2021年7月6日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」
水素を使った発電で代表的なのは燃料電池である。
水素と酸素を化学反応させることによって発電し
排出されるのは水という脱炭素化に最適な発電方法である。
このような水素技術の開発は世界中で行われているが
韓国でも近年 国を挙げて力を注いでいる。
韓国南東部のウルサン市。
世界を代表する造船の町として知られているが
近年 水素技術の開発でも注目されている。
町の中で見られるのは水素の燃料電池で走るバス。
2020年12月にオープンした
自動車に水素を充電する水素ステーション。
(水素ステーション会社 理事)
「このステーションは水素製造工場とパイプラインでつながっています。」
従来の水素ステーションは水素をトラックなどで運んでくる必要があった。
このステーションでは工場から迅速かつ安全に水素の供給をすることができ
将来のインフラとして拡大が期待されている。
(水素ステーション 理事)
「韓国では初めての試みです。
利用は1日30~50台ですが
今後さらに増えると思いまう。」
ウルサン市が水素の技術開発に本格的に力を入れ始めたのは3年前。
水素燃料電池実証化センターを開設した。
国からの支援を受け
約40億円の費用をかけて建設。
現在 現代自動車など10の企業が全国から集まり
効率の良い燃料電池の開発に向け実験を進めている。
一方 韓国政府も2年前「水素ロードマップ」を作成。
2040年までに水素を使って走る燃料電池車を620万台生産すると発表した。
(韓国 ムン大統領)
「水素の生産・貯蔵・運送・活用の分野で
新しい産業と雇用を創出するだろう。」
この計画を加速するため
2021年1月 ウルサン市に経済自由区域庁も設置された。
水素に関心のある企業の相談に乗るだけでなく
海外企業からの投資を呼び込むなど
積極的にPR活動を行なっている。
(ウルサン経済自由区域庁長 チョ氏)
「水素産業のために
より良い環境を作り
企業が積極的に投資できるようにします。」
こうしたなか
ある造船会社が新たな試みを行なっている。
水素燃料電池を動力とした小型船の開発である。
造船会社のイ社長。
4年前 大手造船会社を退職し
この会社を起ち上げた。
「独自の船を造ろうと開発を始めました。
将来性がある事業なので投資を決めたのです。」
水素タンク8本が搭載されているこの船。
自動車用に開発された燃料電池をどのようにして船用に改良していくかが大きな課題だった。
イさんたちは何度もウルサン市に機器を持ち込み技術の検証を重ねてきた。
そして2021年5月 ようやく試作品が完成。
ウルサン市を視察に訪れたムン大統領に直接成果を報告した。
今後は小型船の実用化に向けた実験を続けていく予定である。
(造船会社 社長 イさん)
「がんばって開発の成果を出して
商用化できる船を早く造りたいです。」