
『徒然草』の本格的な享受は慶長年間(1596-1615)に始まると考えられ、江戸時代になると、研究、鑑賞、そして創作への応用など、さまざまな展開を見せるようになります。
それらの一つに<徒然絵>とも呼ぶべき絵画作品があります。
流布の過程で登場してきました。
今回は、近年サントリー美術館所蔵となった<徒然絵>の海北友雪筆「徒然草絵巻」二十巻を初公開。
他には屏風や絵本などを通じて『徒然草』を見ていく・読んでいく展示となっています。

《第1章:兼好と徒然草》
第1章は著者の兼好の人物像についてと、『徒然草』の歴史を辿る内容です。
『徒然草』の著者である兼好は、神官である卜部兼顕の子として、弘安6(1283)年頃に生まれ、二十代の前半には六位の蔵人として後二条天皇に仕えました。
30歳前後にはすでに出家し、70歳過ぎまでは生きたと考えられていますが、兼好の経歴については資料も少なく、詳細は分かっていません。
生前は、二条為世に師事する歌人として知られてはいたものの、『徒然草』の著者であるという記録は当時の文献にはないのです。
そのため成立時期なども明確ではありません。
作品は有名なのに分からないことだらけなのです。
『徒然草』が世に広まったのは鎌倉時代末期頃に成立した後、約100年経った室町時代。
歌人や連歌師たちによるものでした。
そして江戸時代になると幕府の学問奨励や印刷技術の発達を背景に一気に広がります。

松花堂昭乗画・沢庵賛「兼好図」
江戸時代、『徒然草』が読まれるようになると著者である兼好自身への関心も増えました。
頭髪も髭も伸びたままの兼好が扇子を手に持ち、巻物を読み入る様子が描かれています。
その姿には思わず笑みが浮かびます。

「法然上人絵伝 第三十七巻」
法然上人の亡くなる場面です。
泣く僧侶たち、集まる群集。
臨終に際して最後に声を振り絞る法然上人。
5色の雲とともに菩薩が来迎しています。
これは知恩院蔵の国宝。
兼好が登場しているのです。
兼好自身は、極楽浄土でなく、今を生きることを大事にした人だったそう。

《第2章:徒然草を描く》
『徒然草』の本格的な享受は慶長年間(1596~1615)に始まると考えられています。
江戸時代になると、『徒然草』は研究、鑑賞、そして創作への応用など、さまざまな分野で多様な展開を示します。
そして流布の過程で、絵画化されるようになりました。
ここでは絵巻物や屏風、画帖などの形態、そして狩野派や土佐派、住吉派などあらゆる流派によって描かれた<徒然絵>が展示されています。

松永貞徳「なぐさみ草」
この「なぐさみ草」は徒然草の注釈書的なもので、最大の特徴は157図もの挿絵があること。
『徒然草』関連の版本に絵が加えられた作品はこれが最初。
そして現在見られるように244段に区切ったものこの本なのです。
この本は後の『徒然草』関連の絵画に大きな影響を与えました。

「奈良絵本 徒然草」
奈良絵本とは室町時代後期から江戸時代中期ころにかけて作られた絵入写本の一種。
「お伽草紙」などが題材としてよく扱われました。
これはさきほど出てきた「なぐさみ草」を元に挿絵をカラフルにしたもの。
その色の鮮やかさには驚きです。

「奈良絵本『徒然草』貼交屏風」
6曲1隻の屏風。
奈良絵本を解体して絵と文を貼り付けたもの。
隣り合う文章と挿絵は一致せず、章段も順不同。
見た目のよいパーツごとに貼り付けたようです。

「徒然草図屏風」
6曲1双の屏風。
合計28の章段のを金雲でバランスよく区切った間に描いています。
細やかな筆遣いで人々の表情も豊か。
服装なども色使い華やかで見ていて楽しい作品です。

住吉弘定「徒然草 四季之段図」
名前からも分かるかと思いますが、住吉派の画家。
季節の移り変わりについて描いています。
色彩がきれいで緻密です。

41鍬形斎「徒然草屏風」
6曲1双の屏風。
屏風の各扇1段ずつ充て、計12段が描かれています。
各図はそれぞれ独立した内容ですが、霞や木々、山などによって緩やかにつながっています。
私が好きなのは68段を描いたもの。
68段は九州、筑紫国の押領使の役職に就いて人物の話。
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この人は、大根は何にでも効く素晴らしい薬だと信じて、長年にわたって、毎朝二本ずつ焼いて食べ続けていました。
ある日、館に敵が襲ってきました。
すっかり取り囲まれたところに二人の兵士が登場。
命も惜しまずに戦い、敵を追い返してくれたのです。
「お名前は??」と聞くと「あなたが毎朝信じて召し上がっている大根でございます。」と。
何気ないようなものでも、信じているとこのような徳もあるのです。
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大根戦士が勇敢に戦う場面です。
かっこいいよ!!

