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ひまわりを、我が子へ

2020-04-02 07:00:00 | 編集手帳

3月11日 読売新聞「編集手帳」


宮城県名取市で雅人ちゃんという名の生後8か月の男の子が行方不明になった。
いまだ見つかっていない。

東日本大震災の日の朝、
竹沢守雅さん、
さおりさんの夫婦は、
雅人ちゃんを閖上(ゆりあげ)地区にあるさおりさんの実家に預けた。
そこを津波が襲った。
しばらくして雅人ちゃんが最後の時を過ごした場所は海抜を高くするかさ上げエリアに指定されたが、
夫婦は土地の提供を迷った。

子供が土の下に眠っているかもしれないし、
人々にただ踏まれていく場所になってもつらい。
先週夕刊(東京版)に載った記事に、
復興というものに被災者がどう向き合ってきたかを考えさせられた。

あの壮絶な自然災害から、
きょうで9年を迎えた。
希望に向かって進むことは、
故人を思いながら葛藤や迷いを抱えて歩く日々に違いない。
竹沢さん夫婦は悩んだすえ土地の一部を花壇にすることで市と合意したという。
雅人ちゃんが生きた証しにしたいと、
小さな花壇を夫婦で手入れすることに決めた。

「ヒマワリを植えたい」とさおりさん。
新しく生まれ変わった市街地の一角にこの夏、
太陽を向いて立つ花が凜々しく咲くのだろう。

 

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世界が注目!東欧のIT人材

2020-04-01 07:00:00 | 報道/ニュース

3月6日 NHKBS1「国際報道2020」


2007年にEUに加盟したブルガリア。
首都ソフィアに日本の大手ゲーム会社セガのスタジオがある。
3年前 地元のゲーム会社を買収。
そしてブルガリア人の若手プログラマーなど170人が働くゲーム会社の拠点を作った。
なぜブルガリアの人たちに高いIT技術があるのか。
(スタジオ現地責任者)
「旧ソビエト時代 ブルガリアは東側でソフト開発を任されていました。」
もともとブルガリアなど東ヨーロッパの旧共産圏の国々は
IT技術の基礎となる数学や情報科学の教育が盛んだった。
現在も数学の英才教育を行う学校を国内に30校以上作り
プログラミングの土台となるアルゴリズムの教育に力を入れるなど
人材育成に取り組んでいるのである。
セガはこうした状況に目をつけて
ブルガリアに進出したのである。
驚いたのはプログラミングだけでなくデザイン技術の高さだった。
(セガゲームス 松原代表取締役社長)
「絵を描く人たち
 3Dモデリングをする人たち
 アートの人たちも
 しっかりした教育があって
 非常にビデオゲーム制作に合っている場所だなと。
 私たちはここにもっと投資をしていきたいと。
 それだけ今 成果が3年間であがってきて
 将来にも期待しています。」
2月にはブルガリアのラデフ大統領が自らスタジオの視察に訪れた。
発売に向けて制作中の新作ゲームにも興味津々。
(ラデフ大統領)
「これは歴史・芸術・コンピューターが一体となったものですね。」
(松原代表取締役)
「最新技術とギリシャの歴史
 非常に想像的です。」
ブルガリア政府としても税の優遇などで経済支援を積極的に検討する考えを明らかにした。
IT産業の育成に力を入れるブルガリア政府。
テナント費用の支援や大学機関との連携を打ち出し
首都の一角に設けたエリアには約25のIT企業が進出している。
(IT関連団体代表 )
「過去7年で我々のIT産業は4倍に成長した。
 ブルガリアはまさに“ヨーロッパのシリコンバレー”のようだ。」
一方 ブルガリアの隣国ルーマニア。
有能なIT人材を採用し日本に送り込もうという動きも始まっている。
一昨年から日本の大手人材派遣会社ヒューマンリソシアが
優秀なIT人材の卵を求めて採用活動を始めている。
(学生)
「日本がとても好き。
 自分の技術を日本で伸ばしたいわ。」
「日本で働くことに興味がある。
 競争は激しいかもしれないけど。」
(人材派遣会社ヒューマンリソシア)
「比較的能力が高いIT人材を確保できる。
 日本と比べると比較的 人件費などがリーズナブル。
 我々も狙っていきたい。」
大学でコンピューターサイエンスを勉強するデニスさん(20)。
今回の面接で採用が決まり
来年の卒業後 日本で働く見通しとなった。
4歳の誕生日に両親からパソコンを買ってもらったというデニスさん。
幼い頃から独学でプログラミングなども学び
今では学生ながら大学の公式ホームページの制作を任されるまでになっている。
日本の文化にひかれ以前から日本に関心を持っていたデニスさん。
去年 大学の仲間と日本を旅行し
日本で働きたいとの思いを強めた。
大学で日本語を学びながら日本で働く準備を進めている。
(デニスさん)
「日本で働ける日を指折り数えています。
 自分のIT能力を日本の会社のために生かしたいです。」

旧共産圏の東ヨーロッパのITエンジニアの人たちは
母国語に加え
英語はもちろんイタリア語やフランス語も使い来ないこなす人が多く
優秀で国際的に活躍できる人材がそろっている。
またイギリスがEUから離脱したBrexitのタイミングの影響もある。
人材はこれまでヨーロッパの東から西へ流れていたが
Brexitによって人材の回流が見られていて
ITの人材についても今後 東ヨーロッパに戻ってくると
この地域に詳しい企業コンサルタントは指摘している。
(東欧に詳しい企業コンサルタント 宮垣さん)
「西ヨーロッパの国際的な企業で働いた人がノウハウを持って戻り
 スタートアップ企業を始める。
 この流れは徐々に増えてきていて
 さらに再活性化される可能性はあると思う。」
東側諸国はIT産業が西との格差解消に向けた切り札と考えている。
優秀な人材を売りに
海外からのIT企業を誘致したり
税制の優遇策を導入したりして
国をあげてITの育成をしている。
若者にとってもITエンジニアは高給取りで
かつ世界で活躍できる花形的な職業となっている。
多くの日本企業にとっては東ヨーロッパは未開の地ともいえる場所だった。
そうしたなか日本企業もこのフロンティアにようやく乗り出した形である。
2月はブルガリアとの結びつきを強めるため
ブルガリアに進出する日系企業が新たにビジネス協会を発足させたばかりである。
ラデフ大統領も日本の投資に熱い期待を示し
積極的に協力関係を進めたい考えを示した。
(ブルガリア ラデフ大統領)
「東欧の中でブルガリアはITやフィンテックのリーダーとなっている。
 日本の投資によってブルガリアのハイテク産業を発展させ
 付加価値をつけ
 新しいビジネスモデルを生み出せる。」
またブルガリアやルーマニアなどは実は日本語教育も盛んで
国民性も勤勉とされ
日本に向いているという指摘もある。
このため東ヨーロッパでのビジネスについて
いま日本企業からの問い合わせが急増しているという。
ヨーロッパの知られざるシリコンバレーに
今後 日本の進出が進むか注目される。

 

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