《第3章:徒然草を読む》
近年、サントリー美術館所蔵となった海北友雪の「徒然草絵巻」二十巻。
<徒然絵>といえば『徒然草』の中でも人気のある章段の数場面を描くことが一般的です。
しかしこの絵巻物。
ほぼ全段を絵画化しているのです。
第3章ではこれをすべて公開しています。

海北友雪「徒然草絵巻」
20巻に248の図が描かれています。
とてもおもしろく、何点か書いておきます。

*第1巻*
机に向かい、何かを考えているかのような兼好。
序章の硯に向かう場面が描かれています。
ここから話が始まっていくのです。
今回のポスター、チラシもこの作品です。

*第8巻*
第92段のお話。
弓を射る技術を習った人物が、2本の矢を持ち的に向かいます。
すると師匠が「初心者は2本の矢を持ってはいけない。
後の矢を頼りにして、最初の矢を適当にする心がうまれる。
的に当たるか当たらないかを考えるのではなく、いつもこの一矢で決めると思え。」
と。
現代でも十分通用する話です。

*第15巻*
第175段のお話。
お酒についての話です。
この世には、よく分からないことが多い。
宴のとき、酒飲みはみんなに酒を注いで、飲みたくない人にまで飲ませようとし面白がる。
なぜそんな無茶をするのか、と。
健康な人でも飲めない酒を飲めば重症の病人のようになり倒れてしまう。
祝いの日の宴も酒を飲めない人にはひどいもの。
あくる日まで頭が痛く、物も食わず。
昨日のことを覚えていない。
公私の大事な仕事があっても欠席してしまい、他人に迷惑を掛ける。
思慮深く奥ゆかしそうな人も、酒を飲むと笑って罵ったりする
清楚に見える女性も、恥ずかしげもなく顔を晒し、大口を開けて笑い出す。
酔っぱらいは、声の限りを出して、みんなで歌い踊る。
こんなものを喜んで見ている人さえ疎ましく憎らしく感じてしまう。
ある者は自慢をし、ある者は泣き出し、ある者は怒り出し。。
……などなど、お酒の害について書かれているのです。
他人に無理にお酒をすすめた人は500回生まれ変わっても手のない生き物(ミミズとか)になってしまう、という仏の教えを書いてる場面。
え、これ所蔵はサントリーでいいんだよね。。
酒造メーカーさん、お酒はほどほどにね!!とこれで広告だしたらいかがでしょう。

あ、でもこれ、いい場面もあるのです。
冬に狭い家の中で煎り物をつつきながら親しい相手と酒を飲むのはとても楽しい、と。
そう、楽しくすごせるお酒がいいですね。

《第4章:海北友雪の画業と「徒然草絵巻」》
ここでは「徒然草絵巻」を描いた友雪について紹介されています。
海北友雪(1598-1677)は、桃山時代を代表する画家の一人・海北友松(1533-1615)の子。
「建仁寺展」のときの迫力ある雲竜図を描いた友松です。
友雪は十八歳の年に父を亡くします。
その後の苦境の間は、絵屋を営んでいました。
その後、三代将軍・徳川家光の乳母として仕えた春日局のとりなしで御用絵師となりました。
春日局との関係ですが、明智光秀の重臣で友松と交流のあった斎藤利三が磔刑にされたとき、友松はその遺骸を丁重に葬りました。
春日局は利三の子。
この友松からの旧知の恩に報いたのです。
御用絵師となった友雪は、そこで狩野探幽の影響も受けたそう。
画域は、漢画や大和絵、仏画や縁起絵など様々です。

海北友雪「五行之図」
晩年の作。
五行とは中国陰陽五行説における木火土金水のこと。
この5つの要素のイメージを描いています。
淡い色彩で、最低限のものだけを描いています。
すっきりとした美しさ。

海北友雪「日吉山王祭礼図屏風」
6曲1双の屏風。
日吉大社の春の祭りの様子が描かれています。
右隻には山王七社の神輿が境内から琵琶湖畔に向かうまでの神輿下り。
左隻には唐崎沖の供膳船に向かって、競い合う船渡御。
人物が精彩に描かれ、生き生きとしています。
賑わいが伝わってくる作品。

海北友雪「一の谷合戦図屏風」
6曲1双の屏風。
一の谷の合戦での熊谷直実と平敦盛の名場面を描いています。
右隻に直実、左堰に敦盛。
巨大な扇面に描いています。
直実の方は、紺に金色の扇面。
敦盛の方は、金色に紺の扇面。
背景の色と扇面の色を逆にしていて、モダンな印象です。
構図もとても面白い。

海北友雪「秋蓮白鷺図」
2幅の掛け軸。
蓮の葉と白鷺が少ない筆致で、墨の濃淡で巧みに描かれています。

第3章で見た「徒然草絵巻」第20巻が最後に展示されています。
第243段のお話です。
兼好8歳のときのエピソード。
赤ら顔の父親の袖をひっぱり、熱心に話かけている兼好。
仏は誰に教えられて仏になったのか、最初に教えた仏はどんな仏なのか、と問い続けて、とうとう父は答えられなくなったという話。
ねぇねぇ、なんで??といった感じでしょうか。
可愛らしい話です。

『徒然草』は全体的に"人生の最後"が意識され、無常観の文学ともいわれています。
しかし兼好は来世に期待するのではなく、限られた人生をいかに生きるべきか、いかに楽しむべきかを探究した現実主義の人だったそう。
なるほど…そういわれると見方も変わってきますね。

その内容の親しみやすさ、人生における普遍的なことについては今読んでもうなずけるものばかり。
この夏、もう一度読み返してみるのもいいかもしれません。



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とらやに、とらが、やってきた。

2014-07-12 21:30:00 | 美術
見てきました

とらや東京ミッドタウン店ギャラリー

会期は2014年6月25日から2014年9月17日。

とらやにとらがやってきたそうです。
今回は伝統的なとらの郷土玩具に焦点をあてた展示。
日本各地から集めた30点以上の"とらの郷土玩具"がずらり。



そして、明治から昭和にかけて活躍した郷土玩具画家・川崎巨泉の「とらの玩具絵」18点も展示。
実物と並べて展示されているので、絵と実物を見比べながら見れちゃいます。



こちらは静岡のとらの玩具。
「静岡張子虎車」



顔がおっさんなんですけど……笑
愛嬌あっていいね!!

川崎巨泉は全国を旅して、郷土玩具に関心を示し、多数の郷土玩具を描きました。
生まれた土地の風土や生活、伝説や信仰に深いつながりを持つなどおもちゃの粋を超え、職人の手によって生み出されたものたちの素朴な美しさに惹かれていたのだそう。
近代化によって、消えゆく玩具を描き止めました。
なかには数百年前から作られているのものもあるそうです。


ナマズの上にとら。
かわいい。
「会津中湯川人形」
福島県会津若松市郊外の東山温泉より約10kmほどの里山で作られる土人形だそう。


金沢張子を例にどのように作られているかも紹介されていました。


展示されていた玩具は販売もされています。
金沢張子かわいい。


かわいい。


かわいいぃぃぃぃぃ。

売り切れていました……
いや、よかったんだ、これで。
あったら購入してしまうから……



かわいい玩具に会いに行くべし!!



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someday,somewhere

2014-07-11 21:30:00 | 美術
見てきました

POLA MUSEUM ANNEX

会期は2014年6月27日から2014年7月21日。

今回は若手写真家 嶋本麻利さんの展示です。

写っているのは、掃除しかけのリビングや雨上がりの歩道。
ふとした植物。
何気ない日常です。

日常には温かくて優しい景色があふれているのに、こうやって一瞬時をとめないとその美しさに気づけないものなんだなぁ、と気づかされます。



ですが、物足りなさを感じてしまいました。。。
普通、って印象で。
前回の展示が変わっていて面白かったし……。
(「見晴らす展 日本のけしきを彫る人 田中圭介」)
今、強烈なのを求めているのかもしれません。



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江戸妖怪大図鑑 第一部【化け物】

2014-07-09 21:30:00 | 美術
見てきました

太田記念美術館

会期は2014年7月1日から2014年9月25日。
3部構成となっていて、
第一部は【化け物】7月1日から7月27日。
第二部は【幽霊】8月1日から8月26日。
第三部は【妖術使い】8月30日から9月25日。
今回は第一部の【化け物】を見てきました。
見て…きました……

すっごく混んでいました!!!!!
えっ!?こんなにここに人来るの!?ってぐらい。
もう行列でなかなか進まないし、見れないし……
ってことでさら~っとしか見てきませんでした。
年パスだし、また会期内ならいつでも見れるってことで。。。
こうゆうときに年パスの良さを実感。笑

さて。
夏です。
暑い暑い夏です。
幽霊や妖怪たちも元気になる(!?)夏です。

鬼や天狗、土蜘蛛などの【化け物】
お菊やお岩などの【幽霊】
蝦蟇や蛇を操る【妖術使い】
本当に怖いものから、笑ってしまうものまでさまざまなものが描かれています。
今回はそれぞれをカテゴリーで分け、葛飾北斎や歌川国芳、菱川師宣から月岡芳年まで、総展示数は約270点。
まさに妖怪大集合な展示となっています。

さらっと見てきた中で印象に残ったものを数点書いておきます。

別に意識はしてなかったのですが
「maruko、浮世絵好きだよね」
と言われたことが。
思い返せば、太田記念美術館では展示が変わるたびに見に行き、他の美術館の浮世絵展も行ける限り行き。
かなりの数の浮世絵を見てきました。
浮世絵展が多いのか、私が意識せずに浮世絵展に行っているのか……
なので、代表作とよばれているものを一通り見てしまったことに気づいたのです。。
今回も「あ、昨年も見たなぁ。」とか「あ、これ○○美術館で見たわ」とか。
こうゆうところに美術展を見てきたという実感が湧いてきました。笑

歌川国芳「梅初春五十三次」
市村座で上演された同名の歌舞伎の場面を描いたもの。
後ろには大きなネコの顔。
そして、ネコが化けた老女、手拭をかぶって踊るネコ、行灯を舐めるネコの影などが描かれています。
踊るネコ、かわいすぎ!!
大きなネコに目がいきがちですが、この踊るネコこそ、よくよく考えたら怖いのです。笑
頭に頭巾被って2足歩行で踊るとか……

歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」
国芳の代表作の一つになるのかな。
3枚続きの大判錦絵に描かれているのは大きな鰐鮫。
嵐に襲われた源為朝父子を讃岐院(崇徳上皇)の眷属である鰐鮫と烏天狗が救う場面です。
烏天狗は白抜きであらわされています。
迫力ある作品です。
これ、何回か取り上げているかな……

歌川国芳「源頼光公舘土蜘作妖怪図」
四天王が囲碁を打ちながら源頼光の屋敷で宿直をしているところを、土グモ率いる妖怪が現れる場面。
おかめっぽい顔の妖怪とか、提灯の妖怪とか、首の長いおっさんの妖怪とか……
ちょっとかわいらしい顔をしています。
むしろきりりとして豪傑な四天王のほうが怖い。。

三代歌川国輝「本所七不思議之内 狸囃子」
トイレの花子さんとか二宮金次郎の像が動くとか、誰もいない体育館でボールの跳ねる音がする、とかありましたね。
学校の七不思議。
学校や地域によっても七不思議の内容は様々ですが、必ず七不思議。
不思議……
江戸時代にも様々な七不思議がありましたが、本所七不思議とよばれているものがもっとも有名です。
こちらも伝承ですから様々なVer.があります。
この作品はその本所七不思議の一つ狸囃子を描いたもの。
むか~しむかし。
田んぼに稲が穂を垂れる頃になると、夜風にのって、あちらこちらから狸囃子が聞こえてきたのだそう。
その音を追いかけても追いかけても音はどんどん遠くなり。。
気づいたらすすきの野原で、ここどこ!?状態。
男性2人と遠くに狸が楽しそうに群れている様子が描かれています。
男性のうち1人は手を耳にあて音を聞いているかのよう。
不思議な現象を見た男性はいぶかしげな表情です。

三代歌川国輝「本所七不思議之内 足洗邸」
さて、こちらも本所七不思議の一つ。
所三笠町の味野岌之助という旗本の屋敷では毎晩不思議なことが起こりました。
なまぐさい風が吹きぬけたかと思うと、激しい家鳴りが。
しばらくして、天井から「メリメリ」「バリバリ」と大きな音が聞こえ、同時に、血にまみれた、大きな毛むくじゃらな足がニョッキリ登場。
この足を洗ってきれいにしてあげると足はおとなしく天井へ消えて行くのです。
それが毎晩。。。
きえぇぇぇ!!
そんな仕事したくない。。。
ちなみにこの""江戸の各地にみられ「洗足」という地名で残ったところもあるのです。
嘘か誠か……

月岡芳年「和漢百物語 頓欲ノ婆々」
和漢百物語は芳年がデビューしたばかりのころのシリーズもの。
描かれているのは「舌切り雀」の強欲なおばあさん。
大きな葛籠を開けたら中から妖怪が飛び出してきた場面です。
おばあさん、驚きすぎてすごい反り返っています。
そしてしわしわの顔がすごいことになっています。

あとは酒呑童子とか定番ですね。
刎ねた首が噛みつく場面なんかは多かったです。

以上になります。
人が多すぎてダメだわ、私。
次の【幽霊】はお岩さんやら皿屋敷やら大定番のものたち。
こちらも混雑必須の予感です。



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